都道府県別の新聞発行部数の変化をグラフ化してみる(2017年)(最新)

2017/01/03 05:24

先行記事で【社団法人 日本新聞協会】の発表データを基に、2016年における新聞の発行部数が前年比で97.1万部・2.19%ほどの減少を示していることをお伝えした。今回は同協会の公開値を用い、同じく2016年における、都道府県別の新聞発行部数の前年分と比較した変移を確認していくことにした。新聞発行部数はすべての都道府県で一様に減っているのだろうか。

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新聞発行部数が漸減しているのは、先の記事にもある通り。

新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)(再録)
↑ 新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)(再録)

今回の主旨は都道府県別の発行部数を抽出した上で、直近2016年分とその前年2015年分を比較するもの。2015年分は前年記事作成時に用いた値をそのまま活かし、2016年分は協会公式ページで提供されている公開値を取得。各都道府県別に計算を行い、出来上がったのが次のグラフ。

↑ 日刊紙の都道府県別発行部数変移率(2015年→2016年)
↑ 日刊紙の都道府県別発行部数変移率(2015年→2016年)

まずグラフの全体像だが、プラス領域が沖縄県のみ。つまり、沖縄県以外のすべての都道府県で前年比で新聞の部数は減少していることになる。全国平均ではマイナス2.2%。

先の震災の影響で被災3県、岩手・宮城・福島の新聞発行部数(≒購入者・世帯)が減少しているのでは、との懸念は良く耳にするが、2010年から2011年の変異ならともかく、それ以降においては特段他の地域と差が出るような形での減退ぶりは見られない。今回の2016年分においては3県とも減少しているものの下げ幅はむしろ他地域よりも小さく、特に岩手県と宮城県では47都道府県においてマイナス幅を計上している地域ではもっとも低い減少率、マイナス0.2%を示す結果となった(厳密には岩手県がマイナス0.153%、宮城県は0.249%)。震災時の混乱から脱し、居住環境が落ち着いて新聞を購読する余裕が持てる人が増えたのか、あるいは新聞購読性向が比較的高い高齢者が増えたのかもしれない。

新聞一方、傾向的に見ると関東地域における下げ幅が著しい≒新聞の購読者数・世帯が急激に減少しているのが分かる。また近畿地方や九州・四国地方でも下げ幅が大きめなのが目に留まる。一方、視点を変えると都市圏での下がり方は相変わらずで、都市居住者における新聞離れが懸念される。熊本県の突出した下げ幅は、先の地震の影響があるのかもしれない。

今回イレギュラーの可能性がある、そしてグラフ生成上不都合があるため上記図からは除外しているが、海外における発行部数が大きく減っているのも注目される。具体的には2015年時点で約4万0800部だったものが、2016年では約3万7700部となり、前年比でマイナス7.7%もの高い下げ幅を記録している。デジタル化への移行に伴う紙媒体としての新聞の必要性の低下は、海外利用者の方が強い認識を示しているのだろう。

ともあれ、2011年3月の震災を直接起因とした新聞の発行部数へのマイナスの影響は、2016年時点ではすでに無いと断じて良い。むしろ関東地域など都市圏の減少にこそ注目したい。都市圏の動きは「インフラ整備が進んでいる」「デジタル化の促進」「インターネットによる情報取得傾向が強い」「紙媒体の必要性の低下」との流れである程度説明はつく。あるいは世帯人口数の減少、若年層が集中することによる新聞忌避の動きも一因だろう。

ちなみに都道府県別の世帯当たり部数を確認すると、関東地方・中部地方は高めだが、東京都・大阪府のような大都市圏は低め、そして東西日本では西日本が低めの結果が出ている。

↑ 日刊紙の都道府県別・世帯当たり部数(2016年)
↑ 日刊紙の都道府県別・世帯当たり部数(2016年)

2016年において西日本の下げ幅が大きめだったのは、減少傾向が続いている、むしろ加速化しているのが一因だったのだろう。他方、東京都はすでに関東地域内ではすでに低めの値が出ているにもかかわらず、今回年ではさらに大きな下げ幅を示した。来年も同じ動きなら、東京都の新聞離れ的な言葉も生まれるかもしれない。関東地域は元々新聞購読者が多く、中でも東京都は人口・世帯数が多数に及んでいる。その東京都で高い減退率で新聞部数が減少していく状況は、新聞界隈には冷や汗どころの話では無い。状況の分析と対策が求められよう。


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