駅売店などの出版物販売動向をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/11/03 05:19

電車内での時間潰しの主役が雑誌や書籍などの出版物から、携帯音楽端末やスマートフォンなどの携帯電話に代わりつつあるものの、現在でもなお駅売店で週刊誌をはじめとした雑誌、そして新たに発売した文庫を購入する機会は少なくない。そこで今回は、駅売店とスタンドの出版物の販売状況について、日販の『出版物販売額の実態』最新版(2016年版)及び前年版(2015年版)を元に状況を確認すると共に、その変化を精査していくことにした。

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まずは駅売店とスタンドのみを抽出した、販売ルート別推定出版物販売額……としたいところだが、先行記事にて説明の通り、2016年版(2015年度データが直近分)より「駅売店」の単独区分は無くなり、大学生協やスーパー・ドラッグストアなどのスタンド店、二次卸などを経由した販売額を合わせ「その他取次経由ルート」で統括されてしまっている。よって「駅売店」の単独データは2014年度分までで、しかも直近分の2015年度分とは連続性が無い。

また各記事でも言及の通り、昨今では駅売店の少なからずが鉄道会社と大手コンビニチェーン店との提携に伴いコンビニ化、あるいは共同経営の形で疑似コンビニ化を果たしており、この類の店舗経由の出版物販売額はコンビニルートでの計上となる。

よって、鉄道駅構内・施設における印刷物の販売動向を、特定項目の状況確認で精査することは不可能。そこで、2015年版における2014年度までの駅販売店・スタンドの動向と、2016年版などをもとにしたコンビニ経由の販売動向を合わせグラフ化を行い、大まかな動きを見ていくことにする。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(駅売店・スタンドのみ、億円)(-2014年度)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(駅売店・スタンドのみ、億円)(-2014年度)

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(コンビニ限定)(億円)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(コンビニ限定)(億円)

他ルートも交じっている、そしてコンビニでは多分に通常立地店舗のが占めているため、多分に推定動向しか確認できないが、駅売店の下落動向は継続していると容易に想像できるデータとなっている。コンビニ化した売店ではなく、従来型の駅売店(KIOSKなど。鉄道弘済会などの二次卸で供給されている売店)に限定すれば、売り上げはさらに加速度的な落ち方を見せているだろう(何しろ店舗数そのものも減退しているのだから)。無論他にも先行記事で解説の通り、駅売店における鉄道利用客による購入機会の減退、そして売店そのものの閉鎖・営業時間の短縮などが影響しているのは言うまでもない。

駅売店の場合は店員のなり手が少なく(レジが無いため在庫管理が不十分との指摘からレジを導入すると共に、ベテランの正社員店員をパートに切り替えたところ、パート店員の質が安定せずに客をさばききれず売上が減退、そのためセルフレジの導入を促進しているとの話もある。【参考:キヨスク180店休業中 ベテラン店員去り人手不足】参照のこと)、一方で鉄道利用客数に大きな変化は無い。それどころか今世紀に入ってからは一時下落に転じたものの大よそ増加の動き、ここ数年では堅調な伸びを示している。利用スタイルが同一とは限らないが、単純に見れば需要は増加しつつある、少なくとも機会は増えていると見ても良い。需給のアンバランス化が拡大しているともいえる。

↑ 鉄・軌道旅客数量(のべ、億人。国土交通省・鉄道輸送統計調査から作成)
↑ 鉄・軌道旅客数量(のべ、億人。国土交通省・鉄道輸送統計調査から作成)

この事態を打開するため、すでに上記で言及の通り、鉄道会社とコンビニ各社が提携を結び、駅構内に独自のコンビニを展開する事例も続々見受けられるようになった。【近鉄の駅ナカ売店など、ファミリーマートに転換へ】で紹介した「TOMONY」が良い例。また昨今では提携の上で独自ブランドでは無く、コンビニブランドのままで駅構内への売店として展開が行われるケースも珍しくなくなった。

店舗数の増大によるスケールメリット戦略を積極化するコンビニ側の需要、そして鉄道会社側も売店運営のわずらわしさから解放されると共に、相応の利益を確保しながら鉄道利用客へのサービスも維持できることから、双方共にメリットが生じる形でのスタイルとして、積極的な動きが各鉄道会社で見受けられる。「駅売店の販売額減退に対して早急な手を打つべき事態」への回答が、まさにコンビニへのシフトなのだろう。



全体額の減退はともかく、個々の駅売店での販売額減少の最大の原因は、冒頭でも触れた通り電車内での時間の過ごし方が大きく変化したのが主要因。かつては電車内での時間を有意義に、少なくとも暇なまま過ごすことの無いよう、駅売店で雑誌などを購入したものだが、最近では自前の携帯電話、特にスマートフォンでソーシャルメディアへアクセス、ゲームを楽しむ、ニュースを確認するなど、多種多様の有意義な時間消費ができるため、駅売店での出版物購入の必要性が低下している。

上記で挙げた運営戦略上のミスも小さからぬ要因だが、仮にその判断ミスが無くとも、電車利用者の行動性向の変化は生じており、遅かれ早かれ需要と供給のバランスは崩れたに違いない。そして駅売店数は減り、販売機会が減ることでさらに販売額は減少していく。コンビニに代替されることで受け皿は維持されているが、需要そのものの変化までは左右できない。コンビニそのものの出版物販売額の減退動向を見るに、実情は容易に想像できる。

時代の流れとはいえ、少々もの悲しいところがあるのも否めない。


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※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店サポートチーム「出版物販売額の実態2015」「出版物販売額の実態2016」

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