少額は現金、そして電子マネー…単身世帯の代金支払い方法の移り変わりをグラフ化してみる(最新)

2021/03/14 05:06

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2021-0305二人以上(夫婦)世帯と単身(一人身)世帯との間では、消費行動や家計の取り扱い方が大いに異なる。前者では家計全体のお金の他、世帯構成員一人一人のプライベートな金銭が別途やり取りされるが、後者では構成員は一人のみであることから、家計そのものが世帯構成員=本人の金銭のやり取りとなる場合が多くなる。今回は金融広報中央委員会の「知るぽると」が2021年2月26日に詳細統計表を発表した「家計の金融行動に関する世論調査」の最新版となる2020年分などのデータを用い、「単身世帯における、お金の決済手段とその移り変わり」について、状況の確認と精査をしていくことにする(【家計の金融行動に関する世論調査】)。

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現金以外にクレカや電子マネーもバリバリ使う単身世帯


商品を買う、あるいはサービスを利用する際に、対価としてお金を支払わねばならないのは、世の中の常識。一方で最近では、直接現金で支払う以外にクレジットカードや「おサイフケータイ」のような電子マネーが使われる機会も多くなった。またクレジットカード決済のような複雑で利用ハードルが高いものではなく、より簡単に、よりリスクが低い使い捨て型のプリペイドカード(マネーカードやギフトカードと呼ばれるもの。電子マネーの一種)も、昨今では普及しつつある。今回はそのような「単身世帯における、日常的支払の場面での資金決済手段」について尋ねている。

まずは直近2020年における、金額別主要決済手段。4つの選択肢のうち「主なもの2つ」を答えてもらっているので、事実上「何を使っているのか」に等しい結果となっている。

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答、支払金額別)(2020年)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答、支払金額別)(2020年)

単身世帯の場合、1000円以下の小口決済では電子マネーの率が45.0%となっている。5000円以下でも38.6%が使っている。また、クレジットカードの率も高く、二人以上世帯では5001円以上でようやく「現金の率をクレジットカードの率が超えた」のに対し、単身世帯では「1001-5000円以下」の区分で超えている。

これら二人以上世帯との差は、ひとえに冒頭で解説した通り、単身世帯が「世帯全体の家計」=「回答者本人のお財布」であることによるもの。クレジットカードや電子マネーの場合、利用の際に「個人の私財を使う」か「家計全体の出費とする」かによって争いごとが生じる、あるいは区別がつけられずに混乱する場合がある。一方で単身世帯の場合、本人の私財は同時に自らの世帯全体の資金でもあり、(わざわざ別口座で勘案している人を除けば)もめる心配は無い(第一、もめる相手がいない)。従って、クレジットカードも電子カードも気軽に使えることになる。

もっともそのような状況下にある単身世帯でも、電子マネーはまだ副次的手段であり、小口決済においてですら現金が多分に使われていることに違いはない。そして電子マネー以上にクレジットカードが大いに活用されているのも、二人以上世帯と同じ。

新型コロナで急速に伸びる電子マネー


続いて経年変化を確認する。

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「現金」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「現金」率、支払金額別)

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」率、支払金額別)

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」率、支払金額別)

小口決済でおサイフケータイをはじめとする電子マネーの率は増加し続けている。小銭代わりの電子マネーは単身世帯にとって、第二の小銭的立ち位置を確かなものとしつつある。ただし5000円以下の区分に限れば、この数年は利用率が頭打ち状態になっていたのも事実で、利用状況の上限に達している可能性はあった。

ところが2019年ではどの金額区分でも大きく率を伸ばしている。2019年の調査は2019年6-7月に実施のため、消費税率引き上げによる景況感下落への対策として2019年10月1日から2020年6月30日まで実施されたキャッシュレス・ポイント還元事業の影響は生じていないはず。あるいはこの事業に備えて事前に使い始める人が増えたのかもしれない。さらに2020年ではイレギュラーなまでの大きな伸びが生じている。これはキャッシュレス・ポイント還元事業と、2020年春から確認された新型コロナウイルスの流行(で現金による接触型支払いが避けられたこと)によるものと思われる。たまたま偶然ではあるが、この2要素が同時に影響することで、ここまで大きな変化が生じたのだろう

一方現金は、主に少額決済の面で利用率を減らしている。クレジットカードは増加しており、現金から、電子マネーやクレジットカードへの流れを主なものとし、支払い対象などの場面によって、払い方を変えるライフスタイルの変化が見て取れる。ただしクレジットカードでは電子マネーのような2020年における急激な増加は生じていないのが興味深い。単身世帯ではキャッシュレス・ポイント還元事業と新型コロナウイルス流行は主に電子マネーの利用を促進させたと見てよいだろう。



余談になるが。「日常生活における買い物」ではなく、公共料金などの定期的な支払いでは、口座振替が主流。ただし二人以上世帯と比べると、口座振替の利用者の減り方が大きく、クレジットカード利用者の増え方のペースが速いのが目に留まる。そして2013年にはついに両者の立ち位置が逆転した。

↑ 公共料金などの定期的な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答)
↑ 公共料金などの定期的な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答)

2014年以降は口座振替とクレジットカードの率がもみ合いを続けたが、2016年に差が広がる形でクレジットカードの率が上回った。直近の2020年では口座振替が大きく減少し、クレジットカードは多少の増加。一方で電子マネーが有意に増加しているのは気になるところ。クレジットカード利用の手続きが面倒、あるいはクレジットカードが使えない人が、口座振替から電子マネーなどにシフトしたのだろうか。

このようにクレジットカードの利用が増え、口座振替を超えるまでに成長しているのは、「個人のクレジットカード口座」と「家計全般の口座」が同じであり、それならば利用する金額が多いほど特典を得られるクレジットカードを使った方がよいとする判断の結果によるもの。

世帯構成員個人の私財を預かる「お財布」と、家族全体の家計をあずかる「お財布」が同じか別物か。ここに、単身世帯と二人以上世帯における、電子マネーやクレジットカードの利用傾向の違いが表れていることになる。

電子マネーにしてもクレジットカードにしても、有効な活用方法を実践できれば、お得な点も多い。いかにメリットを引き出せるか、単身世帯はもちろん二人以上世帯でも、色々と考えてみることをお勧めする。


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