世界の対外債務状況をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/01/01 15:33

日本の財務状況が話題に登る際に、まるで赤い糸で結ばれていたかのような必然性のレベルで語られるのが、各国の対外債務。要は国単位による国債発行を介した、さらには民間企業や家計ベースでの海外政府・金融機関に対する借入金のことを意味する。今回は世界銀行(World Bank)が提供しているデータベースの値を基に、この対外債務について最新の状況を確認していくことにする。

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最多額はもちろんあの国…対外債務総額


データの取得元は【世界銀行のデータベース:World dataBank】。対象は該当する対外債務(External Debt)データを収録している主要各国。データはSDDSとGDDSの2種類あるが、精度と該当国家が幾分異なるだけでどちらを選んでも大意に影響はない。今回はSDDSの方を対象とする(精度などの問題から条件をクリアできなかったようで、中国が含まれていないのには留意を要する)。現時点で公開されている対外債務は2015年第2四半期(Q2)までのものであることから、その値を用いる。一部の国では最新値がまだ収録されていないため、その国では取得可能な最新値で代替する。

概念について補足しておく。発行された債券のうち外国が購入したものは、国単位での借金となる。例えるなら「Aさんの家庭でお金が足りないから、隣のBさんから5万円を借り受け、その証書を発行する」ようなもの。Aさん・Bさんは別々の国(家庭・家計)な次第。このうち【主要国の対外純資産額をグラフ化してみる】で解説した通り、国が発行したものは政府(公的)部門の債務、民間企業が発行したものは民間部門の債務となる。今回挙げている「対外債務」は概して「民間」と「政府」の債務を合算したもの(Gross External Debt)を指す。

まずは純粋な対外債務額上位国。米ドルベースで換算している。

↑ 対外債務総額(兆米ドル・2015年第2四半期または直近期)
↑ 対外債務総額(兆米ドル・2015年第2四半期または直近期)

今件は政府・民間の合算であること、資産を勘案した純資産額ではないこと(対外債務を多数抱えていても、それ以上の債権を有している国も少なくない)、各国の経済規模は考慮されていないことなどに留意しなければならない。例えばジュース1本分の借金でも、月500円のお小遣いの子供と、月5万円の小遣いをもらっているサラリーマンとでは、負担が大きく異なるのと同じである。

額面だけで見ると、この数年は何度となく政府内の財務問題(予算や国債発行額上限)で大いにもめて国内外をやきもきさせているアメリカ合衆国が断トツに多い。そして次にイギリス、フランス、ドイツ、オランダ、ルクセンブルグが続く。日本は7番目、2.74兆ドル。

対GDP比と国民一人あたりで見てみよう


さて、実質的な国毎の負担を知るのには、総額以外に国単位での負担の度合いを考える必要がある。そこで各国のGDP(国内総生産。Gross Domestic Product)を同じく世界銀行のデータベースから抽出し(該当国の値が揃っている2014年のものを利用)、対外債務総額のGPD比率を算出したのが次のグラフ。直上のたとえなら、「月500円のお小遣いでは120円のジュース代は24%にも相当し、大きな負担となる」「月5万円の小遣いなら、120円のジュース代は0.24%でしかなく、ほとんど苦にならない」のような状況を確認できる。

↑ 対外債務総額・対GDP比(2015年第2四半期または直近期、GDPは2014年)
↑ 対外債務総額・対GDP比(2015年第2四半期または直近期、GDPは2014年)

飛びぬけて高いのはルクセンブルグ。これは同国はアイスランド同様に「巨額のお金を海外から借り入れ、それをより高利回りな金融商品(例:サブプライムローンを含んだ証券化商品など)に投資することで、利ざやを稼ぐ」ことを主な生業としているため(俗に言う「金融立国」)。上手く立ち回れているうちは非常に良い収益が期待できるが、2007年以降の金融危機のような状況になると、大きな痛手を受けることになる。その痛手はまだ癒されていない。

またこの手法は主に「(人口面で)小国」「資源や産業に乏しい国」が国の財政面を支えるためによく行われたもので、上位にはその条件に合致する国が並ぶ。なお繰り返しになるが、今値は「対外債務総額」比率であり、政府債務のそれではないことに注意する必要がある。日本の姿が見当たらないが、これは上位20位以内には存在しないため。同一条件下では日本の値は60%。上から数えて54番目な次第。

最後に対外債務を、単純に各国人口(全年齢)で割った値。「国民一人あたりどれほどの対外債務を背負っているか」を示したもの。こちらも取得可能な最新値である2014年の人口値を用いている。

↑ 対外債務総額・対国民人口割額(2015年第2四半期または直近期、万米ドル/人、人口は2014年)
↑ 対外債務総額・対国民人口割額(2015年第2四半期または直近期、万米ドル/人、人口は2014年)

こちらは対GDP比のグラフ以上に、ルクセンブルグの突出度が際立つ結果となった。それを除くとアイルランド、アイスランド、オランダ、マルタ、シンガポールなど、やはり似たような国が並ぶ。こちらも日本の姿が見当たらないのは対GDP比グラフと同じ事情によるもの。日本の値は約2.2万ドルで、上から30番目となる。



今件はあくまでも民間と政府の対外債務をすべて合算した値をベースとしている。単純な比較にはそれなりのリスクが生じるため、合算値であることや、債権動向も合わせて比較することをお勧めする。また中国など一部の国は精査外となっている事にも注意を要する。一方、関連する記事を合わせ読むことで、国内外の債務状況が今より確実に、明らかな形となって見えてくるに違いない。


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