1990年には7万7725円も。消費者物価を考慮しても今は1979年比で5割強…40年あまりにわたるサラリーマンのこづかい推移(最新)

2023/08/10 02:36

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2023-0802【前年比1915円増の4万557円…2023年のサラリーマンこづかい事情(最新)】などにある通り、SBI新生銀行は2023年6月29日付でサラリーマンのこづかい事情などを解説する定点観測調査報告書「サラリーマンのお小遣い調査」の最新版を発表した。一方同社では2012年に同調査の長期間にわたる動向が確認可能な白書を公開しており、昔からの調査結果を知ることができる。そこで今回はそれらの値を用い、長期的な視野で見たサラリーマンのこづかいの推移を精査していくことにする(【男性会社員のお小遣い額は前年比微増の40557円、女性会社員も増加の35001円 「2023年会社員のお小遣い調査」結果について】)。

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1979年当時の水準には届かないこづかい


次に示すのは、「サラリーマンのお小遣い調査」で公開されている限りのサラリーマン(男性会社員)における月額のこづかい推移。さらには公開値としてはもっとも古い1979年のこづかい額を基準値の1.00とし、その額と比較した指標としての推移もグラフ化した。グラフの形状は同じになるが、変移の観点では後者の方が分かりやすい。

↑ サラリーマン平均こづかい額(月額、円)
↑ サラリーマン平均こづかい額(月額、円)

↑ サラリーマン平均こづかい額(1979年の額を1.00とした場合、月額分)
↑ サラリーマン平均こづかい額(1979年の額を1.00とした場合、月額分)

最高値は1990年の7万7725円。1979年比で6割強のプラス。一方最低額は1982年の3万4100円。

30年間の推移を記した過去発行の白書では、サラリーマンの平均こづかい額の動向について

・2001年までは収入と相関。

・前年の日経平均株価に相関。

・2000年以降は消費者物価指数に相関。

との傾向分析を行っている。今世紀に入ってから収入との相関関係が見られなくなったのは、こづかいが収入の減収幅よりも大きな下げ幅を示しているからとのこと。また数年前まではデフレが継続していたので、こづかいが減額されてもかろうじて耐えられていたとの言及もある。

もっとも直近の2023年の報告書に関する分析記事でも触れている通り、こづかいが足りなくなった時の対応方法として「我慢する」との回答値が一番高い状況が続いている(【サラリーマンのこづかい防衛作戦】)。

↑ サラリーマンのこづかい不足の際のねん出方法(複数回答、注目項目)(再録)
↑ サラリーマンのこづかい不足の際のねん出方法(複数回答、注目項目)(再録)

価値観が変わり「使わずに我慢」が当たり前となり、こづかい額にあまり影響されなくなった可能性もあるが、サラリーマンの金銭に関する精神面で留意する必要があるのは否定できまい。

消費者物価の変動を考慮してみる


以上は単純な金額ベースでの比較。そこで今度は実質購買力の変化を見るため、消費者物価指数を考慮に入れる。【1950年と比べて8.91倍…過去70年あまりにわたる消費者物価の推移(最新)】で用いた値をベースとし、1979年の数値を基準に、各年のこづかい額を実質購買力で修正する。例えばこづかい額が同じ金額の1万円だったとしても、1979年から2023年の間に物価が2倍に跳ね上がっていれば、実質的な2023年のこづかいの購買力は(1979年ベースで)5000円分となる。

20世紀末以降は消費者物価指数の動きに大きな変動は無い。それでも1979年の値と比べると色々な流れが見えてくる。

↑ サラリーマン平均こづかい額(1979年の額を1.00とした場合、消費者物価指数考慮、月額分)
↑ サラリーマン平均こづかい額(1979年の額を1.00とした場合、消費者物価指数考慮、月額分)

額面ベースでは1979年の6割強増しだった1990年も、実は消費者物価指数の上昇に伴うものであり、実質的には3割足らずの増加でしかなかったことが分かる。それとともに今世紀に入ってからはしばしば、金額ベースでは最低額だった1982年をさらに下回る実質購買力でしかない値をつけていることも把握できる。「デフレが継続しているのでこづかいが少なくなっても何とかなっている」のは事実だが、元々の実質購買力が低いため、その下げ幅が小さい程度の慰めにしかならない。

さらに昨今ではひとりひとりが痛いほど実体験している通り、こづかいの内訳として飲み代や昼食代以外に、携帯電話代の存在が無視できないもの、圧迫感を増すものとなりつつある。自らのこづかいに関してサラリーマンは、より一層の工夫が求められそうだ。


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