「手取りからもっと貯蓄を」単身世帯でじわりと増えつつある貯蓄割合(2015年)(最新)

2015/11/17 11:53

将来や緊急事態に備え財を蓄積していくことは、人の知恵の一つである。中でも流動性が高く容易に他の物品やサービスに置換できる金融資産は、蓄財(貯蓄)の対象としてもっとも多くの人が活用している。それでは金融資産を貯蓄(今件では金融資産の取得に資金を振り向けることを意味する。金融資産は預貯金以外に貯蓄型の保険や有価証券も含まれる)している人は、一体どの程度の割合で手取りから貯蓄に回しているのだろうか。金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年調査公開している家計の金融行動に関する世論調査の公開データを介し、その現状や経年変化を確認することにしよう(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

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ここ十年ほどは単身世帯も夫婦世帯も、臨時も日常も平均貯蓄性向は増加傾向


金融資産の保有世帯率はすでに先行記事の【金融資産を持たない世帯、夫婦世帯は4割強・単身は5割近く(2015年)】で解説した通り。最近は金融資産を持たない世帯がわずかだが増える傾向にある。

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2015年)(再録)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2015年)(再録)

金融資産は臨時収入も含め、手取りからの蓄積で構築されていく(中には遺産や宝くじの当選などイレギュラーに取得される場合もあるが)。それでは具体的に、手取りの中からどれぐらいの額を貯蓄しているのだろうか。5%区切りでその度合いを尋ねた結果が次のグラフ。単身世帯は2007年以降のデータしか存在しないので、二人以上世帯とは分けている。無論、金融資産そのものが無い世帯は貯蓄のしようが無いので計算上からは除外している。

↑ 年間手取り(臨時収入含む)からどれくらい貯蓄したか(二人以上世帯)
↑ 年間手取り(臨時収入含む)からどれくらい貯蓄したか(二人以上世帯)

↑ 年間手取り(臨時収入含む)からどれくらい貯蓄したか(単身世帯)
↑ 年間手取り(臨時収入含む)からどれくらい貯蓄したか(単身世帯)

単身世帯では経年の変化はほとんど無し。あえて言えば貯蓄する人の比率が増加していたが、ここ2、3年に限ればいくぶん減少。代わりに貯蓄する人における貯蓄割合は増加しているように見える。

一方で二人以上世帯では、明らかに貯蓄しなかった世帯が増え、そして貯蓄をしても貯蓄する割合が減っている(赤系統の色が薄い=貯蓄割合が低い層が増えている)のが確認できる。現実問題として、可処分所得が減退して(貯蓄する余裕が無くなって)いることは、すでに別記事(【収入と税金の変化をグラフ化してみる】など)で解説した通り。もっともその減少傾向もようやくストップがかかったようで、この4、5年ではほぼ横ばいで推移が続いている。

平均額で見ると意外な動きが


「具体的には平均でどれほどの額が貯蓄されているのか」を直感的に把握するため、貯蓄しなかった人も含めた平均の「手取りに対する平均貯蓄割合」の推移を示したのが次のグラフ。例えば2015年の単身世帯は15%なので、貯蓄した人・しなかった人も合わせ、平均で手取りの1割強ほどが貯蓄に回されていることになる(平均値は大よそ整数までの公開。一部年では小数点以下で公開されているが、ごく少数事例)。

↑ 年間手取り(臨時収入含む)からどれくらい貯蓄したか(貯蓄しなかった人も含めた平均割合)
↑ 年間手取り(臨時収入含む)からどれくらい貯蓄したか(貯蓄しなかった人も含めた平均割合)

二人以上世帯は「貯蓄をしなかった人」の割合が増加していることもあり、貯蓄割合は漸減。ただし今世紀に入ってからは事実上横ばい。一方で単身世帯は計測期間が短いものの、9年の間で3%ポイントほどの増加が確認できる。夫婦世帯は余力が小さくなり、単身世帯は備えを強化している、との表現が適切か。

もっとも先の「金融資産を持たない世帯、夫婦世帯は4割強・単身は5割近く(2015年)」の結果、「単身・二人以上世帯共に金融資産を持たない世帯が漸増している」、そして上記項目の結果「金融資産を持っている二人以上世帯で、手取りから金融資産への積み増しを行えた世帯は漸減していた」と合わせ見ると、「(A)金融資産を持たない世帯」「(B)金融資産を保有しているが積み増しができなかった世帯」「(C)金融資産を保有し、積み増しができた世帯」に三分化されており、(A)が漸増、(B)は二人以上世帯で漸増していたが横ばいに、(C)はさほど変わらないが手取りに占める積み増しの割合を増加させた動きが透けて見える。

特に(C)の「金融資産を保有し、積み増しができた世帯」における額面の比率増加分は単身世帯で顕著となり、結果として全体の平均率も上がったと考えれば道理は通る。実際、細かい数字を確認しても、単身世帯ではその通りの動きが見て取れる。

↑ 年間手取り(臨時収入含む)からどれくらい貯蓄したか(単身世帯)(金融資産保有世帯限定)(高率貯蓄世帯率動向)
↑ 年間手取り(臨時収入含む)からどれくらい貯蓄したか(単身世帯)(金融資産保有世帯限定)(高率貯蓄世帯率動向)

単身世帯では可能な世帯に限るが、特に将来に向けた貯蓄性向を高めつつある、そのために単身世帯全体としての平均値も上昇していることになる。

直上のグラフは「定期収入・臨時収入を合わせた年の手取り」に対する割合。臨時収入だけて勘案するとその収入の特性から、貯蓄性向は大きく跳ね上がる。

↑ 臨時収入からどれくらい貯蓄したか(臨時収入が無かった世帯は除き、貯蓄しなかった人も含めた平均割合)
↑ 臨時収入からどれくらい貯蓄したか(臨時収入が無かった世帯は除き、貯蓄しなかった人も含めた平均割合)

二人以上世帯は約2倍、単身世帯は3倍近くと、単身世帯の方が臨時収入における貯蓄性向の増加割合は大きい。しかも昨今では確実に貯蓄する割合が上昇している。額面では無く割合での話だが、貯蓄に関しては若干ながらも単身世帯の方が、備えに対して強い意志を抱いているようである。


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