コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2016年)(最新)

2016/11/03 05:32

店舗数は増加の一途を続け、取扱商品・サービスの領域も日々拡大し、ますます日常生活に深く浸透しつつあるコンビニ(コンビニエンスストア)。一方、かつてはそのコンビニで客引きの重要商品であった雑誌をはじめとする出版物も、その立ち位置を少しずつ変えつつある。今回はコンビニ大手各社それぞれにおける出版物の販売動向を、【出版物の種類別売上の変化をグラフ化してみる(前年比)】でも用いた、日販による『出版物販売額の実態』最新版(2016年版)のデータをベースとして精査を行うことにした。

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コンビニ四天王の圧倒的な売上


今資料には30位までのコンビニ各社の直近データが一堂に会され、記述されている。これを元にまずは年間売上1000億円以上のコンビニ8社のグラフを生成し、現状を確認精査する。

↑ コンビニ売上高(2015年、1000億円以上)
↑ コンビニ売上高(2015年、売上1000億円以上)

コンビニの売上額上位4社を評した表現「四天王」(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス)に偽りはないことがあらためて確認できる。もっともさらに良く見るとセブンイレブンが群を抜いており、ローソンとファミリーマートが競り合い、サークルKサンクスがそれらの後を追う形。この図式も数年来お馴染みのもの。

一方、2年前まで精査対象外だった、JR東日本関連のコンビニ「NEWDAYS」が2014年分に続き今回年となる2015年分でも1000億円のラインを突破し、グラフ表記の上で該当することとなった。他方スリーエフは前年に続き、わずかに手が届かない状態。

また先日各方面で伝えられ、該当店舗でも記念キャンペーンが展開されたことで記憶している人も多いと思うが、2016年9月1日付でファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合を果たしている。今後逐次サークルKやサンクスはファミリーマートに転換されることになる(一部は閉店、あるいは移転)。来年分の記事ではサークルKサンクスの分がほぼファミリーマートに上乗せされることとなり、順位にも変動が生じることだろう。

それでは各コンビニにおける出版物売上高(全店舗総額)を計算の上、グラフ化する。店舗数も多く全体売上も段違いなセブンイレブンがトップであることに変わりは無い。今年も去年分データを(グラフ上のみ)併記し、変移も確認できるようにした。なお直上のグラフと比較しやすいよう、あえてコンビニの名前順は同じにしてある。とはいえ、結局のところ売上高の順位と変わらないのだが。ただし今回は特別に、次点のスリーエフも含めたグラフとしている。

↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上+α、2014年-2015年、億円)
↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上+α、2014年-2015年、億円)

「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」「サークルKサンクス」の「四天王」がそれより下位のコンビニと比べると、売上高で大きく競り勝っていることに違いは無い。順位も同じ。これは後述するように、NEWDAYSをのぞけば1店舗あたりの売上に大きな違いは無く、店舗数の差異がそのまま大きく反映されているからに他ならない。

そのNEWDAYSだが総売り上げ順位と比べ、出版物売上では順位を違えるほどに大きな値を示しているのが目に留まる。セイコーマートを抜く売り上げを計上している。これはエキナカ・駅周辺に店を構える同コンビニの特性によるもので、鉄道利用者における時間潰しのツールとして、雑誌の売れ行きが普通のコンビニと比較すれば堅調であるからに他ならない。

1店舗当たりの売上を見ると


店舗あたりの売上について、単純に「出版物販売額」を「店舗数」で割り、1店舗あたりの年間出版物売上額を算出し、グラフにしたのが次の図。並びは2015年時点での店舗単位の売上高順に入れ替えてある。上記で触れた通り、鉄道利用者の雑誌購入機会を大きく取り込んでいるNEWDAYSが抜きん出た値を示している。

↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上+α、2014年-2015年、万円)
↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上+α、2014年-2015年、万円)

しかしながらそのNEWDAYSですら前年比ではマイナス。今回取り上げたコンビニではすべてが前年比でマイナスを計上している。冒頭でも触れているが、昨今ではコンビニにおける出版物の立ち位置も変わり、ウエイトが随分と軽いものとなっている。陳腐な表現だが「コンビニの出版物離れ」、あるいは「コンビニ客の出版物離れ」は確実に進んでいる。2016年に入ってからは一部復権の動き(週刊販売ベースの一般雑誌を撤去したコンビニが、再び雑誌を導入する)も現場では見られるが、2015年の時点では大規模な印刷物の低迷、後退が生じていたのが把握できる。

前回年分となる2014年では、イレギュラー的な動きとしてスリーエフが大きな上昇を計上していた。これは同社の各種IR資料によると、具体的かつ明確な方針として「BOOK強化店舗の創生・拡大」が挙げられており、その成果が数字となって表れたものだった。

スリーエフの株主通信から・本の販売店舗拡大の言及具体的な店舗に関するレポートは【コンビニなのに、本の品ぞろえ充実しすぎ!? スリーエフに「書店化」の動き】などで見ることができるが、スリーエフでは個人営業の小型書店並の品揃えを示す本のコーナーを呈する店舗を作り、その数を増やしていた。雑誌だけでなく新刊、文庫本、コミックなど、大よその種類はカバー。そしてIR上の報告書や株主向けのレポートでも「売上向上効果が検証された青果強化店舗やBOOK強化店舗の拡大」「品揃えを拡充した本の販売店舗を拡大」とあり、本への注力強化によって本自身だけでなく、来客数や客単価、売上にもプラスの影響が認められ、今後もこの施策を継続・強化していくと伝えていた。

しかしながら2015年においては、その施策による成果も足踏み、むしろ後退する結果に終わってしまっている。決算短信から確認すると2015年2月期では本・サービスの売り上げは前年比でマイナス15.7%、2016年ではマイナス6.0%と低迷してしまっている。最近の株主通信では出版物の専用コーナーに関わる特記も消えており、思惑通りの効果は得られなかったようだ。

さて前年比を試算したのが次のグラフ。説明の通り、前年の反動を受けてスリーエフがイレギュラーともいえる下げ率を示してしまっている。しかし他社もマイナスには違いなく、NEWDAYSとデイリーヤマザキ以外はすべて前年比で1割以上の減退を計上している。コンビニにおける出版物の売り上げ状況が、厳しい状態にあることを改めて実感させる。

↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上+α、2015年、前年比)
↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上+α、2015年、前年比)

特にセブンイレブンは【「セブン-イレブンは街の本屋」コンビニが本屋さんを名乗る時代】などにもある通り、積極的な印刷物の取扱をアピールしている。にも関わらず店舗当たりの売上高は1割以上の減少。「街の本屋さん」のビジネスの実情を知りたいところではあるが、今件資料からは確認をすることはかなわない(セブン&アイ ホールディングスの各種IR資料からも動向は分からない)。

ドーナツなどの間食向けカウンター商品を食する場所として、イートインコーナーを続々と新設しているが、その場所の確保のために雑誌・書籍コーナーを縮小する事例が相次いでおり、これが影響した可能性は否定できない。



純粋なコンビニで、との意味でトップに立つセブンイレブンの出版物売上高は年間367万円。つまり1日あたり1万円強になる。同じくセブンイレブンの売上総額から1店舗当たりの金額を計算すると約2億3100万円。一日約63.3万円。出版物が占める比率は約1.59%。少ないか多いかは微妙なところだが、これについては後編で精査していくことにしよう。


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※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店サポートチーム「出版物販売額の実態 2016」

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