米喫煙者は非喫煙者ほど「喫煙のリスク」を気にしない

2012/10/08 12:10

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たばこアメリカの調査機関【ギャラップ社】は2012年9月28日、アメリカにおける「喫煙・間接喫煙と体に与える悪影響に関する意識調査」の結果を発表した。それによるとアメリカ人の大人全体としては9割以上の人が、喫煙は体に有害であると考えていることが分かった。しかし「とても有害」との強いリスク認識を示している人は、非喫煙者が9割近くなのに対し、喫煙者は6割に留まる結果となっている(【発表リリース】)。


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今調査の最新版は2012年7月9日から12日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の無作為抽出(RDD方式)で選ばれた男女に対して電話による音声通話(英語とスペイン語)で行われたもので、有効回答数は1014人。質問には英語以外にスペイン語も用いられ、かけた先の電話の種類は固定電話・携帯電話で6対4の割合。2011年3月の国勢調査に基づいたウェイトバックがかけられている。

たばこの喫煙には健康上のリスクがあることは、すでに多くの人が承知の通り。影響力は人それぞれでヘビースモーカーでも健康を維持している人もいれば、日に数本しか吸っていないにも関わらずトラブルを抱える人もいる。今件では間接喫煙では無く、たばこの持ち主本人による直接喫煙に関する、たばこの害の認識について尋ねている。

喫煙者本人にとって喫煙はどれほど有害かを聞いたのが次のグラフ。全体では8割が「とても有害」、15%が「そこそこ有害」とし、有害でないとの回答は1割にも満たない。

↑ 喫煙は大人にとってどれ程有害だと思うか(米、2012年7月)
↑ 喫煙は大人にとってどれ程有害だと思うか(米、2012年7月)

有害さを感じない人は喫煙者でも少数派で1割足らずでしかない。ただし「とても有害」と、強度のリスクを覚える人は喫煙者と非喫煙者との間で、26ポイントもの差をつけている。当事者であるだけに、喫煙者のリスク意識は低めなのが分かる(吸っていてもリスクを実感していないから強い有害性を感じないのか、不安度が低いから安心して喫煙しているのか、いずれなのかは分からない)。

多数の地域で公共施設での禁煙条例が発令されたり、広告規制が厳しくなったり、喫煙の害に関する報告・論文・研究が次々行われているが、喫煙に関するリスク意識はこの10年ほど大きな変化がない。

↑ 喫煙は大人にとってどれ程有害だと思うか(米、「とても有害」の回答者率推移)
↑ 喫煙は大人にとってどれ程有害だと思うか(米、「とても有害」の回答者率推移)

喫煙する・しないは最終的には個人の判断となるが、喫煙のメリット・デメリットについてはさらに検証が進められる必要があるし、その内容・結果にはさらなる啓蒙・公知が求められよう。また、直接喫煙だけでなく間接喫煙のリスク(特に子供)にも十分以上に留意すべきである。



ちなみに直接・間接喫煙へのリスク意識をまとめると、「直接喫煙より間接喫煙の方がリスクを認識されにくい」「非喫煙者より喫煙者の方がリスクを認識しにくい」という具合になる。

↑ 喫煙・間接喫煙は大人にとってどれ程有害だと思うか(米、「とても有害」の回答者率推移)
↑ 喫煙・間接喫煙は大人にとってどれ程有害だと思うか(米、「とても有害」の回答者率推移)

世間一般的なイメージとほぼ一致するが、対となる項目との認識度合いの差異なども含め、具体的な数字として表されたものはあまりない。アメリカの事例とはいえ、今件は覚えておいて損はない。


■関連記事:
【「1日1箱未満」約7割…米喫煙者の喫煙動向】
【米喫煙者に聞く「たばこに病みつきですか?」】


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