2023年度は小学校22.34人・中学校26.83人…小中学校のクラス人数推移(最新)

2024/03/12 02:46

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2024-0307かつて学生だった人達において、自分自身が小中学校に通っていたころを思い出して欲しいのだが、1クラスの人数はどれぐらいだっただろうか。恐らくは30人から40人、あるいは50人ぐらいのクラス人数を経験した人もいるかもしれない。しかし昨今ではクラス構成人数は大いに減少し、20人台から30人台が普通。子供のいる保護者の立場にある人は、その子供から実情を知っているので当たり前の話でしかないが、知る機会がない人には驚きの内容といえる。今回はその「小学校・中学校の1クラスあたりの平均人数の推移」について、文部科学省など公的機関の公開値を基に、現状を探っていく。

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データ取得元は文部科学省が毎年調査発表している【学校基本調査】。ただし専用ページでの掲載分は数年分しかなく、長期的動向を確認するには物足りない。そこで総務省統計局の【e-Stat】から「学校基本調査」を経由し、毎年の統計結果から「初等中等教育機関・専修学校・各種学校」「学校調査・学校通信教育調査」、そして「小学校」「中学校」を選び、必要なデータ(収容人員別学級数)を抽出していく。e-Statでは「学校基本調査」そのものは1948年度(昭和23年度)以降の値が公開されているが、クラスあたりの人数が把握できる「収容人員別学級数」の項目が存在するのは1956年度以降であることから、それ以降の動向について確認をしていく。

まずは直近データについて。記事執筆時点では2023年度の値が最新となっている。これについて小学校・中学校それぞれの人数階層別学級数比率をグラフ化する。

↑ 小学校における1学級あたり収容人員別学級数率(全体比)(2023年度)
↑ 小学校における1学級あたり収容人員別学級数率(全体比)(2023年度)

↑ 中学校における1学級あたり収容人員別学級数率(全体比)(2023年度)
↑ 中学校における1学級あたり収容人員別学級数率(全体比)(2023年度)

小学校は21-35人がボリュームゾーン、中学校は26-40人がボリュームゾーンとなっている(小学生は7人以下も含めるべきか)。また「0.0%」との区分もあるが、これはあくまでも計算上の話。例えば小学校、中学校ともに50人以上のクラスも存在する。一方、7人以下のクラスも少なからず見受けられるが、これは特別支援学級や、複式学級(複数学年を同一クラスに編成する仕組み)など主に僻地や離島などにおける小中学校が該当すると考えてよい。

そして平均人数だが、各人数区分の中央値(調査年度数によって区分が随時変化するため、概算中央値を用いる場合もある)を用いて当方で独自に算出したのが次のグラフ。

↑ 小学校における1学級あたり平均収容人員数(人)
↑ 小学校における1学級あたり平均収容人員数(人)

↑ 小学校における1学級あたり平均収容人員数(人)(2001年度以降)
↑ 小学校における1学級あたり平均収容人員数(人)(2001年度以降)

↑ 中学校における1学級あたり平均収容人員数(人)
↑ 中学校における1学級あたり平均収容人員数(人)

↑ 中学校における1学級あたり平均収容人員数(人)(2001年度以降)
↑ 中学校における1学級あたり平均収容人員数(人)(2001年度以降)

直近データ(2023年度分)では小学校22.34人・中学校26.83人との値が出ている。値が取得可能な最も古い1956年度から半世紀強の間に、小学校では約22人、中学校では約20人が減った計算になる。

クラス人数の多い少ないは、色々な問題と密接に関係する。いわゆる「授業妨害」を起こす生徒に対処するためには(個々の生徒、そしてその保護者の素質によるところが大きいものの)、人数が少ない方がよいとする考えが一般的。また、その他の指導面でも生徒数が多いと、注意が行き届かないリスクが高まる。一方で少人数単位のグループを想像すれば容易に分かるのだが、クラスあたりの人数が少なくなると、一集団としての柔軟性に欠け、クラス単位での団結性が弱まる、個々の子供が孤立しやすくなるなどのリスクが生じる。

他方、高度成長期における揺り戻しも一部見られるが、クラス構成人数の漸減が起きているのは、教育や子供に対する社会の見方などもまた要因なのだろう。

なお現状においては文部科学省では教育環境の改善のため「少人数学級の実現」を学校教育の改善課題の一つとして掲げており、【同省の専用ページ(少人数学級の実現 > 基礎資料集 > 学級編制・教職員定数改善等に関する基礎資料)】では多種多様な資料や指針を確認できる。今後さらにクラス人数は漸減を続けることは容易に想像ができる。

現状では少子化傾向、教育環境を整備し国際水準に合わせるため、クラスあたりの人数が減少する傾向にある。それによって生じるプラス・マイナス両面を注意深く見守らねばならない。

余談ではあるが取得可能な最古の値となる1956年度分に関して、小中学校それぞれのクラス構成人数別学級数、そして全学級数に対する比率を算出した結果が次のグラフ。

↑ 小中学校における1学級あたり収容人員数区分別学級数(1956年度)
↑ 小中学校における1学級あたり収容人員数区分別学級数(1956年度)

↑ 小中学校における1学級あたり収容人員数区分別学級数(各学校種類別全体数に対する比率)(1956年度)
↑ 小中学校における1学級あたり収容人員数区分別学級数(各学校種類別全体数に対する比率)(1956年度)

小中学校ともに46人から55人で構成されるクラスがもっとも多く、60人を超える人数のクラスも多数見受けられる。学校そのものの数の不足なども一因だが、それでもなお現在からは想像がつきにくい状況に違いはあるまい。


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