災害に備えた道路面での対策、一番してほしいのは「避難路の整備」

2012/12/17 08:30

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道路工事内閣府は2012年12月3日、道路に関する世論調査の結果を発表した。それによると災害に備えて道路整備の面から求められている対策として、もっとも多くの人が同意を示したのは「安全に避難できる避難路の整備」だった。5割近くの人が望んでいる。世代別に見ると30代の要望がもっとも強く、20代・40-50代が続いている。回答者の居住地域別では「落石や土砂崩れなどが発生しないような、道路の斜面の整備」で地方圏の方が高くなるなど、地域特性に即した防災施策が求められていることが分かる(【発表リリース】)。


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今調査は2012年10月4日から14日にかけて、日本国内で日本国籍を有する20歳以上の男女の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた3000人に対して行われたもので、調査方法は調査員による個別面接聴取法。有効回収数は1866人。男女比は847対1019、世代構成比は20代165人・30代266人・40代318人・50代275人・60代425人・70歳以上417人。

災害発生時、あるいは発生が予見される状況において、インフラが果たす役割は大きい。例えば道路の場合、迅速に安全な場所に避難できるかにおいて重要なカギとなる。また山間部で災害が発生した場合、外部からの助けを求める際、道路交通網が遮断されていると、救助活動は非常に困難なものとなりうる。道路はまさに命綱そのものである。

今件では地震や大雨などの災害に備え、道路整備の面からどのような対策が必要であるかを尋ねているが、その需要最上位についたのは「安全に避難できる避難路の整備」だった。46.6%の人が同意を示している。

↑ 大地震や大雨による災害に備え、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか(複数回答)
↑ 大地震や大雨による災害に備え、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか(複数回答)

直上の事例にもある通り、災害発生直前・発生後において、もっとも有効な移動経路となる道路は、確実に機能している必要がある。日常はもちろんだが、「いざ」という時も極力通常と同じように使えることが求められる(それこそが「インフラ」に求められる機能)。実際には人の力が自然に対抗し得るはずも無く、往々にして無力感を覚える場合もあるが、最善を尽くし、可能な限りの「保険」をかけておかねばならない。

第2位は「救急活動や救援物資などの輸送を確実に行うために必要な幹線道路の整備・複数ルートの確保」。これも事実上は第1位と同じ意味を示す。「必要な時に必要なものが必要なだけ利用できる」。当たり前の話が、非日常時にも極力使えることこそが、道路に求められている。

第3位は災害そのものの予防策、そして第4位は情報の把握と提供をスマートに行うための仕組み作り。ただし第4位は道路行政だけではまかないきれないレベルのものなので、他の項目とはやや意が異なるかもしれない。

これを世代別にみると、概して若年層が高い意欲を示している。

↑ 大地震や大雨による災害に備え、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか(複数回答)(世代別)
↑ 大地震や大雨による災害に備え、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか(複数回答)(世代別)

「特にない」「分からない」の項目がいずれも高齢層ほど高い、特に70歳以上は1/4強が「特にない」と答えているあたり、高齢層の災害対策への無関心度がうかがえる。ただし一部の項目、例えば「落石や土砂崩れの防止」は、若干高齢者が高い需要があるように見える(もっともこれは直接的な需要としてでは無く、高齢者が地方に在住していることが多い=必然的に山間部での落石・土砂崩れが発生しやすい道路に面しているのを意味しているのかもしれない)。

地域別に見た場合、明確に状況・場所別で求められている対策の違いが見受けられる。

↑ 大地震や大雨による災害に備え、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか(複数回答)(居住地域別)
↑ 大地震や大雨による災害に備え、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか(複数回答)(居住地域別)

直上で類推対象とした「地方での落石・土砂崩れとのリスク対面率が高い」件が、そのまま「落石や土砂崩れなどが発生しないような道路の斜面の整備」の回答に現れている。地方に行くほど、需要が高くなっているのが一目瞭然。

また興味深いことだが、「大地震にも耐えうる道路の耐震補強」は他地域でほぼ同率にあるのに対し、東京都区部では異様な高さ(47.6%)を示している。先の東日本大地震・震災で少なからぬ被害を受けたことや、液状化現象リスクなど地盤そのものの問題、そして今後の地震に関して(ある意味過剰なまでの)予見を受けたことが影響した結果といえる。

ちなみに似たような調査(選択肢が異なるため単純比較はできず、あくまでも参考値となる)は2006年7月にも実施されているが、上位陣の動向はほとんど変化がない。

↑ 大地震の発生等に備え、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか(複数回答、2006年7月)
↑ 大地震の発生等に備え、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか(複数回答、2006年7月)

今件調査は震災後に行われたものであるが、災害対策上の道路施政に関しては、需要の変化は起きなかったようだ。


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