貧困世帯の生徒や教師が未熟だと生徒のデジタル技術は劣る?

2012/11/26 10:30

パソコンの先生米国内の大手調査機関【Pew Research Center】は2012年11月1日に、同公式サイトにおいて、インターネットによる検索が子供達に与える影響について、教師の立場から見た調査結果【How Teens Do Research in the Digital World】を発表した。教師の立場からだが、生徒とインターネット検索との関係が垣間見られる報告書して注目に値する。今回はその中からアメリカにおいて、生徒の経済的状況や先生の教師生活年数と、教師が判断した「生徒のデジタル技術の修練度」との関係について見ていくことにする。

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調査対象母集団の詳細などは2012年11月20日掲載の【米教師のほぼすべてが実感する「インターネットで生徒は新しい検索・情報の活用技術を身に着けた」】で説明済みなので、そちらを参考にしてほしい。

デジタル技術、特にインターネットは生徒の学習の場において大きな影響を与えている。教師の目から見ても、さまざまな恩恵が得られているのが確認できる。

↑ インターネット検索に関する分析に対する見解
↑ インターネット検索に関する分析に対する見解(再録)

それでは主にインターネット検索の面において、生徒や教師の環境・状況が変わると、生徒の技術も変化をするものだろうか。報告書ではこの点について、「生徒の経済的格差」「教師の教鞭年数」の2点で大きさ差異が見られるとして、スポットライトをあてている。

まずは生徒(世帯)の裕福さだが、今調査では「低所得・貧困」「やや低所得」「中堅所得」「高所得」の4段階に区分している。そのうち最上位の「高所得」、最下位の「低所得・貧困」に絞り、インターネット検索に関する「教師から見た」生徒の技術修練度に「Poor(劣っている)」との評価を下した教師の割合を示したのが次のグラフ。「正しい答えが出るまで辛抱強く検索し続ける」はほぼ同数だが、それ以外はすべての項目で「低所得世帯の生徒の方が、技術的に劣るとの回答率が高い」結果が出ている。

↑ 次の条件で自分が教えている生徒の技術が大勢において「劣っている」と認識した人の割合(生徒の裕福さ別)
↑ 次の条件で自分が教えている生徒の技術が大勢において「劣っている」と認識した人の割合(生徒の裕福さ別)

項目によっては2倍以上の差異が生じているのが分かる。この原因について報告書では何の説明も無く、さらに仮説を確かなものとする追加資料もないが、可能性としては「経済的なデジタルデバイド」(例えば貧困層は自宅にパソコンが無い、スマートフォンなどを持っていないなど、学校以外でインターネットに触れる機会が少なく、必然的に「慣れ」にくい環境下におかれている)が考えられる。何事にも技術を習得するには訓練と経験が必要であり、その機会が少ない以上、技術の上で劣ってしまいかねない。

一方「教師の教鞭年数」では、「生徒の裕福さ」ほど明確ではないものの、やはり明らかに差異が出ている。つまり「ベテラン教師に教わった生徒ほど、インターネット検索による技術習得に長けている」ということになる。

↑ 次の条件で自分が教えている生徒の技術が大勢において「劣っている」と認識した人の割合(教師の教鞭歴別)
↑ 次の条件で自分が教えている生徒の技術が大勢において「劣っている」と認識した人の割合(教師の教鞭歴別)

こちらも特段報告書での解説は無い。教師生活年数が若い≒若い教師の方が、デジタル技術には長けており、生徒へのアドバイスも優れたものとなるように思えるが、実際には「デジタルであろうと生徒に教えるという点では一般の勉学と変わりがない」ということか(つまりベテランのからの教えの方が、生徒も理解しやすく技術も習得しやすい)。もっとも「劣っている」と判断するのも教師自身なので、幾分は教師の判断自身で差がついている可能性もある。



特に生徒の経済的な面から生じるデジタルデバイドは【アメリカにおける貧富の差で生じるデジタルデバイドをグラフ化してみる】などでも解説しているように、小さからぬ差が見受けられる。公共機関の活用などを積極的に推し進め、少しでも差を縮める努力を行うべきだろう。

もちろんそれらの問題は、日本でも解決すべき課題であることは言うまでもない。

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