賃貸住宅の敷金・礼金や入居条件交渉の変化をグラフ化してみる(2012年6月発表分)

2012/11/25 08:00

先日【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる(2012年6月発表分)】でも記した通り、賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに更新公開している【賃貸住宅景況感調査日管協短観】の最新版【賃貸住宅景況感調査日管協短観・2011年度下期(2011年10月-2012年3月、2012年6月発表)(PDF)】を元に、既存記事の更新をして昨今の賃貸住宅動向を推し量っている。今回は賃貸住宅管理会社が管理する物件における敷金礼金の現状や、入居者が入居契約交渉時に行う敷金礼金周りの交渉動向についてグラフ化と内容の精査を行うことにする。

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今調査は2012年4月から5月にかけて、インターネットによる日本賃貸住宅管理協会会員に対して行われたもので、有効回答数は289社。回答対象期間は2011年10月1日-2012年3月31日についてのもの。なお項目の目安としては「増えた……+10%以上」「やや増えた……+5%」「変わりなし……プラスマイナスゼロ」「やや減った……-5%」「減った……-10%以上」である。また、公開されている図版・数字の多くでは3段階評価で示されており、この場合「増えた」「やや増えた」が「増加」、「減った」「やや減った」が「減少」に該当する。

まずは礼金・敷金の平均について。礼金は言葉通り賃貸契約が新規に結ばれた際に業者に支払われる「お礼金」のこと。一方で敷金は「賃貸住宅に土台として敷かれた(、そして住宅利用時に少しずつ損耗していく)お金」という概念で考えれば良く、その住宅から引っ越していく際に原状復帰のために使われるお金。ただし自然損耗分については原則的に居住者が負担する必要は無い(居住者の責ではないからだ)。「自然損耗か居住者の過失による損耗か」をめぐり、敷金の返却割合について退去者と賃貸住宅管理会社との間で、意見の相違が生じるという話もしばしば耳にする。そのため居住者は入居時に、出来る限り住宅の状況を記録しておくこと(デジタルカメラの利用がお手軽)が勧められている。

ともあれ、その礼金と敷金についてだが、全国平均では礼金が1.12か月分と1か月強、敷金は1.38か月分と約1か月半近くという結果が出ている。当方が住む東京では昨今において「礼金1か月」「敷金1か月半」という物件の案内を良く目にするので、「大体こんなものだろうな」という感はある。また2年半前の記事の値と比べると、礼金は増加・敷金は減少との動きが確認できる。

↑ 入居時条件(月分)(2011年10月-2012年3月)
↑ 入居時条件(月分)(2011年10月-2012年3月)

関西圏では敷引き(解約引き。入居時の保証金のうち半分程度を退去時の原状復帰費用として固定し、返還しないこと。保証金そのものは半年-8か月分とされ、礼金も含まれる。この制度が導入される物件では更新料も無いのが普通)制度が商習慣として根付いていた関係もあり、礼金の額が他地域の2倍近くに至っている。

地域による商習慣の違いなどもあるが、この値を元に新居を探すのが無難・妥当かもしれない。

「家賃もうちょっと下げられない?」入居時の条件交渉の変化
それでは各業者が抱えている物件において、敷金や礼金、そして賃料、さらには設備の設置(エアコンや洗濯機が好例)に関して、居住希望者との間での交渉度合はどのような動きを見せているのだろうか。それぞれについてその移り変わりを尋ねたところ、全国では3/4が「賃料を下げてほしいとの交渉が増加している」と回答した。礼金・敷金などの初期費用の値引きを求める度合いが増加したとの意見も7割近く。

↑ 入居時の条件交渉の変化(2011年10月-2012年3月、前年同期比)
↑ 入居時の条件交渉の変化(2011年10月-2012年3月、前年同期比)

地域別では「首都圏…賃料値下げ交渉が関西圏より多い」「関西圏…礼金・敷金等の値下げ交渉が首都圏より多い」との動きが見える。それぞれ関東圏での家賃の高さ、関西圏での敷金・礼金(上記にある通り現実には礼金)の高さを背景としていると考えれば間違いない。なお関西圏における設備設置の交渉度合がむしろ減少傾向にあるのが目に留まるが、これは今期だけでなく、ここしばらくの間継続する動きとなっている。「自前で揃える」という気概が強いのかもしれない。

なお全体的に「交渉増加」の多さが目に留まるが、この流れもここ数期の間継続してのもの。前回の記事でも言及したが、賃貸住宅は全般的に入居希望者が主導権を握る借り手市場であることが改めて確認できよう。


■関連記事:
【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる(2012年6月発表分)】

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