大学生のふところ事情を収入面からグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/04/11 05:30

高校生までと比べて大学生は可能な事・するべき事・許されている事が多く、また自由度も高い環境下で日々の生活を過ごすことになる。当然多種多様な出費が生じるため、それをまかなうための収入が不可欠。それでは大学生はどのようにして収入を得ているのだろうか。独立行政法人日本学生支援機構が2016年3月29日に発表した【「平成26年度学生生活調査」】などの内容を基に、もっとも人数が多い大学生の大学学部・昼間部について、ふところ事情を見ていくことにする。

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先に【大学生のアルバイト事情をグラフ化してみる】で記した通り、今調査母体では3/4近い学生がアルバイトに従事している。

↑ アルバイト従事者率(大学学部・昼間部)(再録)
↑ アルバイト従事者率(大学学部・昼間部)(再録)

アルバイトなどの仕事をすれば当然収入が得られることになる。しかしその手取りだけで学生生活の支出をすべてまかなえる人は少数(「まれ」のレベルだろう)。ほとんどは奨学金、実家からの仕送り、さらには貯蓄を切り崩して生活をすることになる。今項目ではそれら学生の「収入事情」をグラフにしたもの。

収入項目を大きく「家庭給付(仕送り)」「奨学金」「アルバイト」「定職(収入)・その他」に区分し、それぞれの収入推移と、収入全体に対する比率を経年でグラフ化したのが次の図。全体額の漸減、そして「家庭給付」が大きく減少しているようすが分かる。

↑ 大学生収入事情(大学昼間部・万円)
↑ 大学生収入事情(大学昼間部・万円)

↑ 大学生収入事情(大学昼間部・比率)
↑ 大学生収入事情(大学昼間部・比率)

今件データにはアルバイト従事の有無、奨学金取得の有無毎の区分された値は無い。その年度全体としての平均であり、実際にはそれぞれの就学状態で大きく変化しうることを記しておく。例えばアルバイトをしていない学生は当然バイト料の実入りは無く、実家通いで家賃や食費の一部を浮かせることができなければ、お財布事情はさらに厳しいものとなる(ちなみに直近の2014年度における大学昼間部の居住形態別学生数比率は、全体で自宅56.5%・学寮や下宿など43.5%である)。

全体の傾向としては、

・全体額の漸減。特に2010年度の減りが大きい。2012年度はかろうじて増加しているが、アルバイトと奨学金の積み上げによるもの。2014年度は家庭給付と奨学金が減り、全体も再び減少へ。

・家庭給付の額はほぼ横ばいだったが、2008年度から2010年度にかけて大きく減っている。その後も漸減は続く。

・アルバイトの額は横ばい、しかし2010年度には減る動き(アルバイト従事者の比率減少が一因)。

・奨学金額は2010年度に大きく増加し、その後は横ばい(受給者比率増加が一因)。

などの動きが見える。特に2008年度から2010年度にかけては大きなマイナス方向の動きがあり、2007年夏に始まる直近の金融危機、経済不況による影響が大きく出ていることがうかがえる。

詳しくは機会を改めて確認するが、とりわけ「家庭給付」の額の減少が継続している。2004年度から2006年度にかけてはいくぶんの景況感の回復を反映し額も上乗せされたが、2008年度には失速。そして2010年度には大きく下げ、8年前の2002年度と比較して30万円強も削られている。それ以降は急落こそないものの、減少傾向には変わりが無い。消費者物価指数の動向に大きな変化はないことから、純粋に実家・親元のお財布事情が厳しくなり、「仕送り」が減らされたことがうかがえる。ちなみに2008年度から2010年度の急落だが、居住形態別推移を見ても、自宅通学の人が増えて下宿者が減ったからと説明するには減少額が大きすぎる。

気になる動きとしてもう一つ留意したいのが、「奨学金」比率の増加。これは奨学金の額面が増額しているわけではなく、受給者率が上昇しているからに他ならない。今件は大学昼間部のデータだが、2002年度では全学生のうち31.2%が奨学金受給者だったものの、これが2014年度には51.3%にまで増加している(こちらも詳しくは改めて見ていくことにする)。仕送り額の減額やアルバイト事情の厳しさを奨学金で少しでも穴埋めしようとの動きと言える。



仕事の現場で学べる点も多く、大学時代における一定のレベルでのアルバイトはむしろ奨励すべき話(極めて多忙な一部の学部を除く)。しかし大学生は本業が学業であること、そして学費の多分を実家にまかなってもらっている現状を考ると、アルバイトをはじめとする金銭周りで学生自身が苦心する状況は、あまり好ましいとはいえない。

奨学金制度をはじめ、大学生を支える仕組みの再構築と改善が求められよう。


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