賃貸住宅の敷金・礼金や入居条件交渉の変化をグラフ化してみる(2012年11月発表分)

2013/01/14 08:00

先日【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる(2012年11月発表分)】でも記した通り、賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに更新公開している【賃貸住宅景況感調査日管協短観】の最新版「賃貸住宅景況感調査日管協短観・2012年度下期(2012年4月-2012年9月)」を元に、既存記事の更新をして昨今の賃貸住宅動向を推し量っている。今回は前回分記事をベースに、賃貸住宅管理会社が管理する物件における敷金礼金の現状や、入居者が入居契約交渉時に行う敷金礼金周りの交渉状況に関して、グラフ化を行うことにする。

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今調査は2012年10月から11月にかけて、インターネットによる日本賃貸住宅管理協会会員に対して行われたもので、有効回答数は303社。回答対象期間は2012年4月1日-2012年9月30日についてのもの。なお項目の目安としては「増えた……+10%以上」「やや増えた……+5%」「変わりなし……プラスマイナスゼロ」「やや減った……-5%」「減った……-10%以上」である。また、公開されている図版・数字の多くでは3段階評価で示されており、この場合「増えた」「やや増えた」が「増加」、「減った」「やや減った」が「減少」に該当する。

まずは礼金・敷金の平均動向。「礼金」は言葉通り賃貸契約が新規に結ばれた時に業者に支払われる「お礼金」のこと。一方で「敷金」は「賃貸住宅に土台として敷かれた(、そして住宅利用時に少しずつ損耗していく)お金」という概念で考えれば良く、その住宅から引っ越していく際に原状復帰のために使われるお金。ただし自然損耗分は原則的に居住者が負担する必要は無い(居住者の責ではないのがその理由)。「自然損耗か居住者の過失による損耗か」をめぐり、敷金の返却割合について退去者と賃貸住宅管理会社との間で、意見の相違が生じるとの話もしばしば耳にする。そのため居住者は入居時に、出来る限り住宅の状況を記録しておくこと(デジタルカメラの利用がお手軽)が勧められている。

ともあれ、その礼金と敷金についてだが、全国平均では礼金が1.09か月分と1か月強、敷金は1.37か月分と約1か月半近くという結果が出ている。当方(不破)が住む東京では昨今において「礼金1か月」「敷金1か月半」との設定に基づいた物件の案内を良く目にするので、「大体このような感じだろう」という感はある。

↑ 入居時条件(月分)(2012年4月-2012年9月)
↑ 入居時条件(月分)(2012年4月-2012年9月)

関西圏では敷引き(解約引き。入居時の保証金のうち半分程度を退去時の原状復帰費用として固定し、返還しないこと。保証金そのものは半年-8か月分とされ、礼金も含まれる。この制度が導入される物件では更新料も無いのが普通)制度が商習慣として根付いていた関係もあり、礼金の額が他地域の約2倍という結果になっている。

地域による商習慣の違いなどもあるが、この値を元にすれば、見当違いの相場観に基づいた探索による、時間の浪費を防げるかもしれない。

「家賃もうちょっと下げられない?」入居時の条件交渉の変化
それでは各業者が抱えている賃貸物件において、敷金や礼金、そして賃料、さらには設備の設置(エアコンや洗濯機が好例)に関して、居住希望者との間での交渉度合はどのような動きを見せているのだろうか。それぞれについてその移り変わりを尋ねたところ、全国では回答業者の3/4が「賃料を下げてほしいとの交渉が増加している」と返答した。礼金・敷金などの初期費用の値引きを求める度合いが増加したとの意見も7割近く。

↑ 入居時の条件交渉の変化(2012年4月-2012年9月、前年同期比)
↑ 入居時の条件交渉の変化(2012年4月-2012年9月、前年同期比)

地域別では「関西圏が賃料、礼金・敷金等の点で交渉増加傾向が強い」「関東圏では設備設置で交渉増加傾向が強い」との動きが見える。首都圏では賃料・礼金などの点では半期前とさほど変わらないが、設備設置交渉が増加。そして関西圏では全項目、特に賃料と設備設置交渉が大幅に増加している。借り手のお財布事情が厳しくなったのか、あるいは上手に出られるような需給関係からなのか、この結果からだけでは分からない。ただし別項目の状況(関西地方に中長期的スタンスで腰を据える企業が少なくなっている可能性がある)などと合わせ見ると、関西圏では需要側の立場が一層強くなっていると見た方が良いかもしれない。

前回(半期前)に指摘した「賃貸住宅は全般的に入居希望者が主導権を握る借り手市場」との視点では、今回は特に関西圏で強く表面化するようになったといえよう。

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