EU失業率を若年層と中堅層以降で比較化(2012年8月分)

2012/10/07 12:00

先日【若年層の失業率、スペイン52.9%・ギリシャ55.4%、止まらぬ悪化…ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる(2012年8月分)】でヨーロッパ諸国の失業率動向を確認したが、中でも若年層の失業率の高さには注目に値する。成人全体の失業率(自身が高い国もあるが)の何倍にもあたる国も珍しくはない。「若年層より年上の失業率は、実はさほど高くなく、若年層だけが苦境に追いやられているので、全体として高失業率に見えるのでは?」と考えた人もいるだろう。そこで今回は直近のデータを元に、若年層(15歳-25歳未満)と、それ以上(25歳-74歳)の失業率を比べてみることにした。

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データの取得元は月次更新記事「ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる」と同じ、【EU統計局(Eurostat)】。ここから直近の2012年8月分について、各国の15歳-24歳失業率と、恐らく一連の記事では本格的な数字抽出は今回が初めてとなる25歳-24歳失業率の値を取り出し、グラフ化する。まずは「15歳-24歳失業率」だが、これは先の記事にも記述されている値そのままなので、グラフも流用。

↑ 2012年8月時点での25歳未満の失業率(季節調整済)(8月データが無い国は直近分)
↑ 2012年8月時点での25歳未満の失業率(季節調整済)(8月データが無い国は直近分)(再録)

続いて25歳-74歳の失業率。昨今の就業情勢では若年層より優遇されている、上の世代の動向となる。比較しやすいように、横軸の国の並び及び縦軸の値区分は若年層失業率グラフと揃えてある。

↑ 2012年8月時点での25歳-74歳の失業率(季節調整済)(8月データが無い国は直近分)
↑ 2012年8月時点での25歳-74歳の失業率(季節調整済)(8月データが無い国は直近分)

若年層失業率が飛び切り高いギリシャ・スペインは、25歳以上失業率も高い。いずれも2割を超えており、全体失業率が1/4に届くのも理解できる。とはいえ、他の国の多くは10%を切っており、グラフの上の部分の物寂しさが、今世代の失業率の(若年層と比較した上での)低さを物語っている。

以前【数十年にわたるEU諸国の「若年層」失業率推移をグラフ化してみる】では国数を絞ったが、若年層失業率と全体失業率の差異推移をグラフ化した。今回は2012年8月単月のみだが、他国に渡り、しかも「全体との比較」では無く「25歳-74歳の失業率」との比較値を算出した上でグラフ化を行い、世代間失業率の差異を確認する。

↑ 2012年8月時点での世代別失業率差異(季節調整済)(8月データが無い国は直近分)(25歳未満失業率が25-74歳失業率の何倍か)
↑ 2012年8月時点での世代別失業率差異(季節調整済)(8月データが無い国は直近分)(25歳未満失業率が25-74歳失業率の何倍か)

低失業率と堅調(比較論だが)な経済動向を見せるドイツは、世代間の失業率差異も小さく、この点でも優れた状況下にあることが分かる。一方上記にも記したが高い失業率で常連のスペイン・ギリシャは2倍強で、他国並み。むしろスウェーデンやルクセンブルグ、イタリア、ルーマニアなどの方が高い値となっている。

「若年層の失業率は、その上の世代の2-4倍とは。何と高いのだろう」と驚くかもしれない。数字自体が高いのは事実だが、日本でも実情はさほど変わりがないのが、【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2011年版)】などを見れば分かる。

↑ 学歴(教育)・年齢階層別失業率(2011年平均)
↑ 学歴(教育)・年齢階層別失業率(2011年平均)(再録)

世代人口構成の変化。各種法令で一度雇用した人の解雇が難しくなり、さらに定年が延長される場合が増えていること。労働内容の変化。機械化・IT化による必要労働力の減少。若年層の高失業率化の原因は多数考えられる。一方で、若年時代に就業が出来ないと(将来にわたって役立つ)技術の習得が難しくなると共に、経済的基盤を創ることすら難しく、社会的に不安定な状態が継続してしまう。本人はもちろん、周囲、そして国全体としても問題視すべき状態といえる。

4倍前後の値を示すスウェーデンやルクセンブルグ、イタリア、ルーマニアはもちろん、他国もまた、世代間失業率格差を逓減することが、経済、そして社会そのものを安定させる柱の一つとなる。もちろん失業率を下げることが大前提であることはいうまでもない。

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