出版社と売上高の関係をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/11/03 05:40

先日発行された日販による『出版物販売額の実態』最新版(2016年版)を基に、出版業界に関する動向をさまざまな視点から確認し、その状況の精査を行っている。今回は出版物を創生し市場に送り出すおおもととなる、出版社とその売上にスポットライトを当てて、現状の確認をする。「出版不況」と呼ばれて久しいが、直近ではどのような状況で、昔と比べていかなる変化を示しているのだろうか。

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まず最初は出版社総数と、それらの出版社全体の総売上高。なお各年の売上高は定価換算の総売上(出版物以外に印税や不動産収入、映像関係、玩具などその他諸々を含め)に、マージンを考慮し定数の0.6895を換算値として当てはめた結果によるもの。例えば2015年は1.79兆円とあるが、ベースとなる総売上額原値は2兆5993億6900万円、それに0.6895をかけて1兆7922億6500万円となる次第。

↑ 出版社数と総売上高推移
↑ 出版社数と総売上高推移

この15年間で売り上げは4割強も減少。出版社数も漸減しているが、それ以上のペースで売上が落ちているのが分かる。後述しているように出版社は(他業界同様に)かなり企業規模・売上が少数大手に偏っているため、さほど大きな意味はないのだが、一応参考までに1社あたりの平均売上高を算出すると、売上の減り具合があらためて認識できる。

↑ 1社当たりの平均売上(億円)
↑ 1社当たりの平均売上(億円)

より有意義なのは次のグラフ。売上高と企業数それぞれについて、前年比をグラフ化したものだが、企業数推移(赤線)がマイナス1%から2%に留まっているのに対し、売上高の推移(青線)がそれをはるかに超えたマイナス値で動いているのが確認できる。「企業数が減っているのだから売上高も減って当然」との説明はそれほど大きな意味を成さない。

↑ 売上高・企業数前年比推移
↑ 売上高・企業数前年比推移

要は全体的には企業数上での規模縮小以上のスピードで、総売上高の縮小が起きている次第である。

最後は出版社の売上順位別に見た、売上高占有比。寡占化がどこまで進んでいるのかを視認できる。

↑ 出版社売上順位別売上高占有比(2015年)(金額は億円)
↑ 出版社売上順位別売上高占有比(2015年)(金額は億円)

2015年においては計測対象の出版社は3489社。そのうち売上上位5社だけで売上の1/4超を占める。6位から50位までをさらに合わせると1兆円近くとなり、半分を超えてしまう。この類の統計でよく見られる「上位100社」の区分にすれば、1.17兆円・65.2%で2/3近く。つまり「企業数で上位2.9%の企業が、売上の65.2%を占める」計算になる。

以前【出版業界の決算状況をグラフ化してみる】でも触れた通り、売上上位の企業の方がそれより下の企業と比べ、業績は良い傾向にある。スケールメリットを活かし、リスクを取ることができ、マルチメディアな展開も容易であるので、売上を伸ばせる可能性が飛躍的に高まるからに他ならない。このメリットが有効である以上、今後も寡占化は進行するものと考えられる。寡占化には賛否両論があるものの、出版業界全体の動向を推し量れば、規模の拡大化によって難局を押し切るのも一つの方法論といえよう。


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※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店サポートチーム「出版物販売額の実態 2016」

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