大学生の奨学金受給者率推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/04/12 05:09

学費に教材費、交通費、そして交友費など、高校までと比べると大学生活には桁違いのお金が必要となる。一人暮らしを始めるとなれば生活費も多分に上乗せされる。実家の仕送りや大学生自身のアルバイトだけでは足りそうにない場合、奨学金の給与・貸与を受ける選択肢も用意されている。今回は独立行政法人日本学生支援機構が2016年3月29日に発表した【「平成26年度学生生活調査」】の内容をもとに、大学生の奨学金受給状況の確認をしていくことにする。

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今調査の調査要項は先行記事【大学生のアルバイト事情をグラフ化してみる】を参照のこと。そして【大学生のふところ事情を収入面からグラフ化してみる】にもある通り、アルバイト料や仕送り額が漸減する中で、奨学金の絶対額・大学生の収入に占める比率は増加する傾向にある。

↑ 大学生収入事情(大学昼間部・万円)(再録)
↑ 大学生収入事情(大学昼間部・万円)(再録)

これは奨学金の額が上乗せされているのではなく、受給者率(対象全学生のうち、奨学金を受給している学生の割合)が増えているのが原因。その動向を追ったのが次のグラフ。

↑ 奨学金需給状況(受給者率)(全学生のうち奨学金を受給している者の割合)
↑ 奨学金需給状況(受給者率)(全学生のうち奨学金を受給している者の割合)

博士課程は元々奨学金受給者率が高く6割強で安定しており、これは経年で変化がない。一方、修士課程・大学昼間部は漸増を続け、今世紀に入ってからは急カーブを描いて上昇している。特に大学昼間部は不景気時における上昇率が大きく、2回の急上昇を経て1992年度から2014年度の間に2倍強に増えたことが見て取れる。

他方直近2014年度では大学昼間部・修士課程・博士課程のいずれも前回調査となる2012年度からは受給者率が落ちている。申請したものの不採用となったり、希望してはいるが申請しなかった人が増えているのではなく、必要が無いと判断した人の比率が増加していることから、景況感の動向が受給者率にも少なからぬ影響を与えていることが推測される。

また2014年度の大学種類別動向を見ると、公立の受給率・申請率がもっとも多く、国立がもっとも少ない。希望しているが申請しなかった、申請したが受理されなかった割合はどの大学種類でも少数だが一定率は存在している。

↑ 奨学金の希望・受給状況(2014年度、学校種類別)(大学昼間部)
↑ 奨学金の希望・受給状況(2014年度、学校種類別)(大学昼間部)

さらに世帯年収別で区分し、受給者率を見ると次の通りとなる。この値はそれぞれの学校種類における奨学金受給者全体のうち、各年収世帯の生徒の人数割合を示している。個々の年収世帯のうち何%が奨学金を受けているかを示したものでは無い。

↑ 世帯年収別・奨学金受給者比率(2014年度)(各学校種類における受給者全体に占める割合)
↑ 世帯年収別・奨学金受給者比率(2014年度)(各学校種類における受給者全体に占める割合)

国立・公立では400-600万円台、私立では500-600万円台が最多比率層となっている、高年収世帯層で値が国公立と比べると私立は高めに出るなど、私立は国立・公立と状況がやや異なる状況となっているのが分かる。私立大学の方が学費が高くなるため、高年収世帯でも負担は大きく、奨学金に頼る割合も増加するのだろう。

また300万円以下の世帯では受給者率が大きく減る。これは元々年収が低い世帯層の学生が少ないのが要因。当然、低年収世帯層の方が申請した場合の受理率は高く、高年収ほど不受理の割合は増加している。それでもなお、このような結果となってしまう次第。

↑ (参考)世帯年収別・学生数の割合(2014年度)(各学校種類における学生数全体に占める割合)
↑ (参考)世帯年収別・学生数の割合(2014年度)(各学校種類における学生数全体に占める割合)

奨学金の大部分は給付ではなく貸付であり、就職などで定期収入を得るようになってから漸次返却する義務を負う。未来の自分への投資との観点では有益な手法であるものの、借金には違いない。学生の収入そのものや仕送り額の減少と合わせ、大学生のお財布事情の厳しさを示す一つの指針として、記憶にとどめておく動きといえよう。


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