「自分の資産・貯蓄に満足」4割強、高齢者ほどより満足に(最新)
2019/09/03 05:35


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調査要件などは先行記事【政府への要望、社会保障に景気対策、高齢社会対策(最新)】 を参考のこと。
現在の生活において、資産や貯蓄の面で回答者自身がどれほど満足しているかを聞いたところ、全体では満足している4.9%・やや満足している37.6%となり、合わせて42.5%が「満足派」との結果となった。

↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、男女別)(2019年)
逆に明確な不満を持つ人は15.7%、やや不満が38.7%となり、合わせて54.3%が「不満足派」。「満足派」と比べて11.8%ポイントもの開きを見せている。男女別ではやや女性の方が「満足派」が多いものの、その差異は0.5%ポイント。「分からない」「どちらともいえない」の値を考えれば、ほぼ誤差の範囲。
属性別の明確な差異が見られるのは、むしろ年齢階層別。

↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、年齢階層別)(2019年)
40代までは「満足派」の値にあまり変化は無く、おおよそ年とともに明確な不満の値が増加していく(40代で減るが)。これは多分に世帯を抱え、子供の養育費や住宅ローンの重圧により、首が回らない状態にあることを起因としている(今件は生活全般では無く、あくまでも資産・貯蓄に限定した満足度であることに注意)。50代に入ってようやく子供の養育費や住宅ローンから解放され始め、60代に入ると退職金などでまとまったお金が手に入り、資産・貯蓄の面で満足している人が増えてくると考えれば道理は通る。
もっとも70歳以上になれば(大抵の場合は)消費する金額の方が多いので、現時点での資産・貯蓄の満足度は60代と比べて減ってもおかしくはない。ところがむしろ満足度が増えているのは、この年齢における退職金の額が現在の相場よりも大きかったことや、金銭に対する価値観の世代間での違いなどに起因しているものと思われる。また、自らが消費する金額が小さくなり、所有する資産・貯蓄との比較の点で、より大きく思える点もあろう。今件はあくまでも回答者の心境に基づくものであり、同じ金額でも個々の価値観によって判断・回答は異なることに注意しなければならない。

「資産・貯蓄への満足派は4割強」を、現在の人口構成比率にマッチした「全体としての意見」と見るべきか。その上で年齢階層別の意見にも目を向けるべきか。考えさせられる結果ではある。意見を問われて黙っていたのでは、聞く側としても対応のしようが無いからだ。
ちなみに全体としての「満足度」の経年変化に関しては、大きな動きは無い。

↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、満足派・不満足派別)
「満足派」4割前後、「不満足派」5割強から6割程度のラインを行き来している。ここ数年に限れば「満足派」が増え、「不満足派」が減り、両者の差異が縮まる形を示している。ただし直近年では再び両者の差は大きなものとなってしまったが。社会的、とりわけ経済上の状況改善が継続すれば、この差もさらに縮まるだろうが、過去のデータの限りでは両者がクロスする機会はなかったので、それを望むのは難しいかもしれない。劇的な経済環境の変化が無い限り、このバランスは継続するだろう。
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