1年間で112万部減、1世帯当たり部数は0.80部まで減少…新聞の発行部数動向(2016年)(最新)

2016/01/02 16:21

【社団法人 日本新聞協会】は2015年12月22日、同社が公開している協会所属新聞社の各種データのうち、【新聞の発行部数と世帯数の推移】について、2015年10月分の値を2015年分として反映した最新値の公開を行った。今回はこの公開値を基に、定点観測を行っている日本の新聞業界全体における発行部数動向について、再精査と共に現状の把握をしていく。

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全体で1年間に112万部減


まずは全体値。【社団法人 日本新聞協会】内の【新聞の発行部数と世帯数の推移】から必要なデータを取得する。現時点では2000年から2015年までの値が掲載されている。ただしこちらには以前からの取得値もあるので、当記事のグラフでは1997年以降のものが生成できる。

最初は新聞そのものの発行部数の推移グラフ。ちなみに朝刊と夕刊を共に取っている家庭においては双方を合わせて「1部」として換算している。

新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)
↑ 新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)

「割合にしては」さほど大きなものではないが、前年2014年からさらに部数を減らしているのが確認できる。具体的には減少部数・比率は(1年間で)111.6万部・2.46%ほど。2014年の前年比はマイナス3.48%だったので、下げ度合いがやや落ち着いたことになる。もっとも、前年比で部数が落ちていることに変わりはない。

続いて減少率著しいスポーツ紙のみでグラフを再構築。

スポーツ紙発行部数(万部)
↑ スポーツ紙発行部数(万部)

じりじりと少しずつ、だが確実に身を削られていく雰囲気がグラフに表れている。この1年の減少部数は12.1万部・3.28%ほど。前年がマイナス5.10%であったことから、減退スピードはやや落ち着いたものとなる。とはいえ全体部数同様、前年比で部数が減っていること自体は覆しようもない。

1世帯あたりの部数は1部を割り込み、0.80部に


次に各年の住民基本台帳を元に世帯数を割り出し、新聞発行部数と比して「1世帯あたりの新聞部数」を算出したグラフを生成する。

1世帯当たり部数
↑ 1世帯当たり部数

以前の記事で「1世帯当たりの部数が1.0部を割り込んでしまった」との表現で危機的状況を解説したが、それから回復する兆しは無く、むしろ減少が定例化している。これは部数の減少と共に、【「お年寄りがいる家」のうち1/4強・552万世帯は「一人きり」】などで解説している通り、核家族化・世帯構造の変化によって、世帯数そのものが増加しているのも一因。その上【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)(2015年)(最新)】でも言及したように、購入世帯数そのものが減っている。結果として「1世帯当たりの部数」が減って当然の話ではある。

世帯の型別主世帯数(×1000世帯)(再録)
世帯の型別主世帯数(×1000世帯)(再録)

高齢世帯の増加により、一見すると旧来メディアの視聴時間・視聴者数は増えそうに思える。しかし実際には、テレビは増加する傾向を見せるものの、新聞は(減少幅の違いこそあれ)全世代で「新聞離れ」が起きているのが確認できる(【5年の間にこれだけ変わる…テレビ視聴と新聞購読時間の変移をグラフ化してみる(2011年版情報通信白書より)】)。これでは新聞購読者そのものが減るのも致し方ない。

↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(分/日)(再録)
↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(分/日)(再録)

↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(2005年から2010年への変移率)(再録)
↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(2005年から2010年への変移率)(再録)

前年比の動向で新聞業界の状況を確認


次はデータが取得できる範囲での発行部数の前年比を、全体、および一般紙とスポーツ紙に分けてグラフ化し、状況を確認する。

新聞発行部数前年比(全体)
↑ 新聞発行部数前年比(全体)

新聞発行部数前年比(一般紙とスポーツ紙それぞれ)
↑ 新聞発行部数前年比(一般紙とスポーツ紙それぞれ)

スポーツ紙は押し並べて前年比マイナス数%を継続している(プラスは2000年のみ)。不調ぶりがここ数年の傾向では無く、記録の限りでは前世紀末期からであることが分かる。

一般紙は2004年位までは前年比マイナスプラスを行き来していたが、2005年以降はマイナスのまま推移している。奇しくもこの「2005年」は【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】でも解説した、テレビCMの単価低迷傾向が始まった時期と一致する。同じタイミングで普及率の上昇が始まったインターネットや携帯電話の影響が、少なからず及んでいることは間違いない。

最新値となる2015年は上記解説の通り、一般紙もスポーツ紙も前年から下げ幅を縮小し、少なくとも状況の加速的な悪化は避けられた形。とはいえ双方ともマイナス圏に違いは無く、10年以上プラス圏に復調していない状況を見るに、可及的速やに、かつ有効な手立てを講じる必要があることに違いは無い。



2011年、さらには2012年は減少の原因の多分が震災にあると考えることもできるが、それ以降は影響はほぼ消えていると考えるのが道理。2013年以降の減少ぶりは、中長期的、そして全体としての下落傾向によるものと考えて間違いはない。

多種多様な社会構造の変化に伴い、新聞そのものを取らなくなった世帯が増えている事実に変わりはない。これは上記でも触れている「週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)」をはじめとした、各種調査結果からも明らかである。

↑ 総世帯の書籍・他の印刷物への平均購入頻度(総務省統計局発表)(月次)(再録)
↑ 総世帯の書籍・他の印刷物への平均購入頻度(総務省統計局発表)(月次)(再録)

また、スポーツ紙の急激な減少ぶりは、2002年における減少の一因「不景気によるもの」はもちろんのこと(ただしそれでは2008年の減少率が穏やかな説明がつかない)、内容・魅力の相対的・絶対的な劣化とそれに伴うコストパフォーマンスの低下、さらにはスマートフォンや従来型携帯電話、電子書籍リーダーなど「すき間的な時間の暇つぶし」に使えるメディアが増えたことなどが大きな要因と推測できる。そしてその流れは加速化しており、今後も継続するのはほぼ確定的。

ともあれ、「紙媒体の」新聞には辛く、厳しい時代が続くに違いない。


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