金融資産を持たない世帯、夫婦世帯は4割強・単身は5割近く(2015年)(最新)

2015/11/15 16:07

金融広報中央委員会の「知るぽると」は2015年11月6日、同会が毎年調査・発表している家計の金融行動に関する世論調査において、最新版となる2015年分を公開した。発表資料では主にお金のやりくりの視点から、一般世帯の動向を推し量れる数多くのデータが開示されている。今回はそのデータを基に、世帯ベースでの金融資産の保有の有無について、最新分、さらには経年による変化を確認をしていくことにする(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

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直近では単身52.4%、夫婦世帯は69.1%が金融資産持ち


今件における「金融資産」とは、預貯金・有価証券・保険などの金融商品を意味する。事業性の預貯金(家計で蓄財しているものとは別個)や、給与振込・振替などで一時的にしか口座に留まらない事業性の預貯金は「金融資産」には該当しない。また、土地や住宅、貴金属などの実物資産なども含まれない。その「金融資産」を有するか否かの問いに対し、「ある」と答えた世帯の推移が次のグラフ。「単身世帯」の調査は2007年以降であることから、単身・夫婦(二人以上)世帯の比較がしやすいよう、今世紀に限定したグラフも併記した。

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(1963-2015年)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(1963-2015年)

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2015年)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2015年)

個人のプライベートな事情、資産に関するポリシーなどもあり、100%はありえないものの、前世紀末までは9割台を維持していた二人以上世帯の「金融資産保有率」。しかし21世紀に入ってからは少しずつ減少し、特に今世紀初頭の不景気における低下は著しいものとなっている(約10%ポイント下がっている)。その後景気の持ち直しと共に、二人以上世帯では8割近くまで戻しているが、2011年では前年比で6.3ポイントもの急落が起きている。この下げ幅は奇しくも2002年から2003年における不景気下でのものと同一で、少なくとも「二人以上世帯の金融資産保有率」の観点からは、景気後退の流れはほぼ同じレベルであることがうかがえる。

単身世帯では二人以上世帯よりも早く、金融資産保有率の上で、不景気の影響が出ている。グラフを見れば分かる通り、2010年から大幅な下落が確認できる。2009年からの2年間での下げ率は8.8%ポイント。2011年において単身世帯の4割近くは「金融資産を持っていない」との計算になる。

2012年では単身・二人以上世帯共にいくぶん値を戻したものの、その後も低迷感は否めない。直近の2015年において二人以上世帯は前年から0.5%ポイント、単身世帯にいたっては8.7%ポイントもの下落を示している。イレギュラー感は否めず来年の動向を見極めたいところだが、他の項目を見ると今世紀の下落と共に持ち家率が上昇しており、また上記説明の通り今件金融資産は不動産をはじめとした実物資産は該当しないことから、「貯蓄から投資」へではなく「投資から実体資産へ」の動きが生じている可能性がある。実際【借金合わせたらどうなるか…一人暮らしの貯蓄・負債・純貯蓄高をグラフ化してみる】などでも、単身世帯における住宅購入性向が増加しているようすが確認できる。

低所得世帯ほど低い金融資産保有率


金融資産の保有状況は、各世帯の年収と少なからぬ関係がある。次のグラフは世帯年収別の「金融資産保有率」を示したもの。二人以上世帯でややぶれがあるものの(年収750-1000万円未満世帯が一番「非」保有者率が低くなる)、全般的には「低年収ほど金融資産を持たない世帯が多くなる」傾向が確認できる。

↑ 金融資産「非」保有率(単身・二人以上世帯)(2015年)
↑ 金融資産「非」保有率(単身・二人以上世帯)(2015年)

今件調査の「収入」は就業に伴う収入、年金、不動産賃貸収入、利息収入などの税引き後収入を意味し、土地・住宅、株式などの資産売却に伴う収入は含まれない。無収入世帯では他世帯の世話を受けているか、貯蓄や売却益などを切り崩しているなどが想定されるが、年収300万円未満世帯同様、金融資産を持たない世帯が多いことが分かる。

また世帯構成別に見ると、単身世帯は二人以上世帯と比べ、金融資産非保有率が高い。収入の面でツラい面が多い、あるいは必要性を感じにくい点が影響していると思われる。単身世帯では子供が(原則的に)居ない世帯となるため、子供のための資産蓄積の必要性が無いと考えれば道理は通る。

世代別の非金融資産保有率は?


金融資産保有率に関して、世帯主の年齢階層別を確認したのが次のグラフ。現時点で詳細データが確認できるのは2014年分なので、その直近データ、そして連続性のある値として比較可能な最古の値である2007年分のを併記した。

↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、単身世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)
↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、単身世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)

↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、二人以上世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)
↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、二人以上世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)

中堅層でややへこみが見られるのは住宅取得や子供の学費がかさむ関係が絡んでくることが推測されるが、それをのぞけば大よそ歳を経るほど金融資産保有率は高くなる。就業時期を過ぎれば、基本的に年金とこれまでの貯蓄の切り崩しで生活費をまかなう必要があるため、金融資産は生命線と成り得るからだ。

また7年間の動きの限りでは、どの年齢階層でも金融資産保有率が減少している。下げ幅はどの世代でもあまり変わりないように見えるが、あえて言えば20代の下げ方がややキツいようだ。上記に挙げたように非金融資産への傾注も一因だが、同時に金融資産を有する余裕が無い状況の人が増えていることも否定はできまい。



直近の2015年における単身世帯の金融資産保有世帯率の減少だが、先行する形で詳細データを元に精査された概要書のデータを見るに、低年収(ゼロでは無い)・若年層で大きく減少していることが確認されている。若年層は必然的に低年収となる場合が多く、この場合、低年収≒若年層による金融資産保有率が減少したことが分かる。この傾向は単身・二人以上世帯共に生じており、特に2011年以降の20歳代で顕著である。

これらの動きを見るに、若年層の金銭周りが厳しくなり、貯蓄の余裕が少なくなってきた人が増加した可能性はある。それと同時に上記の通り、金融資産の定義部分に「金融資産には、土地・住宅等の実物資産は含まない」とあることから、「金融資産にカウントされない実物資産の増加」、あるいは「一時的にしか口座に留めておかない預貯金(自らのために使うつもり)の増加」との動きなのかもしれない。


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