先月から続き全項目がマイナス・前年同月比でマイナス4.8%(2012年11月分大口電力動向)

2012/12/21 10:30

電気事業連合会は2012年12月19日、2012年11月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年11月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で644億kWhとなり、前年同月比でマイナス0.7%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス4.8%を記録し、6か月連続で前年同月の実績を下回ることになった。ややマイナス幅が大きくなっているのが気になるところ(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事の一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明を行っている。そのページを見てほしい。

2012年11月では大口全体で前年同月比マイナス4.8%。「前年同月比」というしばりがあるものの、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2012年10月-2012年11月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2012年10月-2012年11月)

今月も先月に続き、全項目がマイナスとなってしまった。先々月は唯一プラス、先月は一番小さなマイナス幅を見せた「化学」も、今月は下げ幅を拡大。「繊維」「紙・パルプ」の2項目は10%以上の下げ幅を示しており、頭痛の種となっている。

1年前の記事と比較すると、1年前では「繊維」「鉄鋼」のみが1%台のプラス、残りはすべてマイナス。「昨年同月で上昇したのでその反動により、今月はマイナスになった」という説明はあまり使えそうにない(かろうじて「繊維」の大幅減少要因としては語られそう)。念のため「前々年」同月比を算出したのが次のグラフだが、全項目がきれいにマイナス化していしまっている。

大口電力使用量産業別「前々年」同月比(2012年11月)
↑ 大口電力使用量産業別「前々年」同月比(2012年11月)

特に「紙・パルプ」はマイナス11.8%、先の「繊維」もマイナス12.0%と豪快な下げ方を記録している。電力使用量がそのままその業界の生産・景気動向をストレートに表すわけではないとはいえ、衝撃的な値には違いない。

先月比のグラフでは短期はともかく中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向(これも良く見ると分かるが、多分に「リーマンショック」の反動の面が大きい)がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きが2011年3月で止まり、それ以降は大きく下落しているのが確認できる。これは無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの。その後2012年2月までは多くの項目でマイナス圏での推移が続いているが、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している。

2012年3月以降は「震災による大きな減少」からの反動の色合いが強く、多数の項目で大きく跳ねている。しかしこのリバウンド的な跳ねも一時的なもので、4月以降は失速、6-7月の領域で完全に低迷状態に陥り、以降はその状態が継続しているのが分かる。ちなみに今回の2012年11月・全体値の「前々年」同月比はマイナス7.0%になる(上記グラフより)ことは、知っておいて損は無い。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場の物理的復興は相当率なものとなったが、電力の安定供給や需要の回復を望めず生産施設をたたんでしまった事例をはじめ、節電対策による消費電力減退、景気低迷に伴う生産調整など、生産力の数字的低迷は否めない。そして今夏期は節電「要請」(だが企業にとっては実質的に電力使用制限令と同程度のプレッシャーがある)に伴い、インフラに携わる者も含め、多くの企業や市民が難儀を強いられ、大きな負担を背負った。さらに今冬も、警戒される地域こそ異なれど、同じ状況が繰り返されている。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。

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