出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(番外編:電子出版独自追加版)(2016年)(最新)

2016/11/03 05:43

先に掲載した【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】を皮切りに、日販による『出版物販売額の実態』最新版(2016年版)をベースに多方面からの切り口で、出版業界の現状・出版物の販売動向を精査している。今回は一番初めに掲載した「販売額推移」に関して、電子出版を加味した試算によるグラフ生成と、状況の把握を行うことにする。

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『出版物販売額の実態』は従来ならば、いわゆる「電子書籍」、そして「電子雑誌」も合わせた「電子出版」は数字には反映されていなかった。「インターネットルート」との項目はあるが、定義は「インターネット専業店を経由して販売された(紙媒体による)出版物推定販売額」。電子出版は該当しない(「出版物販売額の実態」出版元へ確認済み)。

一方で日本国内の電子出版そのものの動向だが、【雑誌も含めて市場規模1800億円超え…「電子書籍ビジネス調査報告書2016」発売】で解説している通り、インプレス総合研究所の推計結果によれば、2015年度では約1826億円との推定値が出ている(電子書籍が1584億円、電子雑誌が242億円)。

↑ 電子出版市場規模推移(確定分のみ)(億円)(-2015年度)(2015年度以降は電子書籍は機種別区分をせず一括)(再録)
↑ 電子出版市場規模推移(確定分のみ)(億円)(-2015年度)(2015年度以降は電子書籍は機種別区分をせず一括)(再録)

2014年度以降、総額は大きく増加の一途をたどっている。これはスマートフォンやタブレット型端末の大幅な普及率向上、そしてその向上により受け手≒市場が拡大したことで国内における電子書籍の認知度・利用度が増加し、さらには出版側の電子書籍などの刊行(主に紙媒体誌の焼き直しだが)の増加など、多数要因による。

また「出版物販売額の実態」では状況の変化に合わせ、2016年刊行分から電子出版物(電子媒体の出版物。電子書籍、電子コミック、電子雑誌。学術ジャーナルは含まず)に関するデータの取り扱いも行うようになった。現時点では2013年度から2015年度分の値が計上されている。そこで2012年度分までは「電子書籍ビジネス調査報告書」の値を、2013年度分以降は「出版物販売額の実態」の値を元に、紙媒体の出版物販売額に上乗せし、いくつかのグラフの再計算を行うことにする。

なおこれまでの記事で言及の通り、「出版物販売額の実態」では今年発行分から大規模な仕切り分け、再計算が行われているため、経年データは原則的に2006年度以降のものとなっている。

まずは販売ルート別推定出版物販売額。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2011-2015度年)(億円)(電子出版追加版)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2011-2015度年)(億円)(電子出版追加版)

あくまでも金額ベースでの話だが、「電子出版」はすでに「その他取次」さらには「インターネット」を超えて第4位の立ち位置にある(「出版社直販」はやや特異なルートであるため、それを除けば第3位)。ほぼ同一ツールを使う点では「インターネット」と競合、あるいは相乗効果を生み出す点もあり(しかも両者とも売り上げは伸びている)、今後両者の関係が気になる。

続いてこれを比率グラフにしたもの。「電子出版」の立ち位置が分かりやすいように、項目の並びを一番右にしてある。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2011-2015年度)(比率)(電子出版追加版)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2011-2015年度)(比率)(電子出版追加版)

金額はそれなりに大きいものの、シェアとしては少数派の領域。ただし「インターネット」同様、確実にそのシェアを伸ばしているのも事実。「インターネット」と「電子出版ルート」を合わせると、すでに「コンビニ」を抜いている。

最後は経年データによる積上げグラフ。前述の通りこちらは2006年度以降のものとなる。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(億円)(電子出版追加版)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(億円)(電子出版追加版)

一番上、直近年の2015年度では総額を示す赤い数字の直下にあるのが電子出版。総額が減る中でインターネット同様に増加傾向を示す数少ない項目であると共に、全体に占める割合は微細なのが改めて認識できる。まるで音楽業界におけるインターネット経由での楽曲販売額の立ち位置のようでもある。

一方、「インターネット」が間もなく単独で「コンビニ」を抜きそうな立ち位置であることが分かる。さすがに来年度は難しいだろうが、このままいけばあと数年で両者の順位は逆転しそうだ。あるいはそれより先に、電子出版が追い抜くかもしれない。



今件データは2012年度分までは組み合わせた両者で調査機関も方法も異なるため「精密な情報」には程遠く、参考値レベルのものでしかない。しかし2013年度分以降は「出版物販売額の実態」単独のもので、精度の高さは保証されている。今後は電子出版の動きも注視していきたい。

世間一般には電子出版の普及は紙媒体の出版物のシェアを奪い取るだけのようなイメージが強い。しかし例えば【マンガ図書館Z】【アルファポリス】のように、電子出版から紙媒体の出版物への呼び水となるアプローチを積極的に行うところも見受けられる。販売額といった実数値の上で、紙と電子の競合、そして相乗効果がどのような結果をもたらしているのか、今後も逐次確認をしていきたいところだ。


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※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店サポートチーム「出版物販売額の実態 2016」

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