「ガラスの仮面」休載で「別冊花とゆめ」が急降下…少女・女性向けコミック誌部数動向(2012年7月-9月)

2012/11/13 06:50

先日まで【社団法人日本雑誌協会】が2012年11月2日に発表した、2012年7月から9月分の印刷部数データを元に、いくつかの定期発刊雑誌の動向をグラフ化し、分析した。今回は少女・女性向けコミック誌の雑誌について、グラフ化と状況の把握を試みることにする。なお記事執筆者(不破)は男性で女性誌には疎いことから、数字そのものは別としても、内容分析については的外れなことを述べている可能性もある。その点はあらかじめご了承願いたい。

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データの取得場所の解説や、「印刷証明付部数」など文中に登場する用語の説明は、一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明が行われている。そちらで確認をしてほしい。

まずは少女向けコミック誌。少年向けコミック誌の「週刊少年ジャンプ」の立ち位置に「ちゃお」がついている。これは前回と変わりなし。

2012年4-6月期と最新データ(2012年7-9月期)による少女向けコミック誌の印刷実績
↑ 2012年4-6月期と最新データ(2012年7-9月期)による少女向けコミック誌の印刷実績

「ジャンプ」のように100万部超の世界には届かないものの、他誌に比べて「ちゃお」が言葉通り「群を抜いている」様子が分かる。直近データでは61.0万部。販売実数はこれよりも少なくなるので、50万部強くらいと見てよい。第2位の「別冊マーガレット」の3倍近くに及んでいる。ただしこの61.0万部も、データが確認できる2008年4月-6月期以降における最盛期の値92万部から比べれば、30万部強ほど数を減らしている計算になる。

直近の動きとしては青棒より赤棒の方が短い、つまり前期から部数を落とした雑誌が多く見受けられる。中長期的な雑誌離れの影響が多分にあるものと考えられる。

続いて女性向けコミック誌。こちらは横軸の区切りが小さめ(2万部単位)ということもあるが、少女向けコミックと比べると綺麗な序列が出来上がっている。

22012年4-6月期と最新データ(2012年7-9月期)による女性向けコミック誌の印刷実績
↑ 2012年4-6月期と最新データ(2012年7-9月期)による女性向けコミック誌の印刷実績

トップは前回に続き「BE・LOVE」がトップに。元々「週刊ヤングレディ」の増刊漫画誌で、1980年の創刊。女性の大人向け(30-40代)のレディースコミック誌。前回トップの座を明け渡した「YOU」同様、レディースコミックの強さを再認識させる。

その「YOU」だがトップの座を譲り渡した原因は、前四半期に続き部数の減退が原因。テレビドラマ化した『トッカン 特別国税徴収官』を特集で取り上げるなど相乗効果も期待できたが、そのドラマも9月19日で終了。部数の底上げにはつながらなかったようだ。

「別フレ2012(2011)」は発売間隔が2か月おきで、本来なら毎四半期単位で印刷実績の公開があってしかるべきなのだが、この1年では四半期ごとに公開・非公開を繰り返している。今回は公開の期のようでデータが開示されてはいるが、前四半期のデータが無いのでその部分は空欄となっている。現時点での最新号は7月21日発売の『9月・夏号』。11月13日に秋号が出る予定。

さて「少女・女性向けコミック誌」としての記事は今回が8回目となり、一年前の同期データも参照が可能な状態にある。そこで他の分類同様に、印刷数変移を「前期」「前年同期」の双方の視点からグラフ化する。まずは最新期と前期の変移率。要は約3か月間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったのか、その割合を示すもの。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年7-9月期、前期比)

赤対象、つまり誤差の範ちゅうを超えた下げ幅を示す雑誌が、前期の3誌から今期は1誌に減っている。一方で誤差の範囲(プラスマイナス5%)を超えて上げている雑誌は皆無に。プラスマイナスの振れ方を見ると、「概して軟調」と評るのが適切だろう。

なお「別冊花とゆめ」が大きく下げているが、これは【「ガラスの仮面」強し......】でも解説しているように、「ガラスの仮面」が休載にあるのが大きい。秋口再開予定とのことで、次の四半期の復帰に期待したいところ。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)
↑ 雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)(2012年7-9月期、前期比)

以前の記事でも触れているが、「コーラス」からリニューアルを果たした「Cocohana」は今回も大きくマイナス値を示している。リニューアル時の大規模な部数引きあげの反動を受けたものと考えられる。どうやらリニューアルに伴っての「背伸び」はやや無理があったようだ(今やリニューアル直前の部数すら割り込んでいる)。

また下げ幅はさほど大きくないが、「Cookie」は【Cookieリニューアル、月刊誌から隔月刊誌へ】にある通り、今回該当期号から隔月刊誌化している。同誌も印刷部数の低迷は継続しており、発売間隔を延ばして作品を整理し、質のかさ上げを模索するのも、一つの手法といえる。

続いて「前年同期比」の値も算出する。いわゆる「季節属性」を考慮しなくても済む(例えば今回なら、2012年7-9月と、その1年前の2011年7-9月分の比較)ので、純粋な雑誌の販売数における、年ベースでの伸縮率が把握できる。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年7-9月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年7-9月期、前年同期比)

前回記事と比べれば、誤差範囲を超えたマイナス値を示す雑誌が増えている。前四半期で生じた「震災起因による低い値との比較」という上げ底的な状況が無くなったのが原因。一方「別冊花とゆめ」は3割を超える下げ幅を記録しているが、これは上記にある通り前年同四半期に「ガラスの仮面」の連載が始まったことで大きく上昇しており、それとの比較の結果によるところが大きい。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2012年7-9月期、前年同期比)
雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2012年7-9月期、前年同期比)

前回以上に下げを記録した雑誌数、そしてその下げ幅の大きさが目に留まる。中でも「FEEL YOUNG」や「Cocohana」など、牽引力のある作品で引き揚げられたり、リニューアルに伴い大きく値を伸ばした雑誌の大幅減退が目に留まる。基礎体力の増強を伴わないドーピングでは、効果が薄れた後に失速するのも仕方がない、というところか。とはいえ、1年間で2割超の下げ方は、看過できるものでは無い。



今期は前期以上に全般的に息切れ感が否めない。リニューアルや有力タイトルに伴う数字のかさ上げの影響力が薄れ、その反動の大きさが目立つ形となった。「少しずつ、そして確実に減退している」業界の実情を再認識させられる。

複数ラインで「大家」あるいは「大きな底上げをする」ビックタイトルがあれば、継続的な飛躍が期待できる。しかしそれは少年・男性向けコミックをはじめ他ジャンル同様、今では難しい。

「少子化だから仕方ない」という、反論が難しい説明がされることもあるが、この数年でここまで落ち込むのは、少子化だけでは説明がつかない。趣味趣向の多様化、メディアの上での選択肢の増加、可処分所得の変化、質の低迷など、複数の要因が考えられる。数少ない、堅調なセールスを見せる雑誌を元に、なぜその数字を維持できるのかを検証すれば、各誌とも困難な現状を打破できるヒントを見いだせるかもしれない。

なお公式には現時点で未発表だが、少女コミックカテゴリーの「Silky」が来年3月売りで休刊するとの【話が執筆陣から入っている】。完全な休刊か、それとも大幅なリニューアルが図られるのかは現時点で不明だが、気になる話には違いない。

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