出版社数は2907社で漸減中…出版社と売上高の関係(最新)

2021/12/07 02:59

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2021-1203先日発刊された日販による「出版物販売額の実態」最新版(2021年版)を基に、出版業界に関する動向をさまざまな視点から確認し、その状況の精査を行っている。今回は出版物を創生し市場に送り出す大元となる、出版社とその売上にスポットライトを当てて、現状の確認をする。「出版不況」と呼ばれて久しいが、直近ではどのような状況で、昔と比べていかなる変化を示しているのだろうか。

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最初は出版社総数と、それらの出版社全体の総売上高。なお各年の売上高は2015年分までは定価換算の総売上(出版物以外に印税や不動産収入、映像関係、玩具などその他諸々を含め)に、マージンを考慮し定数の0.6895を換算値として当てはめた結果によるもの。そして2016-2018年分は経済産業省の特定サービス産業実態調査からの引用となる。また2019年分以降は経済構造実態調査からの引用(特定サービス産業実態調査は2018年分で終了)。よって引用元を変えた前後の値の間では、厳密には連続性は無いことに注意してほしい。特に2018年分と2019年分との間では総売上高で大きな差異が生じてしまっているが、出版業界に特需なり突然の活況が生じたわけではない。

↑ 出版社数と総売上高
↑ 出版社数と総売上高

この19年間で総売上はほぼ半分に減少。出版社数も漸減しているが、それ以上のペースで売上が落ちているのが分かる。2019年で前年比において企業数も総売上高も増加しているのは上記の通り、引用元を変更しているため。

詳しくは後述するが出版社は(他業界同様に)かなり企業規模・売上が少数大手に偏っているため、さほど大きな意味はないのだが、一応参考までに1社あたりの平均売上高を算出すると、売上の減り具合があらためて認識できる。

↑ 出版社1社あたりの平均売上高(億円)
↑ 出版社1社あたりの平均売上高(億円)

ただしこの5年ほどにおいては、底を打ったかのような動きをしているのが興味深い。

より有意義なのは次のグラフ。総売上高と企業数それぞれについて、前年比をグラフ化したものだが、企業数推移(赤線)がマイナス1%から2%にとどまっているのに対し、総売上高の推移(青線)がそれを超えたマイナス値で動いているのが確認できる。「企業数が減っているのだから総売上高も減って当然」との説明はそれほど大きな意味を持たない。もっともこの数年では企業数そのものも大きく減っている、さらには総売上高と同じような動きをしているのは注目に値する。

なお2019年でイレギュラー的な動きをしているのは上記の通り引用元変更のためであり、出版業界に特需などが生じたわけではない。

↑ 出版社の売上高と企業数(前年比)
↑ 出版社の売上高と企業数(前年比)

要は全体的には企業数上での規模縮小以上のスピードで、総売上高の縮小が起きている次第である(ここ数年では逆に、企業数上での規模の縮小の方が大きな動きとなっているが)。

最後は出版社の売上高規模別に区切った上での、その企業数と出版社総売上高に対する構成比。寡占化がどこまで進んでいるのかを視認できる。

↑ 出版社年間売上高規模別出版社数と年間売上高構成比(2020年)
↑ 出版社年間売上高規模別出版社数と年間売上高構成比(2020年)

2020年においては計測対象の出版社は2907社。そのうち売上高が100億円以上の企業は全企業数の1.0%(29社)でしかないが、その1.0%の数の企業による売上高は総売上高の52.5%になる。10億円以上で区切れば企業数では7.4%だが、売上高では84.6%と4/5すら超える。売上高1億円未満の企業は企業数で70.3%とほぼ7割だが、それらの売上をすべて合わせても、総売上高の2.7%に過ぎない。

以前【出版業界の決算状況】でも触れた通り、売上高上位の企業の方がそれより下の企業と比べ、業績はよい傾向にある。スケールメリットを活かし、リスクを取ることができ、マルチメディアな展開も容易なので、売上を伸ばせる可能性が飛躍的に高まるからに他ならない。このメリットが有効である以上、今後も寡占化は進行するものと考えられる。寡占化には賛否両論があるものの、出版業界全体の動向を推し量れば、規模の拡大化によって難局を押し切るのも一つの方法論といえよう。


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(C)日販 営業推進室 出版流通学院「出版物販売額の実態2021」

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