出版物の種類別売上の変化をグラフ化してみる(前年比)(最新)

2018/10/11 05:31

2018-1007昨今は「出版不況」「書籍不況」なる言葉も日常化し、紙媒体に関しては書籍に限らず新聞、そして手帳などの文房具ですら、ビジネスの上で厳しい状態が続いている。これもひとえにデジタル機器の普及に伴う、利用者側の購入・利用性向の変化によるもの。今回はその中から特に景況感の上で取り上げられることが多い出版物の売上状況について、主要種類別に関する動向を、日販の「出版物販売額の実態」最新版(2018年版)を基に確認していくことにする。

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出版物の分類別、売上高の前年比を記したのが次のグラフ。前年2016年分(今件では年度算出ではなく年算出、1月から12月の集計であることに注意)と比較するとプラス項目数は3つ。「新書」「学参」「文芸」がプラスを示している。なお項目中「実用書」は「旅行地図」も含んでおり、辞典(「学参」には集計されない)・事典・日記・手帳・その他をまとめて「総記」と呼んでいる。

↑ 分類別売上高前年比(2017年)
↑ 分類別売上高前年比(2017年)

2017年は前年比でわずかにマイナスとなったが、「児童書」は長年にわたりポジティブな値をはじき出している。そしてここ数年は「学参」(学習参考書)も随分と健闘している。2017年は実にプラス7.8%と、分類別では最大のプラス幅。理由は「出版物販売額の実態」には記載されていないが、ここ数年様々な切り口、特に若年層の趣味趣向に合わせる形で参考書を作り上げる手法が注目を集めており、ヒット作も続々登場していることから、その成果が数字となって表れたものと考えられる。2017年に限れば「ざんねんないきもの事典」や「うんこ漢字ドリル」などがけん引役となったものと考えられる。

「新書」「文芸」は該当年の流行で結果が大きく左右されやすい。2017年はプラスを計上したが、「九十歳。何がめでたい」「騎士団長殺し(1・2)」「蜜蜂と遠雷」などが貢献したのだろう。ただし「新書」は2016年における前年比がマイナス15.1%と大きな下げ幅を示していたため、その反動も多分にあるものと考えられる。

他の分類は不調。「児童書」「総記」の下げ幅は誤差領域に留まっているが、それ以外ではおおよそマイナス5%。ただし「コミック」はマイナス9.5%と抜きんでた下げ幅を見せている。日版の2017年のベストセラーランキングではコミック上位に「ONE PIECE」「進撃の巨人」「HUNTER×HUNTER」などいつものトップセラーがずらりと顔を見せているが、それらをもってしてなお1割近い下げを示しているのは、単に大ヒット作が登場しなかっただけでなく、読者の選択媒体が紙媒体から電子媒体にシフトしているからなのかもしれない。



2014年分までの記事ならばこの後に、書店面積別の動向分析が入るのだが、「出版物販売額の実態」の2016年版(2015年分)からは関連値が非公開となってしまい、言及ができなくなってしまった。小規模、個人経営の書店の閉店が相次ぐ中で、状況把握には大いに役立つ内容だっただけに、残念でならない。

他方、子供を対象とした出版物が堅調な動向に変わりは無い。「児童書」「学参」、さらには類推ではあるが「総記」もまた、子供向け出版物のビッグウェーブに乗った感はある。


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(C)日販営業推進室出版流通学院「出版物販売額の実態2018」

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