「夫は外働き、妻は家事」賛成派は3割台で漸減中(最新)

2023/04/04 02:48

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2023-0328内閣府は2023年3月27日、男女共同参画社会に関する世論調査の結果を発表した。それによると調査対象母集団においては夫婦の家庭生活に関する考え方「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」について、賛成派は3割台にとどまり、反対派は6割を超えていることが明らかになった。1992年以降今回発表分も合わせ、これまでに10回同じ内容の質問が行われているが、おおよそ賛成派は減る傾向にある(【発表リリース: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)】)。

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今調査は2022年11月24日から2023年1月1日にかけて、日本国内に居住する18歳以上の日本国籍保有者から層化2段無作為抽出法によって抽出された人を対象に、郵送法で行われたもので、有効回答数は2847人。男女比は1534対1313。年齢階層比は18-29歳272人・30代307人・40代443人・50代501人・60代503人・70歳以上821人。

夫婦間の仕事感・両者の関係における古くからの考え方の一つとして「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」というものがある。他方、昨今では女性の社会・職場進出や雇用機会の多様化、ライフスタイルや価値観の変化などもあり、結婚してもそのような様式はとらず、共働きをする世帯が増えているのも事実(【1000万世帯を超えなお増加中…共働き世帯の現状(最新)】)。

そこでこの考え方について回答者自身の考え方として賛成か反対かを尋ねたところ、全体では33.5%の人が賛成派(「賛成」「どちらかといえば賛成」)となった。反対派(「反対」「どらちかといえば反対」)は64.3%で、反対派が多数を占める形となった。

↑ 家庭生活において「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」とする考え方について(男女別)(2022年)
↑ 家庭生活において「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」とする考え方について(男女別)(2022年)

男女別では納得できる動きではあるが、男性の方が女性と比べて賛成派が多い。女性に限れば反対派は7割超え。また男女ともに「どちらかといえば」ではない、強い意思を持った回答は反対派の方が多い。特に女性は3割近くが強い反対の意思を示している。

これを年齢階層別に見ると、年が上になるに連れて賛成派が増えていく傾向がある。もっとも強い意思の上での賛成は、70歳以上でも1割に満たない。

↑ 家庭生活において「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」とする考え方について(年齢階層別)(2022年)
↑ 家庭生活において「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」とする考え方について(年齢階層別)(2022年)

設問の内容が古い考えによるもののため、年長者には肯定する向きが強いものと考えられる。特に70歳以上は賛成派が5割近くとなり、強い意思の賛成意見は6.6%もいる。

これを過去も含めて全10回分の調査結果の推移として見たのが次のグラフ。

↑ 家庭生活において「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」とする考え方について
↑ 家庭生活において「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」とする考え方について

家庭生活において「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」とする考え方について(賛成派・反対派の動向)
↑ 家庭生活において「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」とする考え方について(賛成派・反対派の動向)

長期的には賛成派の減少と反対派の増加が確認できる。共働きに関する他の調査結果からも明らかな通り、夫婦世帯において共働き比率が増加しているのが大きな要因だろう。2012年10月時点ではイレギュラーな動きが生じ、反対派と賛成派の勢いが逆転した流れを示しているが、これは多分にその前年に発生した東日本大震災の心理的影響が働いたものと考えられる。何らかのトラブル、特に災害が生じた際に、子供のそばに妻がいない状況を想定した上での変化と推測すれば道理は通る。

他の生活様式や価値観の変化と合わせ考えると、今後もこの動きは継続するものと思われる。今調査は不定期に数年おきに実施されるため、次回調査時期がいつになるかは不明だが、今後の調査動向が大いに気になるところだ。


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