三社とも客単価を上げることに成功したものの売上はマイナス…牛丼御三家売上:2012年11月分

2012/12/06 07:30

【吉野家ホールディングス(9861)】は2012年12月5日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2012年11月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス1.3%となった。牛丼御三家のうち【松屋フーズ(9887)】が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年11月における売上前年同月比はマイナス4.2%、【ゼンショー(7550)】が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス8.7%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

スポンサードリンク


↑ 牛丼御三家2012年11月営業成績
↑ 牛丼御三家2012年11月営業成績

吉野家について昨年同月と比較すると、一年前における客単価前年比はマイナス0.7%だったものの、そこから10.8%もの引き上げに成功している(2年越しで計算すると約10%のプラス)。【吉野家、新メニュー「牛焼肉丼」を13日から発売】にもある通り9月13日から発売を開始した「牛焼肉丼」、【吉野家、焼味豚丼 十勝仕立てを11月1日から販売再開】のように販売を再開した「焼味豚丼 十勝仕立て」などの価格は、確実に客単価の引き上げに貢献している。他の2社と比べると客数の減少具合も、多少ではあるが少なめに留まっているのも目に留まる(もっとも客数は元々前年同月比でマイナスなのに加え、一年前における客数前年比がマイナス5.9%であり、そこからさらに落ちていることになり、楽観視はできない)。

焼き豚めし(松屋)松屋は客数と客単価のバランスを取る姿勢が巧みで、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、安定的な売上を継続するスタイルを踏襲していた。しかしここ数か月は客数の減退が目立ち、客単価の勢いにも陰りを見せている。今回該当月は【松屋からトンテキ定食登場】【松屋から「チキントマトガーリック定食」登場】など高単価の新商品を続々と展開しており、それが幸いしてか客単価はプラス7.8%と堅調。しかし客数の減りは無視できない域にある。昨年同月の客数はプラス2.6%で、「昨年同月が大盛況だったので、その反動でマイナスになった」とも言えず、頭痛の種ともいえる(2年越し計算では客数はマイナス8.8%となる)。

すき家も【すき家からエリンギ・しめじ・えのきの「3種のきのこ牛丼」発売】【すき家、「とりそぼろ丼」を11月21日から発売】にある通り、新商品を続々と展開し、これが客単価の維持拡大には成功している。しかし客数の減り具合は先月に続き、最大のものとなってしまった。同社の前年同月における客数はプラス2.8%。2年越し計算でも今回月は客数がマイナス11.1%となり、「昨年の盛況による反動」との説明は難しい。

11月分を各社一言ずつ……というより今回は全部まとめて一言で表現すると、昨月同様「三社とも客単価を上げることに成功したが、それ以上に客足が遠のき、売り上げも低迷」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年11月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年11月)

2011年3月以降は東日本大地震・震災による直接的影響に加え、消費マインドの変化、活力向上祈願も兼ねた安売りセールなどで、客単価や客数、そして売上も大きく変化している。特にこの数年来毎月のように繰り広げられた安売りキャンペーンは「牛丼なのにチキンレース」というあまり笑えない状況を生み出し、さすがに今では沈静化を見せている(もっとも先日、【牛丼並盛250円…すき家、今年の来客3億人の感謝祭を実施】で伝えたように、すき家では現在牛丼値下げキャンペーンを実施中である)。むしろ客単価を底上げする(見方を変えれば元に戻す)ため、比較的高価格な商品展開が相次いでいる。

この数か月はそれらの「チキンレースに後押しされた無理な前進」の後遺症のような低迷ぶりが目に留まる。特に客数動向の点で、前年同月比マイナスが続いているのが気になる(吉野家は11か月、松屋は8か月、すき家は12か月、客数の前年同月比マイナスが継続中)。あるいは消費性向そのものにすら、変化が生じ、その影響が出はじめている可能性がある。

昨今では新興勢力である「東京チカラめし」に刺激を受けた形による、焼肉系丼の動きが注目される。この系統の商品は「新鮮味による集客効果」と「客単価の引き上げ」双方の効果が期待できるのがポイント。各社とも本腰を入れており、単品としてはそれなりに成果も上がっている。しかし全体に与える影響はまだ小さく、業績そのものを底上げするまでには至っていない。

さらに牛丼価格帯の需要に関して、「東京チカラめし」以外にも麺類の小売企業にお客が流れているという話もある。例えば【ハイデイ日高(7611)】が運営する日高屋の【売上高を確認すると】、この一年は毎月客数を伸ばし、売り上げも上昇中であることが確認できる。

ともあれ、引き続き御三家の今後の動向に注目したいところだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー