アルゼンチンが20%ポイント以上もの上昇でキプロスを抜く(国債デフォルト確率動向:2012年11月)

2012/11/16 06:55

【国債・公債のデフォルト確率上位国をグラフ化してみる(2010年12月17日版)】で説明したように、経済動向を推し量るのを目的とし、債権リスクを示す指針の一つCPDを元に、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を2010年12月から1か月単位で確認している。今回は2012年11月分として、15日時点の数字についてグラフ化を試みることにした。

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国公債のデフォルト確率を意味するCPD(5年以内のデフォルト可能性)の細かい定義、データの取得場所、各種概念は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で解説しているので、そちらで確認してほしい。

今件のグラフは日本時間で2012年11月15日、つまり(日本時間で)昨日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2012年11月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2012年11月15日時点)

先月の記事でも触れているが、欧州中央銀行が財務危機対策・ユーロ防衛策の一環として、国債の無制限買取について合意したことを受けて、EU諸国のCPDは一端大きく後退した。しかしその後も各国の足並みは「揃った」とはお世辞にも表現しがたく、また状況改善のためにより一層のEU諸国内における融合(具体的には共通予算による財務的な統合)の話も飛び出し、それぞれの国の思惑は混沌化しつつある。例えばギリシャでは不況の深刻化でGDPが大きく減退し、財政緊縮に対するデモが相次いでいる。先日の【ロイター伝】でもIMF(国際通貨基金)とユーロ圏との間にギリシャ支援(債務削減方法)における対立が発生していると伝えられている。ギリシャ自身のCPDは1ポイント強低下したものの、危機的な状況に違いはない。

また先月同様、アメリカの州(公債)が2つも入っているのが目に留まる。同国の州レベルでの財務状態の厳しさが、改めて思い知らされる。両州は財政上の負債額が極めて大きく、今リストに顔を連ねるのも当然といえる。アメリカの大統領選挙はオバマ氏の再選で幕を閉じたが、この結果がどのような影響をもたらすことになるのか、気になるところ(とりあえず今月は、先月比でやや値を落としたようだが)。

今回の上位陣グラフでは、矢印で示したようにアルゼンチンとポルトガルが気になる上昇を示している。アルゼンチンは元々インフレの継続、治安の悪化に加え、【S&Pがアルゼンチンを格下げ、債務管理リスク高まると指摘(ロイター)】にもある通り、アメリカの裁判所がアルゼンチンの過去の債務に関して(結果として)不確実性を高める判決を下したのが一因。ポルトガルも景気後退や予算の圧縮、それらに対するデモの機運の高まりを受け、情勢が不安定な状態にある。



↑ 先日アルゼンチンで行われた、高インフレと犯罪率悪化をもたらした政府の失策に対するデモ。説明によれば10年来の大規模なものだったとのこと。現大統領の再選を可能にする憲法改正などに抗議する意味合いもあったようだ。
↑ 先日アルゼンチンで行われた、高インフレと犯罪率悪化をもたらした政府の失策に対するデモ。説明によれば10年来の大規模なものだったとのこと。現大統領の再選を可能にする憲法改正などに抗議する意味合いもあったようだ。【直接リンクはこちら】

EU諸国の債務問題に対して、各国の合意や支援組織から援助対象となる国に対する支援条件、要請政策は概して緊縮財政の類。「無駄遣いに過ぎるから負債が増える」という考えに基づいたものだが、各国市民からは反発も強く、選挙絡みで債務問題解決の動きに大きな影響を与えている(IMF自身も先月【焦点:IMFが緊縮一辺倒の過ち認める、遅すぎた方向転換(ロイター)】にある通り、緊縮一辺倒の方針が過ちであることを認める姿勢を見せている)。

なお日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版【2012年第3四半期リスクレポート(CMA Release Global Sovereign Credit Risk Report Q3 2012、PDF)】で確認できる。それによると、CPDは6.9%で順位は17位。前四半期の2012年第2四半期は7.5%・9位だったので、状況自身は改善、相対順位は悪化という塩梅になる。CPDの算出上では、日本の財務状況回復の歩みは上位他国と比べて緩やかだと判断されているようだ。

日本の企業動向、株式市場にも大きな影響を与えている、そしてCPDの動きにも(間接的に)影響を及ぼしている(ユーロ安はユーロ圏の財政が不安定化しているのが最大要因。そして財政不安状態はそのままCPDの上昇につながる)ユーロ動向だが、ここしばらくは欧州中央銀行の動きを受け、大きくユーロが戻し、1ユーロ100円-105円のラインを行き来している。

↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2012年11月14日)
↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2012年11月14日)

大きく経済・政治動向が動くこのような状況だからこそ、失業率の動向と合わせ、債券リスクに絡むCPDの値は、各国の経済情勢をかいま見る有効な指標の一つとなりえる(特にEU諸国)。今後も失業率同様、CPD値には注意深く監視の目を向けたいところだ。


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