これは納得、一人暮らしと世帯持ちで大きく異なる「遺産」への考え方(最新)

2018/12/19 05:26

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2018-1212金融広報中央委員会の「知るぽると」は2018年12月12日付で、同会が毎年調査とその結果を発表している「家計の金融行動に関する世論調査」に関して、最新版となる2018年分の詳細統計表を公開した。今回はその公開値を基に、「遺産に対する考え方」の動向を見ていくことにする。遺産となりうる資産に関して、人々はどのような考えを抱いているのだろうか(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

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単身世帯は使い切り、夫婦世帯は子供へ


小説やドラマの(中で基軸となる事件や騒動の)素材となり、そして現実でも多様な問題を引き起こすことになる「遺産」。多くの人が多額の「(金融)資産」を直に感じる数少ない機会となるだけに、今件「家計の金融行動に関する世論調査」でも調査対象項目として取り上げられている。

今項目では「遺産についてどのような考えを抱いているか」を、主に財産処分方法と、子供に残すか否かの2つの視点から複数の選択肢を提示し、回答者にもっとも自分の考えに近いものを選ばせている。つまり自分が財産を残す立場となった時、該当する資産をいかなる方法で、子供に財産として残すか、それとも残さないかを選んでもらったもの。当然回答者の中には現在財産を残すどころか受け取る立場的な年齢の人もいるが、将来そのような立場の年齢になった場合を想定し答えてもらっている。単身世帯・二人以上世帯それぞれの世帯主に聞いた結果が次のグラフ。なお二人以上世帯には「無回答」の回答率も存在するが、今件では除外している(全選択肢を足しても100.0%にはならない)。

↑ 遺産についての考え方(択一)(2018年)
↑ 遺産についての考え方(択一)(2018年)

単身世帯での最多回答は「子供がいない&人生を楽しみたいので財産使い切り」派。一方二人以上世帯では「老後の世話か家業引き継ぎなどの条件無しに、子供に財産を残したい」派。それぞれ「一人身」か「子供がいる(今はいなくとも将来的な話も含む)」かによって、遺産への考え方が大きく異なってくる状況がよく分かる結果である。要は「残す相手がいなければ手持ちの資産は自分で全部使い切りたい」「残す相手がいればとにかく残したい」。

他方、「家業引き継ぎ」を遺産相続の条件に挙げている人はごくわずか。元々引き継ぎが必要な家業をしている人が少数なのも一因だが、遺産を取引材料として家業引き継ぎを「強要」することを是とはしていないようだ。一方で交換条件的に何かを要求する選択肢としては、「老後の世話をしてくれれば遺産を」とする意見が、二人以上世帯で2割近くに達している。子供を持つ親の考え方としては現実的。

気になるのは「子供はいるが、自分の人生を楽しみたいので(財産は残さず)使い切りたい」との意見。単身世帯(将来結婚して子供をもうけるとの仮定、あるいは諸事情で子供と別居中)はともかく、二人以上世帯でも14.4%が同意している。【高齢者の7割強は「子の世話無しでいいから、財産は自分で使い切る」】と比べれば少数派だが、それでも決して少なくは無い人がこの選択肢を選んでいる。

また「その他」の回答率が単身世帯で3割超え、二人以上世帯でも1割強ほどいるのも目に留まる。具体的にどのような考えを持っているかは尋ねていないが、個々の状況によるところがあるのだろう。あるいは例えば半分を寄付、半分を子供にといった形で、どれか一つの選択肢には当てはまらない考えを持っているのかもしれない。

年齢で異なる・変わらない、遺産への考え方


直近分につき、回答者の年齢別に動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 遺産についての考え方(単身世帯、択一、世帯主年齢階層別)(2018年)
↑ 遺産についての考え方(単身世帯、択一、世帯主年齢階層別)(2018年)

↑ 遺産についての考え方(二人以上世帯、択一、世帯主年齢階層別)(2018年)
↑ 遺産についての考え方(二人以上世帯、択一、世帯主年齢階層別)(2018年)

大勢はそれぞれの世帯構成における全体値と大きな違いは無い。一方で詳細を見ると、年齢により考え方にいくぶんの違いが生じているのが分かる。単身世帯の場合、回答後に結婚をして子供をもうける可能性があることから、「老後の世話をしてくれるならば、子供に財産を残してやりたい」が高めだが、これも歳とともにおおよそ減少。他方、子供はいるが使い切りたいとの回答は、若年層の場合回答者が単身赴任か何かで単に子供と一時的に離れている可能性が高いため少数だが、年を経るに連れて別居状態が継続している場合が多くなるため、値が高くなる。

二人以上世帯の場合は、子供が同居している場合が多々あり、また自身の体の衰えを実感することも併せ、「老後の世話をしてくれるならば、子供に財産を残してやりたい」が50代以降は年齢とともに上昇する。他方、「老後の世話をしてくれるか、家業を継ぐかなどにかかわらず、子供に財産を残してやりたい」は30代をピークとしてそれ以降は年齢とともに確実に減り、70歳以上になると約3割に留まる。「老後の世話」の増加と併せ、歳を重ねて自分の衰えを実感するに連れて、遺産を世話のための交換条件・材料とする思惑が強くなる様子がうかがえる。同時に世話をしてもらう必要の無い高齢層が「子供はいるが使い切りたい」との意見を積み増ししてくるのも興味深いところ。



やや余談になるが、世帯別種類の全体値について、前回年2017年分の値との差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 遺産についての考え方(択一、前年回答値からの変異、ppt)(2018年)
↑ 遺産についての考え方(択一、前年回答値からの変異、ppt)(2018年)

おおよそ誤差の範囲にとどまった動きだが、単身世帯で「老後の世話をしてくれるならば、子供に財産を残してやりたい」の値が単身世帯で大きく減少しているのが目に留まる。現在単身者である人が、将来において結婚し子供をもうける可能性を見出す人が減っているということだろうか。あるいは単身者において高齢者のうち子供がいない人、あるいは子供がいても世話が期待できない人が増え、単身者全体としての比率が減ったのかもしれない。


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