紙媒体の減退傾向続き、オンラインはやや成長度回復するも全体はマイナスのまま…米新聞社広告費動向(2012年2Q)

2012/09/24 12:10

厳しさを増す米新聞業界の部数や広告売上の推移を、同国の新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」が公開しているデータを用いてグラフ化し、定期的に精査をしている。広告費動向は年次分を2011年分まで、四半期別のものを2012年1Qまで以前記事にしたが、先日、四半期単位のデータの更新が確認できた。そこで今回は2012年2Qまでのデータ更新と状況チェックを行うことにする。

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データの取得場所や広告の種類に関する説明はまとめ記事【定期更新記事:米新聞社広告費動向(Q単位)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

21世紀への突入以降、2009年までは米新聞の広告収入は右肩下がりだったものの、2010年にはさすがにリバウンド(リーマンショックの影響もあり、大きく下げた前年との比較であることも一因)。しかしそのリバウンドも2011年には早くも失速したという流れは、以前の記事でお伝えした通り。

↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率)
↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率、2011年分まで)(再録)

↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)
↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)(2010年分まで)(再録)

「リバウンド」とはいえ、前年比プラスなのはオンライン(インターネット、以下同)だけで、紙媒体は総じて「マイナス度合いが改善された」に過ぎず、マイナス(前年と比べて減っている)であることに違いは無い。そしてそれらの復調への動きも2011年にはすべて失速している。

そして今回取得した直近四半期こと2012年第2四半期のデータがこちら。良い機会でもあるので、もう四半期さかのぼった分のデータも併記しておいた。なおそれぞれは「前年同期比」であることに注意。直前期との比較では無い。つまり季節特性などによる影響は受けない。

↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2012年1Q-2Q)
↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2012年1Q-2Q)

唯一プラスなのは「オンライン広告」だけ。この動きはしばらく継続しているが、時代の流れを考えれば仕方のない話かもしれない。他は全部前年同期比1割足らずの減少。総合計「紙媒体+オンライン合計」がマイナス6.41%とマイナス2ケタ台に到達せずに1ケタ台に留まっているのは、オンライン広告の奮闘によるところが大きい。

今期はリテール広告がやや悪化したものの、その他の広告ではすべて状況は改善している。ただしオンライン広告以外は「改善」とはいえ前年同期比で額面上はさらに落ち込んでいることに違いは無い。下げ幅が緩やかになっただけの話で、増加してはいないことに注意。

ちなみに金額ベースのグラフは次の通り。伸び率ではオンラインが唯一プラスで奮闘しているものの、金額では全体を支えるには程遠いのは、日本の状況とさほど変わらない。

↑ 米新聞の広告収入(四半期区分)(億ドル、2012年2Q)
↑ 米新聞の広告収入(四半期区分)(億ドル、2012年2Q)

米新聞広告関連の記事で繰り返している「オンラインは復調」「紙は低迷・縮小を続ける気配」は今期2012年第2四半期の広告費にも現れている。アメリカの景気は少し前までの改善基調から昨今では再び足踏み、そして後退の気配すら感じられる。そのような状況下の中でメディアの最適化、構造変化は確実に歩みを進めている。さらにオンライン広告も昨今ではかつてのような急上昇ぶりが見られなくなり、「現状の」新聞における広告プラットフォームとしての価値の「これまで以上に辛辣な」再評価が行われている雰囲気が強い。

それがより確実に把握できるのが、次の「四半期単位の前年同期比推移」を金融危機が起きる2007年からグラフ化したもの。今回もリーマンショックによる広告需給の大幅悪化から立ち直りを見せ始めた、2009年からのものも併記し、直近5年間における動きを確認する。

金融危機以前から紙媒体の低迷とオンラインの堅調ぶりという動きがあり、それが不景気の波にもまれて両者とも低迷。そして上限を抑えられるような形になったものの2009年後期からは戻しを見せるが、紙媒体の戻りは限界を迎えて失速し、再び低迷を続け、さらにはオンラインも成長度合いが頭打ち状態なのが把握できる。

↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2007年-)
↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2007年-)

↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2009年-)
↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2009年-)

2011年に入ってからオンラインですらも成長スピードが落ちている(成長していないわけではない)実態がイレギュラーなものではなく、継続的な流れなのが確認できる。ネット内での囲い込み(具体的にはFacebookなどのソーシャルメディア)競争で、新聞がじりじりと有望分野ですら競り負けつつあるのが想像できる。ただし今回四半期ではかろうじて上昇率も持ち直しを見せており、底打ち・反転の兆しが見受けられる(前回記事で「このままでは次四半期で前年同期比でマイナス値を示してしいかねない」との懸念を示したが、それは杞憂で済んだようだ)。額面上ではまだ少数勢力だが、成長さえ継続していれば、いつかは業界全体を支える大黒柱にまで成長する、はず。

今後アメリカの新聞業界がどのような形で切り返しを図るのか、それとも状況に流されるまま、収入、そして規模そのものの縮小を続けるのか。日本の新聞業界の行く先を占う観点でも、注視を続けたいところだ。

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