日本の高齢出産状況をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/09/28 13:22

厚生労働省は2016年9月8日に同省公式サイトで、人口動態調査における人口動態統計(確定数)の2015年版の概況を公開した(【発表ページ:平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況)】)。今回はこの発表値などを基に、「高齢出産化」の状況を確認していくことにする。

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平均値的な高齢出産化に関しては、すでに【初婚年齢推移をグラフ化してみる】などで図式化されることにより、明らかにされている。平均初婚年齢が上がり、それに伴い出産年齢も押し上げられる形である。

↑ 平均初婚年齢と母親の平均出生時年齢の年次推移(年区分間隔が時間経緯通り)(-2015年)(再録)
↑ 平均初婚年齢と母親の平均出生時年齢の年次推移(年区分間隔が時間経緯通り)(-2015年)(再録)

今件では冒頭の通り、厚生労働省の「人口動態統計(確定数)の概況」に添付されている統計表から、「第4表 母の年齢(5歳階級)・ 出生順位別にみた出生数」母親の年齢別における、各年の出生数動向を見ていくことにする。

本来ならば同様に「第5表 母の年齢(5歳階級)・ 出生順位別にみた合計特殊出生率(内訳)」を用い、あるいは総務省のデータベースe-statなどに収録されている値をもとに、合計特殊出生率も最新の2015年分までを反映するべきなのだが、該当年の2015年は国勢調査が行われたこともあり、報告書では「出生・死亡・自然増減・婚姻・離婚率、合計特殊出生率及び年齢調整死亡率は、平成27年国勢調査の年齢別人口確定後、算出・公表する」と記載されているのみで、現時点では取得不可能。そこで前年分の2014年分までを反映させる。

直近分だけでなく、過去の「人口動態統計」の公開値を用い、2000年以降2015年(2014年)までは毎年、それ以前は5年おきの値を抽出。さらに戦前の値に関しては、【国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集】の「IV.出生・家族計画」「表4-7」から抽出した。こちらの値は古いものは1925年で、それ以降は5年おき。ただし1945年は戦後の混乱期もあり、1947年に繰り延べ。以降1950年、1955年と通常パターンに戻っている。

それらのデータを取得した上で、各年の「母親の年齢別出産数」を単純に積み上げグラフの形にしたのが次の図(年代区分の時間的間隔が異なることに注意)。多数を占める世代区分4つには、具体的な年齢が分かりやすいように年齢区分を示したプレートを配してある。さらに各年の出生数合計に対し、どれだけの比率を占めているのかを世代区分別に見たグラフも併記する。

↑ 母の年齢別に見た出生数(-2015年)
↑ 母の年齢別に見た出生数(-2015年)

↑ 母の年齢別に見た出生数(各年全体比)(-2015年)
↑ 母の年齢別に見た出生数(各年全体比)(-2015年)

実は戦前においても、現在ほどではないものの高齢出産はごく当たり前の話で、しかも出生数そのものが多いことから、高齢出産による出生数は現在をはるかに上回る数となっている。例えば1925年においては一般定義に基づいた高齢出産(35歳以上の女性による出産)数は42万8299人。直近となる2015年の28万2159人の約1.5倍にあたる。

これは【日本の平均寿命の推移をグラフ化してみる】などで解説している通り、戦前・戦中までの日本においては(他国同様)衛生面や社会インフラ、医療技術の点などで現在と比べてはるかに死亡リスクが高く、その結果平均寿命が短いがため、出産が国策的に奨励されていたことが要因(「産めよ増やせよ」「富国強兵」あたりのキャッチコピーを知っている人も多いはずだ)。また生物学的・本能の面でも、人口の維持増大のためには健康である限り高齢でも出産をする社会的性質も後押ししていた。いわば「多産多死」の状態だったことになる。

出生数そのものが減っているのは【日本の出生率と出生数をグラフ化してみる】などで解説している通りだが、高度成長期以降は若年層(赤系統)による出生が減り、その上の層(青系統)が増えているのが、このグラフからは良くわかる。出生数の変化は単なる減少では無く、若年層による出生数の減少と、中堅層による出生数の漸増という状況変化を伴ってのものである。1970年では20代までで7割強だった出生数が、直近2015年では4割を切る状態にまで減少している。なお昨今の高齢出産化は晩婚化や医療技術の進歩、社会観の変化などが要因となっている。

やや余談になるが、各世代区分別の出生率と、それを積み上げることによって算出される合計特殊出生率の推移は次の通り(上記の通り、現時点では2014年分が最新)。こちらは「国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集」上にはデータが無いため、「人口動態統計」からの取得値のみのグラフとなる。

↑ 母の年齢別に見た合計特殊出生率(内訳)(-2014年)
↑ 母の年齢別に見た合計特殊出生率(内訳)(-2014年)

視点は違えど、やはり「20代による出産減少」「30代以上による出産増加」が見て取れる。それと共に2006年以降漸増している合計特殊出生率は、内訳として高齢出産によるところが大きいことも確認できる。

なお直近2014年は前年と比べて合計特殊出生率が0.01ポイント減少している。この内訳は次の通り。

↑ 合計特殊出生率変移(2013年→2014年)
↑ 合計特殊出生率変移(2013年→2014年)

高齢出産化が進んでいる、特に20代で減少し、30代後半から40代前半で増加している様子が分かるが、同時に20歳未満の出生率がわずかながら増加の動きが生じているのも注目に値する。


高齢出産に関しては母親の心身にかかる負担なども合わせ、さまざまな問題が指摘されている。同時に初婚年齢がかさ上げされる社会情勢ゆえに、時節の流れの上で仕方がないとの意見もある。どの意見が正しいのかについて早急な回答が出せるわけではないが、社会現象の一端として認識すると共に、必要ならばしかるべき対応をとるべきだろう。


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