大きな変動無し、米国イリノイ・カリフォルニア両州も上位入り(国債デフォルト確率動向:2012年10月)

2012/10/15 12:00

2010年12月17日に掲載した記事で説明した通り、経済動向や安定性を推し量るのを目的とし、債権リスクを示す指針の一つCPDをベースとし、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国(ハイリスク国)を2010年12月以降、1か月単位で確認・精査をしている。今回は2012年10月分として、15日時点の数字についてグラフ化を試みることにした。

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国公債のデフォルト確率を意味するCPD(5年以内のデフォルト可能性)の細かい定義、データの取得場所、各種概念は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で解説しているので、そちらで確認してほしい。

今件のグラフは日本時間で2012年10月15日、つまり(日本時間で)本日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2012年10月15日時点)

【株式市場雑感(12/09/07)】でも多少触れているが、欧州中央銀行が財務危機対策・ユーロ防衛策の一環として、国債の無制限買取について合意したことを受けて、EU諸国のCPDは一端大きく後退した。しかしその後も各国の足並みは「揃った」とはお世辞にも表現しがたく、また状況改善のためにより一層のEU諸国内における融合(具体的には共通予算による財務的な統合)の話も飛び出し、それぞれの国の思惑は混沌化しつつある。

実際、ギリシャのCPDこそ0.75ポイント下がったものの実質的には「ほぼ確実」な状況に違いは無く、アルゼンチンやアメリカ各州のようなEUから距離を置いている地域・国はともかく、その他のEU関連国、EUと関係の深い国、そして新興国では軒並みリスクを上乗せしてしまっている。スペインは前回上位10位圏にはなかったが、前回の10位レバノンが26.14%だったことからそれより下であることは確実で、今回は少なくとも1ポイント前後以上の上乗せがされたものと考えられる。

他方、前回比で下がったとはいえ、アメリカの州(公債)が2つも入っているのが目に留まる。同国の州レベルでの財務状態の厳しさが、改めて思い知らされる。前回指摘したように、両州は財政上の負債額が極めて大きく、今リストに顔を連ねるのも当然といえる。また今月に入ってから【カリフォルニア州自治体、格下げ方向で見直し-ムーディーズ (ロイター)】などで報じられているように、さらなる格下げの動きがあり、今後両州のCPDがさらに上昇する可能性は否定できない。

EU諸国の債務問題に対して、各国の合意や支援組織から援助対象となる国に対する支援条件、要請政策は概して緊縮財政の類。「無駄遣いに過ぎるから負債が増える」という考えに基づいたものだが、各国市民からは反発も強く、選挙絡みで債務問題解決の動きに大きな影響を与えている。



↑ EU全体の指導による緊縮財政に反対するデモのニュース公式映像。
↑ EU全体の指導による緊縮財政に反対するデモのニュース公式映像。上はスペイン、下はポルトガル。【直接リンクはこちら】

なお日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版【2012年第2四半期リスクレポート(CMA Global Sovereign Debt Credit Risk Report、PDF)】で確認できる。それによると、CPDは7.5%で順位は9位。前四半期の2012年第1四半期は8.0%・16位だったことから、随分と状況は改善されている(今四半期から格付けは非公開となった)。

日本の企業動向、株式市場にも大きな影響を与えている、そしてCPDの動きにも(間接的に)影響を及ぼしている(ユーロ安はユーロ圏の財政が不安定化しているのが最大要因。そして財政不安状態はそのままCPDの上昇につながる)ユーロ動向だが、ここしばらくは先月記した通り欧州中央銀行の動きを受け、大きくユーロが戻し、1ユーロ100円超のラインを行き来している。一時は105円、そして今年3月近辺の110円に手が届く気配すらあったが、あえなくエネルギー切れ。100円を底値に狭いレンジでの値動きを続けている。

↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2012年10月12日)
↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2012年10月12日)

大きく経済・政治動向が動くこのような状況だからこそ、失業率の動向と合わせ、債券リスクに絡むCPDの値は、各国の経済情勢をかいま見る有効な指標の一つとなりえる(特にEU諸国)。今後も失業率同様、CPD値には注意深く監視の目を向けたいところだ。


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