米国の新聞発行部数などをグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/08/17 12:24

以前【アメリカの新聞発行部数などをグラフ化してみる(2009年分)】で、アメリカ合衆国の新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」が公開している値を元に、同国の新聞発行部数動向などをまとめて精査した。今回はその内容を更新する形で、現在取得可能な最新値である2014年分までを反映し、アメリカ合衆国における新聞業界の状況を確認していくことにする。

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データ取得元はアメリカの新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」のサイト内にある、【Trends & Numbers】のコーナー。ここから「Circulation」、そして「Total Paid Circulation」を選べば発行部数や発行紙数などが確認できる。ただし2010年分は、一次データの公開元で何らかの問題があったらしく未公開のままとなっている。

まずはNAAによる新聞購読者の年齢階層。以前の記事と比べて年齢区分が随分と大雑把になっているが(2008年以降はこの区分で算出されている)、大まかな動向は確認できる。さらに男女比のデータも公開されていたので、こちらも合わせてグラフ化をする。なおこちらの属性データは2012年調査分が最新値である。

↑ アメリカ合衆国の新聞読者層(世代構成、2012年)
↑ アメリカ合衆国の新聞読者層(世代構成、2012年)

↑ アメリカ合衆国の新聞読者層(性別、2012年)
↑ アメリカ合衆国の新聞読者層(性別、2012年)

今件データでは電子媒体・紙媒体双方合わせた値が収録されている。公開データを見る限り、電子媒体版のみの購読者は(調査時点では)さほど多くないため、それほど気にしなくても良いだろう。ともあれ、新聞購読者全体に占める若年層の割合は小さく、高齢層が多数を占めていることに違いは無い。これは現状でも、そして米国だけでなく日本でも同じような話ではある。また日曜版がやや平日版(通常版)と比べて若年層・女性にウケが良いのは、エンタメ性が強いのとクーポンが貢献した結果。

それではまず、21世紀に入ってからの発行紙数と発行部数をグラフ化する。「種類数」とは発行されている新聞の種類の数。例えば読売・朝日・毎日・産経・日経しか無いとすれば、「種類数」は5紙となる。

↑ アメリカ合衆国の新聞種類数(-2014年)
↑ アメリカ合衆国の新聞種類数(-2014年)

↑ アメリカ合衆国の新聞発行部数(×1000部、-2014年)
↑ アメリカ合衆国の新聞発行部数(×1000部、-2014年)

「種類数」全体は漸減、2012年から2013年は奇跡的に増加するほどだが、夕刊紙が勢いよく減り、その分朝刊紙がその穴埋めをして減少スピードをゆるやかなものとしている状況がうかがえる。採算ベース・読者需要の点でより危うい夕刊紙がバタバタと倒れている。これは日本も同様。

一方、「発行部数」の減少は「種類数」以上に著しく、2012年から2013年における復調すら見られない。ある意味、日本の新聞業界以上に火の車状態。今グラフと同じ期間で「前年同期比」を算出すると、それがより一層把握しやすくなる。

↑ アメリカ合衆国の新聞発行部数(前年比)(-2014年)
↑ アメリカ合衆国の新聞発行部数(前年比)(-2014年)

夕刊は元々「潜水艦の潜望鏡深度状態」だったのが、2003年以降は「深々度潜航」へと移行。朝刊もほぼ同じタイミングで下落し始め、2007年あたりからはフリーフォール状態。インターネットによるニュースの配信が活性化し、紙媒体のシェアを本格的に奪い始めたのが2007年頃であることから(傾向は2004年-2005年あたりから見え始めていた)、「夕刊は元々衰退傾向にあったのがインターネットによって加速化した」「朝刊はインターネットによるニュース取得のスタイルが普及するのと連動して減少傾向を強めつつある」と見てよい。さらに2007年以降は金融危機による不景気が大きく影響している。

2011年分については前述の通り2010年分データが無いため、2009年の値と比較し、それを2分する形で値を収録した。やや不規則な形になったが、朝刊の発行部数が一時的に持ち直していることは確かである。また、直近となる2014年は下げ幅を縮小しているが、これが下げ切って底を打ったのか、それとも踊り場的な状態なのかは、今後の動向を見なければ判断は難しい(そしてデータが更新公開されるか否かも不明瞭)。

これを長期データで見ると、新聞のすう勢が単にインターネットの普及によるものだけではないことが分かる。

↑ アメリカ合衆国の新聞種類数(長期データ)
↑ アメリカ合衆国の新聞種類数(長期データ)

↑ アメリカ合衆国の新聞発行部数(×1000部)(長期データ)
↑ アメリカ合衆国の新聞発行部数(×1000部)(長期データ)

↑ アメリカ合衆国の新聞発行部数(前年比)(長期データ)
↑ アメリカ合衆国の新聞発行部数(前年比)(長期データ)

夕刊紙の種類数減少は昨今に始まった話ではなく、1970年代後半からの継続でしかないこと、朝刊紙は漸増しているが夕刊紙の減少ぶりを補うことはできず(それだけ紙数的に市場動向にあわせて適性化したともいえる)、全体としては減少を続けている。

また新聞の発行部数は夕刊紙の減少・朝刊紙の増加に合わせてそれぞれ減少・増加をしているが、1990年代後半には朝刊紙の部数増加も止まり、以降は減少の一方。インターネットそのものの普及やインターネット経由でのニュース取得の浸透「以前」から、新聞周囲の環境が厳しさを増していたのは、日本と同じである(【アメリカの人種別出生率の詳細をグラフ化してみる】にもあるように、アメリカの合計特殊出生率は人口置換水準前後を行き来しており、人口の減少が新聞部数の減少につながるとする推論は成立しない)。



新聞とグラフ数字を見る限りでは日本同様にアメリカ合衆国の新聞業界においても、元々規模の縮小や構造変化の動きがあり、インターネットの普及によるニュース取得スタイルの社会的な環境変化が、業界周りの動向を加速させただけに過ぎないことが分かる。そして21世紀に入ってから、特に2005年-2007年以降の動きはこれまでに無かったレベルのものであるのも確認できる。

今後、例えばインターネットが使用できなくなるなど環境の劇的な変化がない限り、この流れを押しとどめることは不可能と考えて間違いない。紙媒体における新聞(の需要)が無くなることは無いが、さらなる再編を求められることは誰の目にも明らか。

なおNAAでは2016年の現時点でも、最新の公開データとして計上しているのは今件の2014年分までとしている。今後新たに値を更新するかは不明だが、新しい値が確認できれば、その値を反映した上で状況の再確認と再精査を行うことにしよう。


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