「調べる」の意味の変化…米生徒のリサーチ傾向の現状
2012/11/25 10:00


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今調査は2012年3月7日から4月23日にかけて2462人のアメリカ在住の教師に対し、インターネット経由で行われている(2万2590人の教師に電子メールを用いてウェブ上で回答するよう依頼を行い、2462人が回答している)。全アメリカの教師の分布に即したウェイトバックは行われていないが、極力偏りなくデータを取得するよう、地域、教師自身の教鞭期間をはじめとした各種パラメータ、地理的状況、学校の種類などにおいて配慮がなされている。
インターネットと検索エンジン、さらにはソーシャルメディアの登場と普及で、物事を調べる、検索するという行動には大きな変化が生じている。デジタル技術が未浸透だった時代は、物事を本格的に調べるとなると、図書館に足を運んで専門書や新聞のバックナンバーを調べたり、高い業界紙を調達して確認するなど、手間暇費用が非常にかかるものだった。ところが今やインターネットのおかげで自宅や学校、さらには外出時においても多様な検索と情報収集ができるようになった。得られる情報があまりにも多く、欲しい情報・正しい情報の精査能力が求められるものの、格段の進歩をしたことは間違いない。
今件では教師の目から見た、昨今の生徒達における情報検索、「調べる」という行為に対し、どれだけ多用しているか、優先順位を高めているかについて尋ねている。生徒本人への聴取で無いため現実には多少のぶれが予想されるが、少なくとも学習面における情報検索という点では、精度の高さは期待できる。

↑ 検索時に生徒達はどの程度の頻度・量を割り当てているか
もっともよく使われているのは、Googleなどの検索エンジン。子供においてですら、「調べものをするときは検索エンジン、しかもGoogle」というスタイルが一般的になっている。報告書では「教師の中には『生徒にとって今やリサーチはGoogle検索と同義語である(Research=Googling)』と語る人もいる」としており、生徒の間でも、検索エンジンの中としてGoogleが主流であることを伝えている。

興味深いのはYouTubeなどのソーシャルメディアが情報検索対象の上位に挙がっていること。元々生徒にとってエンタテイメントツールとしてなじみ深いYouTube(などのソーシャルメディア)が、情報検索時のツールとしても使われているのが分かる。
以後、ようやく「友達」「参考書」などの物理的対象が出てくるが、値はさほど高くない。学校図書館や教科書以外の紙媒体を使う生徒は半数程度でしかない。デジタルメディアが無かった・普及していなかった時代は、上位項目はまったく使えなかったことを考えれば、「生徒の情報検索の選択肢が大いに広まった」という意見は、まったくもってうなづけるものである。
なお「Research=Googling」だが、少なくともアメリカでは生徒だけでなく大人も同様。以前【Google浸透が進む…米検索利用者の検索エンジン選択傾向】でも記した通り、アメリカでは日本とは事情が異なり、検索エンジンにおいてGoogleが圧倒的なシェアを示している。

↑ もっともよく使っている検索エンジンは(米、検索エンジン利用者限定)(再録)
大人がセットする環境下で、あるいは大人の利用スタイルを見ながら生徒はインターネットの使い方を覚え、使いこなしていく。大人と同じような利用スタイルを取るのは当然の話であり、「Research=Googling」となるのも何ら不思議では無いという次第である。
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