松屋は焼き牛めしなどで客単価引き上げに成功…牛丼御三家売上:2012年10月分

2012/11/06 06:45

[吉野家ホールディングス(9861)]は2012年11月5日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2012年10月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス3.3%となった。牛丼御三家のうち[松屋フーズ(9887)]が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年10月における売上前年同月比はマイナス8.8%、[ゼンショー(7550)]が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス7.3%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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↑ 牛丼御三家2012年10月営業成績
↑ 牛丼御三家2012年10月営業成績

吉野家について昨年同月と比較すると、一年前における客単価前年比がプラス5.6%で、そこからさらに5.3%の引き上げに成功している。【吉野家、新メニュー「牛焼肉丼」を13日から発売】にもある通り9月13日から発売を開始した「牛焼肉丼」などの価格は、確実に客単価の引き上げに貢献している(セールスも【牛焼肉丼が結構堅調、吉野家の「牛焼肉丼」などが販売累計数300万食突破】にある通り堅調)。他の二社と比べると客数の減少具合も最小限に留まっているのも目に留まる(もっとも客数は、一年前における客数前年比がマイナス10.3%であり、そこからの反動が多分に影響していると考えられるので、楽観視はできない)。

松屋の焼き豚めし松屋は客数と客単価のバランスを取る姿勢が巧みで、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、安定的な売上を継続するスタイルを踏襲していた。しかしここ数か月ばかりは客数の減退が目立ち、客単価の勢いにも陰りを見せている。該当月に直接影響のある動きとしては、【松屋、旨辛豚カルビ定食を27日から発売】の展開、【すき家でも焼き肉系丼「豚かばやき丼」の販売開始】でも多少触れている「焼肉牛丼」競争に伴う地域限定の「焼き牛めし」「焼き豚めし」の発売(【解説ページ】)など新メニューを導入して客単価の維持・底上げには成功。しかし客数の減りは無視できない域にある。昨年同月の客数はプラス0.9%で、「昨年同月が大盛況だったので、その反動でマイナスになった」とも言えず、頭痛の種ともいえる。

すき家は直上で挙げた「豚かばやき丼」、さらには【すき家からエリンギ・しめじ・えのきの「3種のきのこ牛丼」発売】にて紹介した「3種のきのこ牛丼」など、意欲的な新商品を展開。客単価の上げ方は御三家中最大だが、客数の減り具合も最大のものとなってしまった(同社の前年同月における客数はプラス0.7%。松屋同様、昨年の盛況による反動との説明はできない)。

10月分を各社一言ずつ……というより今回は全部まとめて一言で表現すると、「三社とも客単価を上げることに成功したが、それ以上に客足が遠のき、売り上げも低迷」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年10月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年10月)

2011年3月以降は東日本大地震・震災による直接的影響に加え、消費マインドの変化、活力向上祈願も兼ねた安売りセールなどで、客単価や客数、そして売上も大きく変化している。特にこの数年来毎月のように繰り広げられた安売りキャンペーンは「牛丼なのにチキンレース」というあまり笑えない状況を生み出し、さすがに今では沈静化を見せている。それどころか客単価を底上げする(見方を変えれば元に戻す)ため、比較的高価格な商品展開が相次いでいる。

この数か月はそれらの「チキンレースに後押しされた無理な前進」の後遺症のような低迷ぶりが目に留まる。特に客数動向の点で、前年同月比マイナスが続いているのが気になる(吉野家は10か月、松屋は7か月、すき家は11か月、客数の前年同月比マイナスが継続中)。あるいは消費性向そのものにすら、変化が生じ、その影響が出はじめている可能性がある。

昨今では新興勢力である「東京チカラめし」に刺激を受けた形による、焼肉系丼の動きが注目される。この系統の商品は「新鮮味による集客効果」と「客単価の引き上げ」双方の効果が期待できるのがポイント。各社とも本腰を入れており、単品としてはそれなりに成果も上がっているようだ。しかし全体に与える影響はまだ小さく、業績そのものを底上げするまでには至っていない。引き続き、今後の動向に注目したいところだ。

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