出版社と売上高の関係をグラフ化してみる(最新)

2018/10/12 05:16

2018-1008先日発行された日販による「出版物販売額の実態」最新版(2018年版)を基に、出版業界に関する動向をさまざまな視点から確認し、その状況の精査を行っている。今回は出版物を創生し市場に送り出すおおもととなる、出版社とその売上にスポットライトを当てて、現状の確認をする。「出版不況」と呼ばれて久しいが、直近ではどのような状況で、昔と比べていかなる変化を示しているのだろうか。

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まず最初は出版社総数と、それらの出版社全体の総売上高。なお各年の売上高は2015年分までは定価換算の総売上(出版物以外に印税や不動産収入、映像関係、玩具などその他諸々を含め)に、マージンを考慮し定数の0.6895を換算値として当てはめた結果によるもの。そして2016年分以降は経済産業省の特定サービス産業実態調査からの引用となる。よって2015年分までと2016年分以降の値の間には、厳密には連続性は無いことに注意してほしい。

↑ 出版社数と総売上高
↑ 出版社数と総売上高

この16年間で総売上は5割強も減少。出版社数も漸減しているが、それ以上のペースで売上が落ちているのが分かる。後述しているように出版社は(他業界同様に)かなり企業規模・売上が少数大手に偏っているため、さほど大きな意味は無いのだが、一応参考までに1社あたりの平均売上高を算出すると、売上の減り具合があらためて認識できる。

↑ 出版社1社あたりの平均売上(億円)
↑ 出版社1社あたりの平均売上(億円)

より有意義なのは次のグラフ。売上高と企業数それぞれについて、前年比をグラフ化したものだが、企業数推移(赤線)がマイナス1%から2%に留まっているのに対し、売上高の推移(青線)がそれを超えたマイナス値で動いているのが確認できる。「企業数が減っているのだから売上高も減って当然」との説明はそれほど大きな意味を持たない。もっともこの1、2年では企業数そのものも大きく減っているのが気になるところ。

↑ 出版社の売上高と企業数(前年比)
↑ 出版社の売上高と企業数(前年比)

要は全体的には企業数上での規模縮小以上のスピードで、総売上高の縮小が起きている次第である。

最後は出版社の売上高規模別に区切りした上での、その企業数と出版社総売上高に対する構成比。寡占化がどこまで進んでいるのかを視認できる。

↑ 出版社年間売上高規模別出版社数と年間売上高構成比(2017年)
↑ 出版社年間売上高規模別出版社数と年間売上高構成比(2017年)

2017年においては計測対象の出版社は3182社。そのうち売上高が100億円以上の企業は全企業数の1.0%(31社)でしかないが、その1.0%の数の企業による売上高は総売上高の44.4%になる。10億円以上で区切れば企業数では8.2%だが、売上高では81.9%と4/5すら超える。売上高1億円未満の企業は企業数で66.6%とほぼ2/3だが、それらの売上をすべて合わせても、総売上高の4.0%に過ぎない。

以前【出版業界の決算状況をグラフ化してみる】でも触れた通り、売上上位の企業の方がそれより下の企業と比べ、業績はよい傾向にある。スケールメリットを活かし、リスクを取ることができ、マルチメディアな展開も容易なので、売上を伸ばせる可能性が飛躍的に高まるからに他ならない。このメリットが有効である以上、今後も寡占化は進行するものと考えられる。寡占化には賛否両論があるものの、出版業界全体の動向を推し量れば、規模の拡大化によって難局を押し切るのも一つの方法論といえよう。


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(C)日販営業推進室出版流通学院「出版物販売額の実態2018」

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