出版物の種類別売上の変化をグラフ化してみる(前年比)(2016年)(最新)

2016/11/03 05:27

昨今は「出版不況」「書籍不況」なる言葉も日常化し、紙媒体に関しては書籍に限らず新聞、そして手帳などの文房具ですら、厳しい状態が続いている。これもひとえにデジタル機器の普及に伴う、利用者側の購入・利用性向の変化によるもの。今回はその中から特に景況感の上で取り上げられることが多い出版物の売上状況について、主要種類別に関する動向を、日販の『出版物販売額の実態』最新版(2016年版)を基に確認していくことにする。

スポンサードリンク


出版物の分類別、売上高の前年比を記したのが次のグラフ。前年2014年分(今件では年度算出ではなく年算出、1月から12月の集計であることに注意)と比較するとプラス項目数は5つ。「児童書」「学参」「文芸」「専門」「総記」がプラスを示している。前年ではプラス項目が2つのみだったことと比較すれば、随分と健闘したことになる。なお項目中「実用書」は「旅行地図」も含んでおり、辞典(「学参」には集計されない)・事典・日記・手帳・その他をまとめて「総記」と呼んでいる。

↑ 分類別売上高前年比(2015年)
↑ 分類別売上高前年比(2015年)

「児童書」がポジティブな状態なのは毎年複数の記事で解説しているが、今回は「学参」(学習参考書)も随分と健闘している。項目別前年比では一番の伸び率であるプラス4.1%。理由は「出版物販売額の実態」には記載されていないが、ここ数年様々な切り口、特に若年層の趣味趣向に合わせる形で参考書を作り上げる手法が注目を集めており、ヒット作も続々登場していることから、その成果が数字となって表れたものと考えられる。今年に入ってからも【ボカロのPV付き参考書が大ヒットしているとの話】で紹介したように、「ボカロP」(歌声合成ソフト「VOCALOID」を使って楽曲を作るクリエイター)が作詞作曲した学習用の歌を収録した歴史や理科の参考書が展開され、大ヒットを生み出していることから、「流れ」をつかんだ感はある。

「文芸」「専門」もプラスだが、こちらはどちらかといえば前年の大幅な下げの反動によるもの。特に「文芸」は前年で10%台の下げ幅を記録しており、そのリバウンド以上の評価は難しい。

他方「雑誌」「コミック」「文庫」などの大幅な下げ幅はイメージ通り。特に「文庫」のマイナス7.8%の下げ幅は、多分にヒット作の有無に左右されるとはいえ、厳しいものがある(前年もマイナスであり、反動による下げでもない)。



昨年までの記事ならばこの後、書店面積別の動向分析が入るのだが、『出版物販売額の実態』最新版(2016年版)からは関連値が非公開となってしまい、言及ができなくなってしまった。小規模、個人経営の書店の閉店が相次ぐ中で、状況把握には大いに役立つ内容だっただけに、残念でならない。

他方、子供を対象とした出版物が堅調な動向に変わりは無く、「児童書」だけでなく「学参」、さらには推定の域を出ていないが「総記」もまた、同様の堅調な波に乗った感はある。

2016年は映画が大ヒットしたことに連動する形で原作も大いにセールスを伸ばしている「君の名は。」をはじめ、複数のヒット作が世間を騒がせている。次年ではさらなる多くの分類で、前年比プラスの値を計上できるよう願いたいものだ。


■関連記事:
【ローソンで「書籍」販売拡大へ…千店舗に専用商品棚を導入】
【書籍をどこで買う? トップは大型書店、そしてネット書店】
【50年余りに渡る書籍のジャンル別出版点数動向をグラフ化してみる】
【「セブン-イレブンは街の本屋」コンビニが本屋さんを名乗る時代】


※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店サポートチーム「出版物販売額の実態 2016」

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー