大学種類別仕送り額の推移(最新)

2022/04/13 02:58

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2022-0330大学生活における本業は学業に違いないが、高校までと比べて自由度の高い世界の中で私生活を存分に楽しみたい人も多い。そして学業・私生活ともに相応のコストが求められる。一人暮らしで大学生活を過ごすとなれば、生活費もかさむ。そのコストをまかなうためにアルバイトをしたり、実家からの仕送り(家庭給付)を受け、やりくりをすることになる。今回は大学生における収入のうち、「実家からの仕送り」について、独立行政法人日本学生支援機構が2022年3月25日に発表した【「令和2年度学生生活調査」】などの内容を基に確認をしていくことにする。

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今調査の調査要項は先行記事【アルバイト率約8割…大学生のアルバイト事情(最新)】を参照のこと。そして【仕送り金は漸減状態…大学生のふところ内部事情(最新)】で解説の通り、直近2020年度では大学昼間部の平均的な仕送り額は約115万円となっている。

↑ 大学生収入事情(大学昼間部、万円)(再録)
↑ 大学生収入事情(大学昼間部、万円)(再録)

そこで気になるのは国立・公立・私立それぞれの大学種類別の仕送り額の違い。一般的、そして今調査における調査結果(平均値)でも、学費は国立がもっとも安く、やや上乗せする形で公立、そして私立が大幅高との状況にある。当然仕送り額は私立の方が額面上で大きなものでないと、学生側の生活が成り立た無くなる。

次のグラフでは、その大学種類別・仕送り額について、値を確認できた2000年度以降の推移を描いている。無論この値は年間のもの。

↑ 家庭からの給付額(大学昼間部、大学種類別、万円)
↑ 家庭からの給付額(大学昼間部、大学種類別、万円)

学費は国立が一番安いのだが、仕送り額は公立の方が安い。これは今数字が自宅(実家)・下宿合わせた上での平均値であることに加え、自宅通いの割合は公立の方が高いのが原因。自宅通いの場合は必要となるコストが安く済むので、保護者から受け取れる生活費も抑えられる次第である。ただし額の差異は10〜20万円程度に収まっている。当然、国立大の学生の方が平均値の上では、生活費の面で(多少ながらも)余裕が持てる次第。

一方、私立大学の仕送り額は公立・国立と比較して30〜40万円程度の差が出ている。それだけ学費に圧迫されているのだから仕方がない。実際、直近2020年度の値を見ると、国立・公立の大学生と比べて、仕送り額が多いのにもかかわらず、厳しい生活をしているようすが確認できる。

↑ 学生生活費(大学昼間部、大学種類別、年間、万円)(2020年度)
↑ 学生生活費(大学昼間部、大学種類別、年間、万円)(2020年度)

元々私立大学は費用がかかるため、世帯収入が高めな世帯の子供が通う傾向が出てしまう。それでもなお、仕送り額が大きく違うこともあり、家庭にかかる負担は大きい。

↑ 家庭からの給付額(大学昼間部、大学種類別、家庭の年間収入に対する割合)
↑ 家庭からの給付額(大学昼間部、大学種類別、家庭の年間収入に対する割合)

直近2020年度では国立・公立大学では10%台なのに対し、私立では14.5%を示しており、4%ポイント程度の差が出ている。それだけ私立大学に通う子供を持つ世帯では、家計が圧迫されていることになる。

また両グラフの経年推移を見ると、

・額、家計収入比率ともに漸減傾向。2010年度は経済不況を受けて大幅減。

・2012年度では国立と公立間で家庭負担率に大きな差ができたが、2014年度では再びほぼ同率となった。

などの傾向が確認できる。

グラフ記述の該当期間では消費者物価指数はさほど大きな変化が無いことも含めて考えると、学生の生活が厳しさを増していることは容易に想像がつく。私立の場合は【大学生の自宅・下宿割合の推移】でも記したように、実家通い率が漸増しているのも一因だが、それでも、学生本人、そして実家の保護者もそろばん勘定に頭を痛めている状況が続いていることには違いあるまい。


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