先進諸国の出生率や離婚率などをグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/01/02 13:54

先に【日本の婚姻率・離婚率・初婚年齢の推移をグラフ化してみる】で厚生労働省が毎年発表している「人口動態統計の年間推計」(最新データは【平成27年(2015)人口動態統計の年間推計】)の内容を確認していた際に、興味深い参考データを見つけることができた。主要先進国の出生率や婚姻率などを簡潔にまとめた表「人口動態総覧(率)の国際比較」がそれである。今回はこの表のグラフ化による現状把握と、そこから派生する形でアメリカの現状推移を見ていくことにする。

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主要国の婚姻率・離婚率など


まずは婚姻率と離婚率。

↑ 主要先進国婚姻率/離婚率(人口千対)(2016年発表分)
↑ 主要先進国婚姻率/離婚率(人口千対)(2016年発表分)

アメリカやフランスではやや婚姻率に対する離婚率の割合が高い感はある。一方イタリアは低め。初婚年齢や平均寿命によって人口比の離婚率は異なってくるので一概には言えないが(結婚してからの年数が長いほど、離婚する可能性が高くなる、との考えも一理ある)、各国の結婚に対する考えの違いが見えてくる。

続いて普通出生率と死亡率。こちらも人口千人単位。

↑ 主要先進国出生率/死亡率(人口千対)(2016年発表分)
↑ 主要先進国出生率/死亡率(人口千対)(2016年発表分)

「普通」としたのは、これが1年間の出生率を「総人口」で割って、1000人単位で示したものだから。つまり日本の場合は老若男女を問わず1000人あたり8.0人が生まれている計算になる。この普通出生率と死亡率とを比較し、出生率が高ければ人口増加、低ければ人口減少と考えることができる(あくまでも単純に考えた場合であり、実際にはもう少し複雑に多種多彩な要素が加味される)。赤、つまり死亡率の方が高いのは日本とドイツ、イタリア。アメリカやフランス、イギリス、シンガポールなどは大きく出生率の方が伸びている。

最後に「合計特殊出生率」。一人の女性が一生のうちに出産する子供の平均数を示しており、計算対象を「総人口」ではなく「一般的な出産可能年齢である15-49歳の女性」に限定している。単純計算でこの値が2.0なら、夫婦二人から子供が二人生まれるので、その世代の人口は維持されることになる。実際には多種多様なアクシデントによる減少があるため、人口維持のための合計特殊出生率は2.07から2.08といわれている(これを人口置換水準と呼ぶ)。

↑ 主要先進国合計特殊出生率(2016年発表分)
↑ 主要先進国合計特殊出生率(2016年発表分)

資料で取り上げられている全部の国で、人口置換水準である2.07から2.08を下回っている。日本ではこの値の低さが懸念視されているが、それ以上に合計特殊出生率が低い国も複数確認できる。

アメリカの特殊事情


上記グラフにもある通り、アメリカでは合計特殊出生率は1.86と高めの値を示している。しかしこの内情としては、ヒスパニック系の人が引きあげているのが実情。詳細は【アメリカの人種別出生率の詳細をグラフ化してみる】で解説しているが、アメリカ合衆国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)内にある【人口動態統計レポート(National Vital Statistics Reports)】から、人種別の合計特殊出生率(Total fertility rate)のデータが含まれている「Births: Final Data for XXXX」のファイルを各年分たどって、過去5年分について動向を確認したのが次のグラフ(記事執筆時点で2014年分が最新)。

↑ アメリカの合計特殊出産率(2010年-2014年)(再録)
↑ アメリカの合計特殊出産率(2010年-2014年)(再録)

全体値を底上げしているのはヒスパニック系や黒人。またこの5年間で漸減しているのが確認できる(白人やアジア・太平洋諸国はやや持ち直しの機運もあるが)。

この減少理由については諸説があるが、2012年に公開されたブルームバーグのコラム記事【米国での出生率低下、その脅威とジレンマ】によれば、主に3つの理由「女性は自分たちの妊娠出産について、歴史上かつてないほどの力を手に入れている」「かつて子育て支援の役割を担っていた家族や地域社会の強い絆は、産業化や都市化によって断ち切られている」「女性を取り囲む経済状況は大きく変わっている」とした上で、「多くの女性にとって、子どもは最も喜ばしく、最も贅沢な消費財というのが真実(中略)彼らは時間的にも金銭的にも高くつくため、中高所得社会では少なからぬ寂しさとともに、欲しいだけの子どもを持つ余裕がないとあきらめる女性が増えている」と説明し、金銭的余裕の欠乏から、子供を持つことをあきらめる、見方を変えれば「経済的な理由による少子化が進んでいる」と説明している。いわゆる「先進諸国病」の症状の一つというものである(経済的・文化的レベルが上がると、養育費は累乗的に増加し、世帯への子供一人あたりの負担も相応に増える。世帯所得の増加はそれに追いつかず、経済上まかなえる子供の数は減る)。

また「医学、科学技術、公衆衛生技術の進歩や経済の発達に伴い、乳幼児の死亡率が減少する」も一因とするのが道理は通る。概して出産した女性が新たに子を授かるためには、それなりの多様な社会・経済面でのリソースが必要となる。しかし、乳幼児の育児の際にはそのリソースの確保が難しい。一方で乳幼児の段階でその子供が亡くなってしまった場合、次の出産へのリソース確保の機会はより早く得られるようになる。すなわち少子化は「多死多産」から「少死少産」へのシフトの結果であるとするもの。

数年前までは他の先進諸国における合計特殊出産率の低さを、対岸の火事のように見つめているだけだったアメリカが、その川を渡り、自らも火の粉を受けている。日本とは文化的な事由をはじめ諸条件が異なるため、一概に同じとは言い切れないが、検証とその結果を施策に活かす意味でも、日本国内の動向と共に、状況分析が求められよう。


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