独身世帯で減る公的年金への信頼、夫婦世帯で増える老後の再就職希望(2015年)(最新)

2015/11/16 11:57

若い時分と異なり就業そのものに難儀する高齢世代。昨今では公的後押しも積極的に成されているものの、若者時代のような機敏な、あるいは重労働がおぼつかなくなることに違いは無く、また就職が継続できても手取はかつての額よりも少なく、多分に蓄財の切り崩しや公的・私的年金で日々の生活を営むことになる。しかしその収入源の確保の仕方は人によりさまざま。中には利子配当所得や家賃収入だけで優雅な日々を過ごす人もいるだろう。今回は金融広報中央委員会の「知るぽると」が2015年11月6日に発表した「家計の金融行動に関する世論調査」の最新版である2015年分などのデータを基に、「老後の生活費の収入源として考えている手立て」に焦点を当てることにする(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

スポンサードリンク


老後の支えは公的年金、就業収入、私的年金の順


一部自営業などを除けば60歳以降の定年退職で就業していた職場を離れ、セカンドライフ(第二の人生)を堪能するようになる。その際の生活費をどのような手段でまかなうかは人それぞれ。冒頭で触れたように年金や利子配当所得、所有している賃貸用不動産から得られる家賃収入だけで十分の人もいれば、到底足りずに再び職に就く人、これまでの蓄財を切り崩していく人もいる。今件では老後の生活費をどのような収入源で補うかについて尋ねているが、単身・二人以上世帯双方ともトップは「公的年金」となっている。

↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(2015年)
↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(2015年)

二人以上世帯の方が「公的年金」への依存度が高いが、これは多分に受給額が大きい厚生年金を対象としているからだと考えられる。また夫婦二人分ともなれば、単純計算で世帯当たりの受給額が大きくなり、やりくりもしやすくなるのも道理である。

第二位には「就業収入」がついているが、こちらは単身世帯の方が5.3%ポイント高い。配偶者の就業収入に頼ることもできず、「公的年金」の不足分は自らの手で稼ぐとの選択肢として考えれば納得はいく。一方第三位の「企業・個人年金、保険金」は老後を迎える前の備えを利用するものだが、やはり雇用事例や老後に至るまでの金銭的な余裕の比較で、二人以上世帯の方が高い値を見せる。

「公的年金」がメインで、「就業収入」「企業・個人年金など」が補完、余裕がある人は「金融資産の取り崩し」も併用。一人身ほど自らの手で稼ぐ傾向が強いなど、世帯構成によるお金周り事情の違いがすけて見えてくる。なお生活保護などが該当する「国・自治体からの公的援助」は単身世帯で1割近くが想定している。二人以上世帯でも5.0%。

2013年にはちょっとした変化が起きた経年変化の状況


さてこれらの動向をデータが取得可能な2007年以降の推移でみると、いくつかの動きが確認できる。なお「国・自治体からの公的援助」は2014年から加わった項目なので、2013年以前のデータは無い。

↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(単身世帯)
↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(単身世帯)

↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(二人以上世帯)
↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(二人以上世帯)

過去においても大まかなウエイトは直近の2015年と変わらないものの、

・単身世帯では「企業・個人年金、保険金」への傾注が増えると共に、「公的年金」が減っている。「就業収入」は高い水準を維持。
 →「公的年金」への期待低下、それを補完するために自ら働こうとする意志の高レベルでの維持

・二人以上世帯では「就業収入」「企業・個人年金、保険金」への傾注が増える
 →漠然とした収入の減退不安、それを補完するために自ら働こうという意志の高まり

・2011年以降の「金融資産取崩し」回答者急減

・2013年における単身世帯での「企業・個人年金、保険金」「金融資産取崩し」の下落

の傾向が確認できる。単身世帯と二人世帯それぞれの、世間一般に語られる「リスク」の違いがそのまま表れている。

2011年に発生した「金融資産取崩し」への回答者の急減は原因を特定できない。単身・二人以上双方の世帯で同じ動きが確認できるため、データ上の「ぶれ」とも考えられない。景気悪化、あるいは震災による被害の回復のために、老後に備えていた金融資産の漸次取り崩しを行い、将来まで維持できそうにないとの考えが急速に広まった可能性もある。

ともあれ、老後の生活を支える収入源としては、「公的年金」に依存期待をしながらも、単身・二人以上世帯それぞれが各個の事情や思惑に従い、対策を練り実行していることがうかがえる。特に二人以上世帯で「就業収入」への傾注が継続して高まりを示す状況は、現時点でも大きな社会問題化している失業率・雇用市場との関係も深いことから、今後の動きを見据える必要がある。少なくとも現状では、高齢者の労働への参加意欲は、さらに高まりそうである。


■関連記事:
【高齢者の仕事事情をグラフ化してみる(高齢社会白書(2012年版))】
【「高齢世帯ほどお金持ち」は当然?…世帯主の世代別貯蓄額推移をグラフ化してみる(高齢社会白書)(最新)】
【「自分の稼ぎ」か「公的年金」か…老後の生活手段として一番頼りにしたいもの、しているもの】
【年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくりをグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))】
【団塊世代男性の年金受給者8割近く・個人年金は1/4、「まだ働いてる」は約6割】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー