初婚年齢男性31.1歳・女性29.7歳、ここ数年はほぼ頭打ち…日本の婚姻率・離婚率・初婚年齢の推移(最新)

2023/08/04 12:19

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2023-0804厚生労働省は2023年6月2日、令和4年(2022年)の人口動態統計月報年計(概数)の概況について発表した。それによると2022年における日本国内の婚姻件数は50万4878件となり、婚姻率は0.41%(推計値)となることが分かった。これは前年2021年の値0.41%(確定値)と同値となる。今回はこの婚姻率の推移をはじめ、日本の結婚関連のデータについて、最新の値を含めグラフ化を行い、状況の変化の精査を行うことにする(【令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況】)。

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婚姻率・離婚率ともに今世紀は漸減中


まずは婚姻率と離婚率。こちらは素直に「人口動態統計月報年計(概数)」のリリースから取得できる。現時点の最新データは上記にある通り2022年分。ここなどから1899年以降の婚姻率・離婚率を抽出し、%に換算した上でグラフ化したのが次の図。現在婚姻している割合ではなく、「該当年において一定人口に対し婚姻”した”値」であることに注意。例えばある年の値が「0.10%」なら、その年は人口1000人につき婚姻件数は1件となる。

↑ 婚姻率・離婚率
↑ 婚姻率・離婚率

↑ 婚姻率・離婚率(今世紀分)
↑ 婚姻率・離婚率(今世紀分)

婚姻率は戦前では大体0.8%前後で行き来している。何度か上昇と下落の動きがあるが、確証・因果関係の説明はできないものの、おおよそ大きな戦争の直前に上昇し、戦中は下落する動きを示していることから(日露戦争、第一次世界大戦、満州事変、日中戦争が該当する)、国民の間にも戦争の雰囲気を肌身で感じて事前に婚姻する意思が高まるのかもしれない。

1947年に記録した最大値となる1.20%に至る大きな婚姻率の伸びは(実のところは1944-1946年は戦中・戦後の混乱による資料不備で値は非公開であり、1947年分は戦後初の公開値)、太平洋戦争終結直後に生じた結婚ブームによるもの。この高婚姻率がいわゆる「団塊の世代」を生み出し、この世代が結婚することで1970年前後の第二次結婚・ベビーブームの源となっている(1970年前後の婚姻率の高まりがそれに該当)。

しかしそれから20年後の1990年前後に再びの形で、第三次結婚・ベビーブームは起きていない。多少の上乗せ傾向が見られる程度(1990-2001年あたりまで、やや底上げされているのが該当)。価値観の変化や結婚時期の分散などが起きたためで、1950年代・1970年代のような盛り上がりは確認できない。以後、婚姻率は高齢化や晩婚化、価値観の変化などとともに減少傾向にある。

一方離婚率は1960年代までは減少をしていたものの、その後少しずつ上昇。2002年には戦後最高値の0.23%をつけている。それ以降は婚姻率そのものが減少しているため(今件の値は人口に対する割合であり、婚姻者に対する割合ではないことに注意)、婚姻率同様に離婚率も減少傾向にある。2011年には節目となる0.20%を切り、さらに漸減する動きを示している。

なお2019年以降の値は今世紀分のグラフを見れば分かる通り、イレギュラー的な動きをしている(2019年の婚姻率は特に)。これは2019年の改元と2020年以降の新型コロナウイルス流行の影響によるものである。

初婚年齢は上がる一方、だったが


続いて初婚年数推移。

↑ 平均初婚年齢(歳)
↑ 平均初婚年齢(歳)

↑ 平均初婚年齢(歳)(今世紀分)
↑ 平均初婚年齢(歳)(今世紀分)

最新値となる2022年においては夫は31.1歳・妻は29.7歳が平均初婚年齢。前年2021年分と比べると夫はプラス0.1歳、妻はプラス0.2歳となっている。1950年(夫25.9歳、妻23.0歳)と比べると、大体5年強のプラスとなる。以前【ますます伸びる交際期間と縮む夫婦間年齢差…日本の夫婦事情の推移(最新)】で紹介した、厚生労働省による5年ごとの調査「出生動向基本調査」では、夫30.7歳・妻29.1歳であり、値としてはほぼ一致する形となる。



初婚率におけるここ数年の前年比でほぼ変わらずな動向は、この年齢が現状の社会環境における天井なのかもしれないとの推測が導き出せる。しかしそれを確証づける根拠は無い。また婚姻率の減少は、【大学生の結婚希望率は69.4%、でも出来ない理由とは……若年層の尽きぬ悩み】【「結婚しても子供は必要ない」20代・30代は6割に】などでも触れているように、短期的には経済的な問題、そして中長期的には男女間の価値観の移り変わり(例えば離婚の許容度は年々増加傾向にある)や社会環境の変化が影響していると考えてよい。ただし直近の2022年では夫と妻ともに前年からプラスを示しており、気になる動きといえる。特に妻の29.7歳は記録のある中ではもっとも大きな値であり、今後の動向について大いに注視したいところ。

晩婚化は少子化の一因となり、そして少子化は社会構造全体に対する負荷の要因となる。さらに晩婚化は出産時における女性への負担を重いものとする。多様な問題点が連鎖する話であり、中長期的視野に立った、抜本的かつ包括的な対策が求められよう。


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