金融資産を持たない世帯、夫婦世帯は3割強・単身は5割近く(最新)

2017/12/14 05:14

2017-1213金融広報中央委員会の「知るぽると」は2017年12月11日、同会が毎年調査・発表している家計の金融行動に関する世論調査において、最新版となる2017年分の詳細統計表を公開した。発表資料では主にお金のやりくりの視点から、家庭の動向を推し量れる数多くのデータが開示されている。今回はそのデータを基に、世帯ベースでの金融資産の保有の有無について、最新分、さらには経年による変化を確認をしていくことにする(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

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直近では単身53.6%、夫婦世帯は68.8%が金融資産持ち


今件における「金融資産」とは、預貯金・有価証券・保険などの金融商品を意味する。事業性の預貯金(家計で蓄財しているものとは別個)や、給与振込・振替などで一時的にしか口座に留まらない事業性の預貯金は「金融資産」には該当しない(普通・定期のような口座の種類は問わない。他方、同一口座内でも運用のためや将来に備えて蓄えている部分は「金融資産」とし、日常的な出し入れ・引き落としに備えている部分は除く)。また、土地や住宅、貴金属などの実物資産なども含まれない。その「金融資産」を有するか否かの問いに対し、「ある」と答えた世帯の推移が次のグラフ。「単身世帯」の調査は2007年以降であることから、単身・夫婦(二人以上)世帯の比較がしやすいよう、今世紀に限定したグラフも併記した。

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(1963-2017年)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(1963-2017年)

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2017年)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2017年)

個人のプライベートな事情、資産に関するポリシーなどもあり、100%はありえないものの、前世紀末までは9割台を維持していた二人以上世帯の「金融資産保有率」。しかし21世紀に入ってからは少しずつ減少し、特に今世紀に入ってからの低下は著しいものとなっている(約10%ポイント下がっている)。その後二人以上世帯では8割近くまで戻しているが、2011年では前年比で6.3%ポイントもの急落が起きている。この下げ幅は奇しくも2002年から2003年における不景気下でのものと同一で、少なくとも「二人以上世帯の金融資産保有率」の観点からは、景気後退の流れはほぼ同じレベルであることがうかがえる。

単身世帯では二人以上世帯よりも早く、金融資産保有率の上で、不景気の影響が出ている。グラフを見れば分かる通り、2010年から大幅な下落が確認できる。2009年からの2年間での下げ率は8.8%ポイント。2011年において単身世帯の4割近くは「金融資産を持っていない」との計算になる。

ただし今件の「金融資産」はあくまでも現金以外で、明確に金融資産として貯蓄しているものと認識している場合に限定される。【郵便貯金の金利推移をグラフ化してみる(最新)】で詳しく解説しているが、今世紀に入ってから金融機関の金利が急落して事実上のゼロ金利となっているため、貯蓄目的としての預貯金、特に定期や定額の預貯金の意義がほとんど無くなり、流動性の高い普通預貯金口座に、日常的な出し入れ・引き落としに備えたお金と、運用のためや将来に備えて蓄えているお金を合わせて預け入れているケースが増えている。そしてそのような使い方をしている場合、貯蓄としての金融資産とそうでない常用的な資産との仕切り分けがあいまいになっているのが実情である。

金利が下げ始めた時期と、二人以上世帯における金融資産保有率の下げ始めた時期がほぼ一致するため(単身世帯はその後の調査開始)、預貯金口座の存在意義や使われ方の変化もまた、金融資産保有率の減少に大きく影響していると考えられる。実際、他の調査の限りでは、今世紀に入って貯蓄性向が減退しているとの話は見受けられないからだ(人口構成比における高齢化に伴い、総計としての貯蓄率減退は生じているが)。

他方、他の項目を見ると今世紀に入ってからの金融資産保有率の下落と共に持ち家率が上昇しており、さらに上記説明の通り今件金融資産は不動産をはじめとした実物資産は該当しないことから、「貯蓄から投資」へではなく「投資から実体資産へ」の動きが生じている可能性もある。実際【借金合わせたらどうなるか…一人暮らしの貯蓄・負債・純貯蓄高をグラフ化してみる】などでも、単身世帯における住宅購入性向が増加しているようすが確認できる。

低所得世帯ほど低い金融資産保有率


金融資産の保有状況は、各世帯の年収と少なからぬ関係がある。次のグラフは世帯年収別(収入には公的・私的年金も含まれる)の「金融資産保有率」を示したもの。一部でぶれがあるものの、全般的には「低年収ほど金融資産を持たない世帯が多くなる」傾向が確認できる。

↑ 金融資産「非」保有率(単身・二人以上世帯)(2017年)
↑ 金融資産「非」保有率(単身・二人以上世帯)(2017年)

今件調査の「収入」は就業に伴う収入、年金、不動産賃貸収入、利息収入などの税引き後収入を意味し、土地・住宅、株式などの資産売却に伴う収入は含まれない。無収入世帯はごく少数(例えば二人以上世帯では全体の約0.7%の世帯数でしかない)であることから、他世帯の世話を受けているか、貯蓄などを取り崩しているなどが想定されるが、年収300万円未満世帯同様、金融資産を持たない世帯の割合が多いことが分かる。

世帯構成別に見ると、単身世帯は二人以上世帯と比べ、金融資産非保有率が高い。収入の面でツラい面が多い、あるいは必要性を感じにくい点が影響していると思われる。また単身世帯では子供が(原則的に)いない世帯となるため、子供のための資産蓄積の必要性が無いと考えれば道理は通る。

なお単身世帯の1000-1200万円未満と1200万円以上でイレギュラーな動きが生じているが、これは回答者数そのものがごく少数のため。前者は11人、後者は22人でしかない。

年齢階層別の金融資産保有率は?


金融資産保有率に関して、世帯主の年齢階層別を確認したのが次のグラフ。現時点で詳細データが確認できるのは2017年分であることからその直近データ、そして連続性のある値として比較可能な最古の値である2007年分のを併記した。

↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、単身世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)
↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、単身世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)

↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、二人以上世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)
↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、二人以上世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)

中堅層でややへこみが見られるのは住宅取得や子供の学費がかさむ関係が絡んでくることが推測されるが、それをのぞけば大よそ年を経るほど金融資産保有率は高くなる。就業時期を過ぎれば、基本的に年金とこれまでの貯蓄の切り崩しで生活費をまかなう必要があるため、金融資産は生命線と成り得るからだ。

また10年間の動きの限りでは、どの年齢階層でも金融資産保有率が減少している。下げ幅はどの年齢階層でもあまり変わりないように見えるが、あえて言えば単身世帯で20代の下げ方がややキツいようだ。上記に挙げたように金利の低下が進み、預貯金の概念が変わったのに加え、非金融資産への傾注も影響しているのだろう。


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