金融資産を持たない世帯、夫婦世帯は2割強・単身は3割強(最新)

2022/04/15 03:02

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2022-0401金融広報中央委員会の「知るぽると」は2022年3月28日、同会が毎年調査・発表している家計の金融行動に関する世論調査において、最新版となる2021年分の詳細値を含めた結果を公開した。発表資料では主にお金のやりくりの視点から、家庭の動向を推し量れる数多くのデータが開示されている。今回はそのデータを基に、世帯ベースでの金融資産の保有の有無について、最新分、さらには経年による変化を確認をしていくことにする(【家計の金融行動に関する世論調査】)。

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直近では単身66.8%、二人以上世帯は78.0%が金融資産持ち


今件における「金融資産」とは、預貯金・有価証券・保険などの金融商品を意味する。事業性の預貯金(家計で蓄財しているものとは別個)は「金融資産」には該当しない。また、土地や住宅、貴金属などの実物資産なども含まれない。

その「金融資産」を有するか否かの問いに対し、「ある」と答えた世帯の推移が次のグラフ。「単身世帯」の調査は2007年以降であることから、単身・二人以上世帯の比較がしやすいよう、今世紀に限定したグラフも併記した。

なおグラフ中にも解説があるが、2017年までは単純に「金融資産を保有しているか否か」で問われていたが、2018年以降は「預貯金や株式などの金融商品を列挙し、そのいずれも保有していない」あるいは「預貯金は有るがその中で運用または将来の備えがゼロ」の世帯を金融商品非保有世帯としている。クレジットカードの支払いに代表される口座からの自動引き落とし制度の利用が日常化し、預貯金口座を運用や将来への備えと、日常的な引き落とし口座としの兼用として使うケースが増えたことによるものと考えられる。2017年までは「預貯金は運用または将来の備えの部分を金融資産とし、日常的な出し入れ・引き落としに備えている部分は除いてください」との説明が行われていたが、回答の上で混乱・誤回答のリスクが多々あったため、2018年以降の方式に変わったようだ。

さらに2020年までは二人以上世帯は訪問・郵送の複合選択式、単身世帯はインターネットモニター調査法だったのに対し、2021年以降はインターネットモニター調査法に統一され、調査対象も2020年までは二人以上世帯が20歳以上上限なし・単身世帯が20歳以上70歳未満だったのに対し、2021年以降は両世帯種類とも20歳以上80歳未満となるなど、調査調査対象母集団などにいくぶんの違いがある。2020年までと2021年以降においては、完全な連続性は無いことに注意する必要がある。

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001年以降)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001年以降)

個人のプライベートな事情、資産に関するポリシーなどもあり、100%はありえないものの、前世紀末までは9割台を維持していた二人以上世帯の「金融資産保有率」。しかし21世紀に入ってからは少しずつ減少し、特に今世紀に入ってからの低下は著しいものとなっている(約10%ポイント下がっている)。その後二人以上世帯では8割近くまで戻したが、2011年では前年比で6.3%ポイントもの急落が起きている。この下げ幅は奇しくも2002年から2003年における不景気下でのものと同一で、少なくとも「二人以上世帯の金融資産保有率」の観点からは、景気後退の流れはほぼ同じレベルであることがうかがえる。

単身世帯では二人以上世帯よりも早く、金融資産保有率の上で、不景気の影響が出ている。グラフを見れば分かる通り、2010年から大幅な下落が確認できる。2009年からの2年間での下げ率は8.8%ポイント。2011年において単身世帯の4割近くは「金融資産を持っていない」との計算になる。

他方2018年以降は上記説明の通り、設問の変更(厳格化)が行われたこともあり、大きな増加が見られる。設問内容の限りでは、むしろこれまでは低めの値が出ており、2018年以降が実情を正確に表していると見てよいようだ。なお、預貯金口座や証券口座などの口座を一切持ち合わせていない世帯は単身世帯で4.0%、二人以上世帯で4.4%となっている。

↑ 預貯金口座・証券口座などの口座の無い人率(世帯種類別・年齢階層別)(2021年)
↑ 預貯金口座・証券口座などの口座の無い人率(世帯種類別・年齢階層別)(2021年)

今件の「金融資産」はあくまでも現金以外で、明確に金融資産として貯蓄しているものと認識している場合に限定される。【現在0.001%、かつては4.800%の時代も…郵便貯金の金利推移(最新)】で詳しく解説しているが、今世紀に入ってから金融機関の金利が急落して事実上のゼロ金利となっているため、貯蓄目的としての預貯金、特に定期や定額の預貯金の意義がほとんど無くなり、流動性の高い普通預貯金口座に、日常的な出し入れ・引き落としに備えたお金と、運用のためや将来に備えて蓄えているお金を合わせて預け入れているケースが増えている。そしてそのような使い方をしている場合、貯蓄としての金融資産とそうでない常用的な資産との区分があいまいになっているのが実情である。2018年分からの設問の変更もこの現状に合わせてのものだが、それでもなお、区分が明確ではない人がいることは否定できない。

金利が下げ始めた時期と、二人以上世帯における金融資産保有率の下げ始めた時期がほぼ一致するため(単身世帯はその後の調査開始)、預貯金口座の存在意義や使われ方の変化もまた、金融資産保有率の減少に大きく影響していると考えられる。実際、他の調査の限りでは、今世紀に入って貯蓄性向が減少しているとの話は見受けられないからだ(人口構成比における高齢化に伴い、総計としての貯蓄率減少は生じているが)。

他方、他の項目を見ると今世紀に入ってからの金融資産保有率の下落とともに持家率が上昇しており、さらに上記説明の通り今件金融資産では不動産をはじめとした実物資産は該当しないことから、「貯蓄から投資へ」ではなく「投資から実体資産へ」の動きが生じている可能性もある。実際【現在0.001%、かつては4.800%の時代も…郵便貯金の金利推移(最新)】などでも、単身世帯における住宅購入性向が増加しているようすが確認できる。

年齢階層別の金融資産保有率は?


金融資産保有率に関して、世帯主の年齢階層別を確認したのが次のグラフ。現時点で詳細データが確認できるのは2021年であることからその直近データ、そして連続性のある値として比較可能な最古の値である2007年のを併記した。

↑ 金融資産保有率(単身世帯、世帯主年齢階層別)(比較可能な最古年と取得可能最新年)
↑ 金融資産保有率(単身世帯、世帯主年齢階層別)(比較可能な最古年と取得可能最新年)

↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、二人以上世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)
↑ 金融資産保有率(世帯主年齢階層別、二人以上世帯)(比較可能な最古データと最新取得可能年)

二人以上世帯において中年層でややへこみが見られるのは住宅取得や子供の学費がかさむ関係が絡んでくることが推測されるが、それをのぞけばおおよそ年を経るほど金融資産保有率は高くなる。就業時期を過ぎれば、基本的に年金とこれまでの貯蓄の切り崩しで生活費をまかなう必要があるため、金融資産は生命線となるからだ。

また14年間の動きの限りでは、二人以上世帯の70代以外のどの層でも金融資産保有率が減少している。上記に挙げたように金利の低下が進み、預貯金の概念が変わったのに加え、非金融資産への傾注も影響しているのだろう。


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