主要国の電力消費量をグラフ化してみる(2015年)(最新)

2015/11/23 15:56

以前【世界の二酸化炭素排出量比率をグラフ化してみる】で主要国と世界全体の二酸化炭素の排出量の状況を精査したが、記事執筆の際に関連する事項として、主要国の電力消費状況を確認した。その一次データとなる国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)が発行している調査資料「Key World Energy Statistics」について、【IEA - Free publications(公開資料一覧ページ)】で確認したところ、最新版の「Key World Energy Statistics 2015」(KWES)が公開されていることが判明した。そこで今回は「KWES 2015版」とし、最新データを基に主要国の電力消費量をグラフ化し、状況の把握を行うことにする。

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一人当たりと国全体


まずは各国一人あたりの電力消費量。「日本の7836kWh/人・年ってどれくらいなのだろうか?」と思う人も多いかもしれない。これは通常の世帯が一年間で消費する電力を、世帯人数分で割った電力量と考えればほぼ間違いがない(ちなみにこれは年ベースなので、21.5kWh/人・日となる。単純に人口で割っただけなので、実際には民間・企業・工場などの消費電力まですべてまとめて平均化してあることに注意)。【50年余の電気料金の推移をグラフ化してみる】や、手元にある電気料金の領収書の束と見比べてみると、理解度も深まるはず。

↑ 一人当たりの電力消費量(2009-2013年、kWh/人)
↑ 一人当たりの電力消費量(2009-2013年、kWh/人)

カナダの電力消費量が多いのは、同国が自然資源に恵まれており、電力料金が極めて安価なため。特に水資源に恵まれており、発電量全体のうち水力発電が占める割合が半数を超えている(【主要国の電源別発電電力量の構成をグラフ化してみる】参照のこと)。余剰エネルギーを他国に輸出できる余裕があるほどだ。そのお隣のアメリカ合衆国の電力消費量が多いのはいわずもがな(工業の発展を電力消費が支えている。「エネルギーは国力」を体現した国といえる)。逆に中国やインドは人口そのものが極めて大きいのと、都市化・電化エリアの国全体に占める割合が「他国と比べて」少なく、必然的に「一人頭の」電力消費量も小さなものとなる。

また直近数年における経年変化をみると、新興国における増加が著しい。これはそれらの国の経済・生活水準が向上することで、必然的に消費電力が増加したのを起因としている。一方で日本は2011年から2012年にかけて減少を示しているが、これは2011年3月に発生した東日本大地震・震災と、それに伴う電力需給問題が原因である。直近分となる2013年では再び増加に転じたが、その値はまだ2010年時の水準には届かない。

これを国単位で見ると、様相は一変する。国の並びをあえて一つ目のグラフと同じにし、国全体の電力消費量を2011年から2013年、そして10年強前の1999年分とを併記した上で書き記したのが次のグラフ。

↑ 主要国・国別電力消費量(1999/2011-2013年)(億kWh)
↑ 主要国・国別電力消費量(1999/2011-2013年)(億kWh)

・直近データでは電力消費大「国」は中国、アメリカ合衆国、日本、インド、ロシア

・電力消費量は中期的には伸びる傾向にある。10年ベースでは多くの国で増加。しかし伸び率は国それぞれで、カナダや日本、イギリス、イタリアのようにほとんど動きが無い国もある。景気動向の横ばい化に加え、省エネ化などの技術革新も大きな要因。

・中国の伸びは極めて著しい(14年で約3.5倍、前年比でも9.1%増)。ブラジル、インド、ロシアなどがそれに続く

・最大電力消費国は2011年において、これまでのアメリカ合衆国から中国に移行した

・日本は2011年以降、国全体としても前年比で減少している。2013年でようやく前年比プラスに転じた

などの特徴が挙げられる。特に日本では、先の「二酸化炭素排出量」周りの記事で大幅な増加を示していたことと合わせて考えると、震災の影響で原子力発電所が止められ電力需給がひっ迫、節電が行われると共に、代替として火力発電所の稼働率・数が増えたことにより、「電力消費量が減少」「二酸化炭素排出量が増加」との状況に陥ったことが再確認できる。2013年は電力総消費量こそ0.9%増に留まっているが、先の記事の通り二酸化炭素排出量は1.5%増。二酸化炭素排出の観点では効率の悪い発電様式が多用された上で、電力消費量が増えたことがうかがえる。

消費量変化を確認してみる


次に示すのは最新データとなる2013年分を前年2012年と比較し、その変移を計算してグラフ化したもの。

↑ 主要国・国別電力消費量(2013年における前年比)
↑ 主要国・国別電力消費量(2013年における前年比)

新興国の中国、ブラジル、インドの伸びが著しい。日本は2011年において主要国中最大の下げ幅を示し、2012年でも引き続き大きなマイナス幅を呈したが、2013年でようやくプラス。少しずつ状況が回復していくようすがうかがえる。イタリアは景気の後退感によるマイナスぶりが著しい。

今件取り上げた対象国の中では、特に中国やインド、ブラジルは近代化に伴う電力消費量の増加が著しい。手元にデータがある2008年以降に限り、毎年の主要国(2013年時点の上位5か国といくつかの新興国)別電力消費量の推移を次のグラフに記したが、他国がほぼ横ばいなのに対し、インドやブラジルが上昇、中国がそれ以上に急カーブを描いて上昇しているのがはっきりとつかみ取れる。

↑ 主要国・国別電力消費量(2008-2013年)(億kWh)
↑ 主要国・国別電力消費量(2008-2013年)(億kWh)

そしてこれら4つのグラフを見比べることで、例えば

「国単位で電力消費量を考えるのはナンセンス。人口が多いから消費量も多いのは仕方がない」

「世界規模で電力問題を考える場合には、結局電力をどれだけ使うかが問題。施策を同じくする、国単位の消費で考察すべき」

「一人当たりの消費量が現時点で少ない中国で、すでに全体ではこのレベルに達しているのなら、アメリカやカナダのような消費水準に達したらどのような事態が発生するのだろうか?」

など色々な考えが頭に思い浮かぶ。今後ますます重要視される国際的なエネルギー問題において、今回の各表が、問題を解くカギの一つとなるに違いない。


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