「にやける」は「薄笑いを浮かべる」では無く…正しい意味で言葉を使っているか否かをグラフ化してみる

2012/10/21 07:00

疑問文化庁は2012年9月20日、毎年実施している【国語に関する世論調査】の2011年度版(概要)を発表した。それによると「にやける」を本来の「なよなよとしている」との意味で使っている人はわずか14.7%でしかなく、8割近い人が間違った意味「薄笑いを浮かべている」として使っていることが分かった。例示された5選択肢では「煮え湯を飲まされる」がもっとも正答率が高いが、それでも1/4近くの人は間違った解釈「敵から酷い目に遭わされる」で使っているのが確認できる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は2012年2月から3月にかけて日本全国の16歳以上の男女に対して個別面接調査方式にて行われたもので、有効回答数は2069人。男女比率・世代比率は未公開。

比ゆ的表現にはその言葉が生まれた由来が知られてなかったり、その言葉を構成する単語が古いもので現在では馴染みがないものだった場合、本来指していた内容とは別の意味合いで解釈され、使われてしまう場合が少なくない。自然発生的に誤解釈の用法が広まる場合もあれば、著名人やメディアで誤用法が使われて、加速的に浸透していくこともある。

今件では5つの言葉を挙げ、本来の意味、そして本来の意味ではないが昨今間違って解釈されている意味の2つ(等)を用意し、どちらを使っているかを尋ねている。どの言葉でも「両方とも使う」「両方とも違う(=使わない)」の回答は少数で、どちらか一方と認識する人、そして1-2割程度で「分からない」とする人がいるのが分かる。

↑ どの意味で使っているか(個々の言葉)(択一、○は本来の意味)
↑ どの意味で使っているか(個々の言葉)(択一、○は本来の意味)

正しい用法の選択肢の回答率を緑で着色したが、その値が「間違った使い方」以上の言葉は「煮え湯を飲まされる」のみ。他の4つはすべて「間違った使い方」をしている人の方が多い。特に「にやける」は正用法が14.7%なのに対し、誤用法は76.5%もいる。ほとんどの人が誤用法で「にやける」という言葉を使っているのが分かる。むしろ今グラフを見て初めて、「この使い方って正しい用法・意味ではなかったのか」と驚く人も少なくあるまい。

インターネット界隈ではよく使われる「失笑」。これは本来「こらえ切れず吹き出してしまう」を意味するが、誤用法の「笑いも出ないくらい呆れる」の意味で使っている人は6割を超えている。

これらの言葉を正しく使っている人は、概して高齢者の方が多い。一番誤用法者率の高い「にやける」について、世代別に区分した結果が次のグラフ。

↑ 世代別「にやける」の回答傾向
↑ 世代別「にやける」の回答傾向

20歳未満の若年層がやや回答率が高いのが意外だが、学校で習ったばかりでまだ正しい用法を覚えているのかもしれない。そのイレギュラーさをのぞけば、若年層ほど誤用法者が多く、高齢層ほど正しい使い方をする人が増える。もっとも60歳以降でも2/3は間違った使い方をしており、ある意味誤用法の浸透ぶりがうかがえる。



これら誤用法が「普及している意味合い」として月日を重ね、「このようなとらえ方もある」と認知され、浸透するか否かはケースバイケース。また正しい言い回しでない場合、大本の意味・由来との整合性が薄れ、言葉が深い意味を持たない単なる「符丁」と化してしまう。それでなくとも誤用法をビジネスの場で切り出すと、大抵は恥をかくことになる。

改めて指摘されて初めて気が付く場合もあろうが、正しい意味を知る機会を得られれば、積極的に会得していくことをお勧めしたい。

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