出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(番外編:電子出版独自追加版)(最新)

2018/10/13 05:20

2018-1008先に掲載した【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】を皮切りに、日販による「出版物販売額の実態」最新版(2018年版)をベースに多方面からの切り口で、出版業界の現状・出版物の販売動向を精査している。今回は一番初めに掲載した「販売額推移」に関して、電子出版を加味した試算によるグラフ生成と、状況の把握を行うことにする。

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「出版物販売額の実態」は従来ならば、いわゆる「電子書籍」、そして「電子雑誌」も合わせた「電子出版」(電子媒体)は数字には反映されていなかった。「インターネットルート」との項目はあるが、定義は「インターネット専業店を経由して販売された(紙媒体による)出版物推定販売額」。電子出版は該当しない(「出版物販売額の実態」出版元へ確認済み)。

一方で日本国内の電子出版そのものの動向だが、【雑誌も含めて市場規模2500億円超え…「電子書籍ビジネス調査報告書2018」発売】で解説している通り、インプレス総合研究所の推計結果によれば、2017年度では約2556億円との推定値が出ている(電子書籍が2241億円、電子雑誌が315億円)。

↑ 電子出版市場規模(確定分のみ、2014年度以降は電子書籍は機種別区分をせず一括、億円)(再録)
↑ 電子出版市場規模(確定分のみ、2014年度以降は電子書籍は機種別区分をせず一括、億円)(再録)

2014年度以降、電子出版の市場総額は大きく増加の一途をたどっている。これはスマートフォンやタブレット型端末の大幅な普及率向上、そしてその向上により受け手≒市場が拡大したことで国内における電子書籍の認知度・利用度が増加し、さらには出版側の電子書籍などの刊行(主に紙媒体誌の焼き直しだが)の増加など、多数要因による。

また「出版物販売額の実態」では状況の変化に合わせ、2016年版から電子出版(電子媒体の出版物。電子書籍、電子コミック、電子雑誌。学術ジャーナルは含まず)に関するデータの取り扱いも行うようになった。現時点では2013年度から2017年度分の値が確認できる。そこで2012年度分までは「電子書籍ビジネス調査報告書」の値を、2013年度分以降は「出版物販売額の実態」の値を用い、紙媒体の出版物販売額に上乗せし、いくつかのグラフの再計算を行うことにする。

まずは販売ルート別推定出版物販売額。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(電子出版追加版、億円)(2013-2017年度)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(電子出版追加版、億円)(2013-2017年度)

あくまでも金額ベースでの話だが、「電子出版」はすでに「その他取次」「コンビニ」「出版社直販」さらには「インターネット」すら超えて第2位の立ち位置にある。「電子出版」はほぼ同一ツールを使う点では「インターネット」と競合、あるいは相乗効果を生み出す点もあり、今後「インターネット」とともにさらに値を上乗せすることだろう。

続いてこれを比率グラフにしたもの。「電子出版」の立ち位置が分かりやすいように、項目の並びを一番右にしている。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(電子出版追加版、構成比)(2013-2017年度)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(電子出版追加版、構成比)(2013-2017年度)

金額はそれなりに大きいものの、シェアとしては「書店ルート」にははるかに及ばない。ただし「インターネット」同様、確実にそのシェアを伸ばしているのも事実。

最後は経年データによる積上げグラフ。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(電子出版追加版、億円)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(電子出版追加版、億円)

一番上、総額を示す赤い数字の直下にあるのが電子出版。総額が減る中でインターネット同様に増加傾向を示す数少ないルートであるとともに、全体に占める割合はそれほど大きいものではないのが改めて認識できる。まるで音楽業界におけるインターネット経由での楽曲販売額の立ち位置のようでもある。とはいえ確実に存在感を増しているのも事実ではある。



今件データは2012年度分までは「電子出版」とそれ以外のルートとの間で調査機関も方法も異なるため「精密な情報」には程遠く、参考値レベルのものでしかない。しかし2013年度分以降は「出版物販売額の実態」単独のもので、精度の高さは保証されている。今後は電子出版の動きも注視していきたい。

世間一般には電子出版の普及は紙媒体の出版物のシェアを奪い取るだけのようなイメージが強い。しかし例えば【マンガ図書館Z】【アルファポリス】のように、電子出版から紙媒体の出版物への呼び水となるアプローチを積極的に行うところも見受けられる。販売額といった実数値の上で、紙と電子の競合、そして相乗効果がどのような結果をもたらしているのか、今後も逐次確認をしていきたいところだ。


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(C)日販営業推進室出版流通学院「出版物販売額の実態2018」

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