これは納得、一人暮らしと世帯持ちで大きく異なる「遺産」への考え方(2015年)(最新)

2015/11/16 05:42

金融広報中央委員会の「知るぽると」は2015年11月6日付で、同会が毎年調査とその結果を発表している「家計の金融行動に関する世論調査」に関して、最新版となる2015年分を公開した。今回はその公開データを基に、「遺産に対する考え方」の動向を見ていくことにする。遺産となりうる資産に関して、人々はどのような考えを抱いているのだろうか(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

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単身世帯は使い切り、夫婦世帯は子供へ


小説やドラマの(中で基軸となる事件や騒動の)素材となり、そして現実でも多種多様な問題を引き起こすことになる「遺産」。多くの人が多額の「(金融)資産」を直に感じる数少ない機会となるだけに、今件「家計の金融行動に関する世論調査」でも調査対象項目として取り上げられている。

今項目では「遺産についてどのような考えを抱いているか」を、主に財産処分方法と、子供に残すか否かの2つの視点から複数の選択肢を呈し、回答者にもっとも自分の考えに近いものを選ばせている。つまり自分が遺産を残す立場となった時、該当する資産をいかなる方法で、子供に遺産として残すか、それとも残さないかを選んでもらったもの。当然回答者の中には現在遺産を残すどころか受け取る立場的な年齢の人もいるが、将来そのような立場の年齢になった場合を想定し答えてもらっている。単身世帯・二人以上世帯それぞれに聞いた結果が次のグラフ。

↑ 遺産についての考え方(択一、2015年)
↑ 遺産についての考え方(択一、2015年)

単身世帯での最多回答は「子供がいない&人生を楽しみたいので財産使い切り」派。一方二人以上世帯では「老後の世話か稼業引き継ぎなどの条件無しに、子供に財産残したい」派。それぞれ「独り者」か「子供が居る(今は居なくとも将来的な話も含む)」かで、遺産への考え方が大きく異なってくる状況が良く分かる結果である。要は「残す相手がいなければ手持ちの資産は自分で全部使い切りたい」「残す相手が居ればとにかく残したい」。

他方、「稼業引き継ぎ」を遺産相続の条件に挙げている人はごくわずか。元々引き継ぎが必要な稼業をしている人が少数なのも一因だが、遺産をネタに稼業引き継ぎを「強要」することを是とはしていないようだ。一方で交換条件的に何かを要求する選択肢としては、「老後の世話をしてくれれば遺産を」とする意見が、二人以上世帯で2割近くに達している。子供を持つ親の考え方としては現実的。

気になるのは「子供は居るが、自分の人生を楽しみたいので(遺産は残さず)使い切りたい」との意見の多さ。単身世帯(将来結婚して子供を設けるとの仮定、あるいは諸事情で子供と別居中)はともかく、二人以上世帯でも14.0%が同意している。【高齢者の7割強は「子の世話無しでいいから、財産は自分で使い切る」】と比べれば少数派だが、それでも決して少なくない人がこの選択肢を選んでいる。

年齢で異なる・変わらない、遺産への考え方


直近分につき、回答者の年齢別に動向を確認したのが次のグラフ。現時点で詳細データは2014年分までの公開なので、今件項目では2014年分を確認する。

↑ 遺産についての考え方(2014年、単身世帯、択一、世帯主年齢階層別)
↑ 遺産についての考え方(2014年、単身世帯、択一、世帯主年齢階層別)

↑ 遺産についての考え方(2014年、二人以上世帯、択一、世帯主年齢階層別)
↑ 遺産についての考え方(2014年、二人以上世帯、択一、世帯主年齢階層別)

大勢はそれぞれの世帯構成における全体値と大きな違いは無い。一方で詳細を見ると、年齢により考え方にいくぶんの違いが生じているのが分かる。単身世帯の場合、まだ将来結婚をして子供を設ける可能性が多分にあることから、「老後の世話をしてくれるならば、子供に財産を残してやりたい」が高めだが、これも歳と共に減少。他方、子供は居るが使い切りたいとの回答は、若年層の場合回答者が単身赴任か何かで単に子供と一時的に離れている可能性が高いため少数だが、歳を経るに連れて別居状態が継続している場合が多くなるため、値が高くなる。

二人以上世帯の場合は、子供が同居している場合が多々あり、また自身の体の衰えを実感することも合わせ、「老後の世話をしてくれるならば、子供に財産を残してやりたい」が歳と共に上昇する(20代で高めに出るのはイレギュラーだろうか)。他方、「老後の世話をしてくれるか、家業を継ぐかなどに関わらず、子供に財産を残してやりたい」は歳と共に確実に減り、70歳以上になると3割を切る。「老後の世話」の増加と合わせ、歳を重ねて自分の衰えを実感するに連れて、遺産を世話のための交換条件・材料とする思惑が強くなる様子がうかがえる。



やや余談になるが、世帯別種類の全体値について、昨年2014年分のデータとの差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 遺産についての考え方(択一、2015年)(前年回答値からの変異)
↑ 遺産についての考え方(択一、2015年)(前年回答値からの変異)

縦軸の区切りを見れば分かる通り、前年から大きな違いは生じていない。それでもなお大きめな動きに見える項目を見ると、二人以上世帯で「とにかく子供に遺産を残したい」「子供は居るが自分の人生を楽しみたいので使い切りたい」と両極端の意見が増え、単身世帯で「老後の世話をしてくれるならば遺産を残したい」が減っている。二人以上世帯では意見の二分化、単身世帯ではやや現実をよく見据えるようになった、というところか。

ともあれ、変動はわずかで、実のところ誤差範囲と見た方が無難。よほどの大きな社会状況の変化でも生じない限り、遺産に関する考え方に急変は起きにくい、ということなのだろう。


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