メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる(2012年6月発表分)

2012/11/16 12:10

以前何度か追跡解説をしていた、賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに更新公開している【賃貸住宅景況感調査日管協短観】を元にした記事内容に関する問い合わせがあった。良い機会でもあり、直近のデータ【賃貸住宅景況感調査日管協短観・2011年度下期(2011年10月-2012年3月、2012年6月発表)(PDF)】を元に、記事データの更新をして昨今の動向を推し量ることにした。今回は、メディアごとの賃貸住宅業者への反応について見ていくことにする。

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今調査は2012年4月から5月にかけて、インターネットによる日本賃貸住宅管理協会会員に対して行われたもので、有効回答数は289社。回答対象期間は2011年10月1日-2012年3月31日についてのもの。なお項目の目安としては「増えた……+10%以上」「やや増えた……+5%」「変わりなし……プラスマイナスゼロ」「やや減った……-5%」「減った……-10%以上」である。また、公開されている図版・数字の多くでは3段階評価で示されており、この場合「増えた」「やや増えた」が「増加」、「減った」「やや減った」が「減少」に該当する。

リリースでは「反響効果」と「反響数」が別個の項目で掲載されている。前者はどちらかといえば回答者の主観的な判断によるところが大きく(あるいは「利用媒体」による結果が直接には結びつきにくいもの)、後者は具体的な数字のカウントで比較できるもの(あるいは利用「される(お客から)」媒体そのもの)。ニュアンスとしてはほぼ同じであり、区別をしながらも同一のグラフにまとめることにした。

↑ 賃貸住宅管理会社に対する反響効果・反響数の変化(2011年10月-2012年3月における、前年同期比で)
↑ 賃貸住宅管理会社に対する反響効果・反響数の変化(2011年10月-2012年3月における、前年同期比で)

ぱっと見で分かるのは、カタカナ項目の「緑の多さ」と、漢字項目の「赤の多さ」(ただし「電話」は別)。それぞれ「ネット系項目の”増えた”が多い」「旧来メディアの”減った”が比較的多い」を意味しており、

・賃貸住宅情報を一番の売りにしている「情報誌」の集客効果が減少。
・インターネットやメールなどITツールを用いた賃貸物件に関する情報提供の成果が出ている、実感できる。
・「直接来店」も来客数は増加する傾向にあるが、電話やメールの勢いには及ばない。「ある程度の探り」はインターネット上で済ますお客が増えていると考えられる。

など、前回の傾向がほほぼ継続しているのが分かる。つまり「検索性・比較性・情報のスピード感の点ではインターネットやメールにかなうものは無く、半ば情報誌・自社誌の需要がインターネットなどに食われた形」。

ただし前回と比べるとIT回りの盛況ぶりは底上げされ、非IT経由での反応も良いものとなっている。「前年同期比」ということもあり、前年の同期がよほど悪かったのか(反動によるプラスという仮説)と【2010年度下期(2010年10月-2011年3月)(PDF)】を確認したが、そのような動きはまったく見られなかった。どうやらリーマンショックなどによる「どん底期」からは、少しずつ回復の過程にあるようだ。

また、「看板」は非IT系の中では堅調さが目立つ。これは元々新旧メディアではカバーできない領域を抑えていることもあり、「旧来メディアから新メディアへの移行」の流れに巻き込まれていないものと思われる。また、震災以降の「旧来屋外広告媒体への価値見直し」にそった形といえる。

これらの動きをはっきりと分かるようにするために、「増えた派」から「減った派」を引いたDI値を算出した結果が次のグラフ(リリース本文にあるDI値ではなく、今記事作成にあたり独自に算出した)。

↑ 賃貸住宅管理会社に対する反響数の変化・DI値(2011年10月-2012年3月における、前年同期比で、増えた派-減った派)
↑ 賃貸住宅管理会社に対する反響数の変化・DI値(2011年10月-2012年3月における、前年同期比で、増えた派-減った派)

前回記事の「旧来メディア=マイナス」「新メディア=プラス」という構図からはやや変化し、「旧来紙メディア=マイナス」「新メディア、直接アプローチ(手段を問わず)=プラス」という図式が出来上がっている。各項目を詳しく見ると、やはりIT系のメディアの方が伸び率が高く、効果が大きい様子が分かる。また、全般的に活況にある中で、「情報誌」「自社誌」のマイナスぶりを見るに、同業界の危機感が並大抵でないことが把握できる。

反響数項目で「メール」が一番効果が上がり、「電話」「直接来店」の順を成している動きからは、利用者側の「できるだけ手間をかけずに、時間を拘束されずに業者へ確認をしたい」という考えが見て取れる。

・「来店」……時間がかかる、足を運んでも担当がいないかもしれない(繰り返しが必要になるかも)
・「電話」……時間はかからないが、担当がいないかもしれない(繰り返しが必要になるかも)
・「メール」……時間はかからないし、担当の都合に合わせて返事がもらえる(一度送ればOK)

効率よく良い物件探しをしたいと考えている借り手にすれば、より適切なツールを選んでいるに過ぎない。以前の記事では「今後もこの傾向は継続し、むしろより強いものとなるだろう」と予想したが、まさにその通りの結果となった次第である。

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