大学生のアルバイト事情をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/04/09 11:29

大学生の本業は学習であるが、同時に社会環境に慣れ社会人として大人の世界に足を踏み入れた際のトレーニングも欠かせない。その最たるものがアルバイト。これは就業実地訓練のようなもので、企業内のルールを守り上役の指図に従い労働に従事し、対価の受け取りを実体験する機会にもなる。今回は独立行政法人日本学生支援機構が2016年3月29日に発表した【「平成26年度学生生活調査」】など一連の調査結果をもとに、その大学生のアルバイト事情を確認していくことにする。

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1/3強は「アルバイトしなければ修学不可能、不自由」


今調査結果は2014年11月に大学院、大学学部及び短期大学本科の学生(休学者及び外国人留学生は除く、社会人学生は含む)の中から無作為抽出方法によって抽出された学生に対して調査票方式で調査されたもの。また調査そのものは2年おきに行われており、現時点では2014年実施の結果が最新データである。

経年データのうち、アルバイト従業者率が調査項目に挙がっている2002年度以降について、状況の確認をしていく。まずは「大学学部・昼間部の学生で、アルバイトをしている人の割合」をグラフ化したのが次の図。アルバイト従事者については「仕送りだけで学生生活は可能だが、生活に余裕が欲しいのでしている」との人と「仕送りだけでは学生生活の継続は無理(・不自由)。アルバイトで不足分を補てんしないと(、あるいは仕送りが無いので当然アルバイトなどで学費や生活費をまかなっている)」との人の区分もしてある。要はグラフ中で赤色と青色を合わせた値が、大学生のアルバイト従事率となる。

↑ アルバイト従事者率(大学学部・昼間部)
↑ アルバイト従事者率(大学学部・昼間部)

アルバイトをしていない大学生の比率は、少なくとも今世紀に入ってからはほとんど変化が無「かった」。また、仕送りだけでは生活ができないのでアルバイトをしている学生の比率は減少傾向にあり、生活上のゆとりを求めてアルバイトに従事する学生が増加する傾向を見せてい「た」。

ところが2008年度以降は学生の生活がより困難になる動き、「家庭給付だけで修学可能」が減る・「不自由・困難・給付なし」が増加する流れが見え、2010年ではさらにその動きが強まり「不自由・困難・給付なし」派が「修学可能」派を追い越す形となった。しかし一方で「アルバイト非従事者」率も2010年度では大きな増加を示し、大学生の金銭周りで二極化が起きている感はある。一連の動きは2007年夏から始まった金融危機・経済不況に、大学生のアルバイト事情も大きく影響を受けたと考えざるを得ない。

その後2012年度・2014年度に渡り、再び「修学可能」派は増え、「不自由・困難・給付なし」派は減る傾向が見受けられる。2014年度では「アルバイト非従事者」率が増加したことも合わせ、金銭周りの状況に変化が起きている感はある。とはいえ大学生全体の1/3以上が、自らがアルバイトをしない限り修学が不自由・困難な状態であるのもまた事実に違いない(このうち「不自由」は14.1%、「困難」は13.4%、「家庭給付なし」は7.5%)。

アルバイトの職種を探る


上記グラフでは「アルバイト従事者」とひとくくりにしているが、そのアルバイトの内容を大別すると、また違った「世情」が見えてくる。なお直近年となる2014年度では職種区分がより詳細になされているが、経年における動向を確認するため、ここでは「販売」「飲食業」「販売・飲食業を除く軽労働」をすべてまとめて「軽労働」で計上する。

↑ アルバイト従事者の職種別学生数の割合(大学昼間部)
↑ アルバイト従事者の職種別学生数の割合(大学昼間部)

・家庭教師の比率は年々減少中

・軽労働の比率は年々確実に増加。直近年度で初めて減少

・事務の比率も少しずつだが減少

・重労働や特殊技能などの職種も漸減(「特殊技能・その他」でひとくくりにしてあるので増加しているように見えるが、特殊技能に限れば1.3%でしかない。前回調査では仕切り分けがされていなかったので比較は不可能)

ファストフードやコンビニなど小売業での作業に代表される「軽労働」は増加の一途をたどる状況に変わりはない。「頭をよく使うタイプのアルバイトが敬遠され、作業上のリスクも低く身体的な負担も少ない軽労働が好かれている」ようにも見える。無論、「軽労働」の供給が増えているのも一因だろう。

他方、大学生のアルバイトの定番職種の一つであり花形だった「家庭教師」は、2010年度に多少の持ち直しを見せた以外は、押しなべて減少傾向を続けている。2010年度ではリーマンショックに代表される経済不況を受け、アルバイト事情に変化が生じたからか、「家庭教師」「事務」「重労働・危険作業」などでトレンドの転換を予見させる動きがあった。しかし2012年度以降は再びここ数年来の傾向に戻り、それらの職種は再びシェアを減らす方向に転じている。今後この動きはさらに推し進められていくのは、容易に想像できよう。

また「その他」の値が増えている動きからは、これまでの職種区分では仕切り分けが難しいアルバイトの種類が増えていることがうかがえる。家庭教師、事務、販売、飲食業、その他軽労働、重労働・危険作業、特殊技能といった大よそアルバイトの種類を包括できるスタイル「以外」に、どのようなものがあるのは想像が難しいが、今後さらに増えるのならば、留意が必要だろう。



ちなみに昼間部の大学生全体における週あたりの平均アルバイト時間は直近では8時間から9時間との結果が出ている(2014年では平均値の計上が報告書では成されていないので、中央値を元に無回答を除き加重平均で各値を算出している)。

アルバイトをしていない学生も含めて均しているので、「週8時間から9時間」は少なく感じる人もいるかもしれない。仮にアルバイトをしていない(アルバイト従事時間がゼロ回答)人も除外して平均値を計算し直すと、従事者全体では大よそ14時間/週となる。毎日アルバイトをしているとして、1日2時間、土日を除いたとすれば1日3時間近くとなる。

↑ 週間平均生活時間(大学学部・昼間部)(2014年11月における不特定な一週間を調査)
↑ 週間平均生活時間(大学学部・昼間部)(2014年11月における不特定な一週間を調査)

↑ 週間平均生活時間(大学学部・昼間部)(アルバイト等の就労活動、時間)
↑ 週間平均生活時間(大学学部・昼間部)(アルバイト等の就労活動、時間)

国立大学生の方がアルバイト時間が短く、娯楽・交友や部活動・サークル活動の時間が長いなど、生活上でゆとりがあるように見受けられる。またバイト時間そのものは経年でほとんど変化は無く、2014年度ではわずかに減少した雰囲気が見られる程度。

学生時代、特に大学生においては勉学そのもの以外の日常・社会生活も重要な「学びの場」であることに違いは無い。だが、アルバイトにかまけて授業を軽視するようなことは無いように気を付けてほしいものではあるし、アルバイトへの負担が大きく修学に難儀するようなケースが少なくなるような手立てが望まれるところではある。


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