出版物の種類別売上の変化をグラフ化してみる(前年比)(最新)
2020/11/19 05:28


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出版物の分類別、売上高の前年比を記したのが次のグラフ。前年2018年分(今件では年度算出ではなく年算出、1月から12月の集計であることに注意)と比較するとプラス分類数は3つ。「コミック」「新書」「ビジネス」がプラスを示している。なお分類中「実用書」は「地図旅行」も含んでおり、「学参」は「辞典」も含み、「事典」「日記」「手帳」「その他」をまとめて「総記」と呼んでいる。

↑ 分類別売上高前年比(2019年)
プラスの分類のうち「コミック」は毎度お馴染みの「ONE PIECE」「進撃の巨人」がセールスで上位に連なっており、さらに2019年は「鬼滅の刃」が加わり、これらの名作が全体をけん引したものと考えられる。特に「鬼滅の刃」は人気が出たタイミングもあり、例えば【紀伊国屋書店の2019年ベストセラー】のコミック部門では、上位20位のうち14冊が「毀滅の刃」で占められている(「ONE PIECE」が4冊、「進撃の巨人」が2冊)。
「新書」は「一切なりゆき 樹木希林のことば」や「妻のトリセツ」「ケーキの切れない非行少年たち」のような話題作、さらにはコミックで人気を博した作品のノベライズ作品「鬼滅の刃 しあわせの花」「約束のネバーランド〜ママたちの追想曲〜」などが貢献したもよう。「新書」のフィクション部門ではジャンプJブックスがほぼ独占した形となっており(【日本出版販売の2019年新書フィクションベストセラー】)、人気コミックのノベライズが新書にもセールスの面で影響を与えているようだ。「ビジネス」は「メモの魔力」「FACTFULLNESS」などが上位に入っているのが確認できる。
「文芸」のマイナス10%をはじめ、「文庫」のマイナス7.0%、「総記」のマイナス5.4%など、マイナスの分類には大きな下げ幅を示しているものが多く、プラスの分類やマイナスでも下げ幅が小さい「児童書」「学参」などと対照的な動きとなっており、二極化のような雰囲気を見せているのが興味深い。
2014年分までの記事ならばこの後に、書店面積別の動向分析が入るのだが、「出版物販売額の実態」の2016年版(2015年分)からは関連値が非公開となってしまい、言及ができなくなってしまった。小規模、個人経営の書店の閉店が相次ぐ中で、状況把握には大いに役立つ内容だっただけに、残念でならない。
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