コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(番外編)(2016年)(最新)

2016/11/03 05:37

先に【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)】【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(後編:全体編)】で、日販による『出版物販売額の実態』最新版(2016年版)のデータを基に、コンビニ(コンビニエンスストア)における出版物の販売動向の精査を行った。今回はそれらの記事に続く番外編的なポジションとして、コンビニ毎の経年推移を確認し、状況の変化を推し量ることにした。

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先程の「コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)」で解説した通り、コンビニにおける出版物取扱額は概して漸減傾向にある。

↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上+α、2014年-2015年、億円)(再録)
↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上+α、2014年-2015年、億円)(再録)

この額と、コンビニ全体の売上そのものに対する比率の推移を、もう少しチェック範囲を広げて確認するのが今記事の主旨。とはいえ、値が記録されている『出版物販売額の実態』はまだ当方(不破)の手元に7冊(=7年分)しかないため、都合7年分、つまり2009年-2015年の推移となる。

まずは金額そのものの変化。上記グラフに過去のデータを足した形となる。スリーエフは、2012年以降は総売上高が1000億円を切ったため、従来ルールなら除外されるのだが、先行記事の通り特殊事情のため、今件では取り入れている。

↑ 主要コンビニの出版物取扱額(億円)
↑ 主要コンビニの出版物取扱額(億円)

額面の大小はあれど、多くのコンビニで継続的な減少を示している。一見すると特にローソンの減り方が顕著だったが、この減少ぶりで危機感を覚えたのか、2012-2013年にかけて下げ幅を縮小し、2014年には前年比でプラスに転じていた。しかし2015年には再び減退の動きに戻している。スリーエフも似たようなもので、2014年に大きく前年比プラスを計上したが2015年では再びマイナスに。

そこで2009年から2015年に至る減少率を計算し、その実情を確認したのが次のグラフ。

↑ 主要コンビニの出版物取扱額変移(2009年から2015年)
↑ 主要コンビニの出版物取扱額変移(2009年から2015年)

セブン-イレブン、ファミリーマート、ミニストップ、デイリーヤマザキ、NEWDAYSは2割から3割の減退に留まっているが、ローソンやサークルKサンクス、セイコーマートは4割から5割、そしてスリーエフでは実に6割超えの減少幅を計上している。下げ幅は大きく2グループ(スリーエフは突出して単独)に区分されることになるが、単なる偶然とは考えにくく、各コンビニにおける出版物に対する戦略の違いが値として出ているものと考えられる。他コンビニと比べて出版物の需要がひときわ高いNEWDAYSと同程度の下げ幅に留まっているセブン-イレブンなどのグループは、むしろ健闘していると見ても良い。

他方、大手三大コンビニの中ではもっとも大きな下げ幅を見せたローソンだが、【ローソンで「書籍」販売拡大へ…千店舗に専用商品棚を導入】でも伝えたように書籍の販売への本腰化をはじめたり、一時期積極的に撤去・面積の縮小を図っていた雑誌販売コーナーへの対応に変化を見せ始めるなど、方策の転換と思える動きを示している。来年はまた変わった数字が見られるかもしれない。

一方で各コンビニの売上高全体に占める出版物売上高比率を計算すると、違った側面が見えてくる。

↑ 主要コンビニの売上高全体に占める出版物取扱い額比率推移
↑ 主要コンビニの売上高全体に占める出版物取扱い額比率推移

どのコンビニでもおおよそ取扱額比率が減少している。元々低いセイコーマートはともかく、その他大手のコンビニでは、額面の減少ぶりと比較すると、コンビニ間の差異があまりないように見える。

デイリーヤマザキは2013年に増加へと転じ、その後も横ばいにあるが、これは売上額全体こそ減少したものの、店舗数が減退傾向にあるのが主要因。

またローソンの一時的な方針転換とも思える動き、スリーエフのダイナミックな上下感も、他のコンビニと比べ、印象深いものがある(スリーエフの2013年における急減は各種資料をたどったものの、明確な理由は不明。一度出版物からの距離を置いた上で、その影響の足し引きを勘案し、再びかじ取りを出版物に向き合う形に変えたのだろう)。

そこで比率の減退状況を算出したのが次のグラフ。元の値が小数点1ケタまでしかなく、その値で計算しているため、多少のぶれが懸念されるが、概算的な動きは把握できる。%ポイントの減り様ではなく、変化の割合であることに注意。

↑ 主要コンビニの売上高全体に占める出版物取扱い額比率変移(2009年から2015年)
↑ 主要コンビニの売上高全体に占める出版物取扱い額比率変移(2009年から2015年)

デイリーヤマザキの減退率の小ささの理由は上記の通りだが、それをのぞけば主要コンビニではいずれもこの7年間で、3割から6割近くの減退を計上している。売上額がそのまま専有面積と比例するわけではないが、少なくともコンビニの売上額における存在感では、この7年間で出版物の影響力は3割から6割近くも減ったことになる。

見方を変えれば「コンビニの出版物販売動向は、そのコンビニの売上高全体に占める比率の縮小率で見れば、どのコンビニも大きな違いは無く、一様に減りつつある」(一部例外あり)と判断して良い。コンビニにおける印刷物の額面上でのシェア縮小は、特定コンビニにおける現象では無く、コンビニ全体の流れであるとの認識で間違いない。

なお【「セブン-イレブンは街の本屋」コンビニが本屋さんを名乗る時代】にもある通り、2014年からセブン-イレブンでは地域密着性のさらなる向上施策の一環として、出版物の取扱に注力をし始めている。サービスは今なお継続中だが前述記事の通り、目立った成果が出たとの報告は確認できない。ただ一時期のような極端な出版物の撤去・配置場所の縮小の動きは止まり、昨今ではむしろ戻しを見せる気配も感じられる。多様な理由に伴い個人事業などによる小規模書店の閉鎖が相次ぐ中、今後注意を払うべき動きには違いない。



コンビニから出版物が完全に無くなることは考えにくい。展示物として、そして立ち読み客の存在による外部からの見た目による集客効果は、出版物ならではのもの。一方でコンビニの立ち位置の変化(今まで以上の多様化、地域密着型店舗化、マルチメディア化)を見ると、今後さらに出版物の取扱額が減少する可能性は否定できない。メリットの「集客効果」ですら、最近ではコンビニ内で販売されるスタンドコーヒーと、それをたしなむためのイートインコーナーに代替されるケースも増えている。

「時代の流れ、変化」との言葉で片付けるには少々もの悲しい部分もあるが、コンビニにおける出版物の取り扱いの縮小は、事実として受け止めねばなるまい。それゆえに、昨今の一部コンビニにおける出版物の巻き返し的な動きには期待したいところでもある。


■関連記事:
【コンビニの商品種類別売上の変化をグラフ化してみる】
【コンビニコーヒーのリピート率8割超え】
【たばこ・雑誌からコーヒー・カードへ…今年の一年のコンビニ動向を振り返ってみる(2013年)】


※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店サポートチーム「出版物販売額の実態 2016」

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