31の州・地域は成人の3割以上が肥満判定…アメリカ合衆国の肥満状態をグラフ化してみる(CDC版)(最新)

2018/11/14 05:21

2018-1106ベーコンのような油気の強い物への飽くなき願望に代表されるダイナミックな食生活、ファストフードをはじめとする外食産業の浸透、加工食品の普及ぶりなど、特徴的な生活様式もあり、アメリカ合衆国では肥満体系を持つ人が多いことで知られている。今回は同国の公的機関のデータを基に、その実情をグラフで確認してみることにする。

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肥満成人3割以上は31の州・地域


データの取得元は医療保険関連のデータではお馴染みのCDC(Centers for Disease Control and Prevention:米疾病予防管理センター)。【Methodologic Changes in the Behavioral Risk Factor Surveillance System in 2011 and Potential Effects on Prevalence Estimates】にある通り肥満関連のデータ取得・公開は2011年分以降は、CDCの内部部局のBehavioral Risk Factor Surveillance System (BRFSS)に移行し、それに伴いデータの掲載場所や取得方法にも、以前と比べて多少の変化が生じている。注意書きでも「厳密な連続性は無いので、比較の際には注意を要する」との記述がある。2010年以前のデータを併用する場合は注意が必要となる。

具体的なデータ取得元はBRFSS内の【BRFSS Prevalence & Trends Data】。ここから「Overweight and Obesity(BMI)」を選び、必要な値を取得していく。現時点では2017年分が最新値となっている。

まず図中で使われる「BMI」について。これは「肥満」度合いを示す基準の一つで「体重÷身長÷身長」で算出される。日本肥満学会ではBMIが22で平均的体格・体重、25以上を太り気味、18以下をやせ気味としている。今件データを用いるアメリカ合衆国では

・Underweight(やせ型)……18.5未満

・Normal weight(標準)……18.5〜24.9

・Overweight(過体重)……25.0〜29.9

・Obesity(肥満)……30.0以上

と区分している。

次の図は、アメリカ合衆国の各州などにおける成人男女(今件では18歳以上基準)のBMI値について、30以上の人、つまり肥満判定を受けている人の割合を示したもの。例えばWest Virginia州は38.1%とあるので、大人の4割近くが「肥満」判定を受けていることになる。

↑ アメリカ合衆国の18歳以上における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、州・地域別)(2017年)
↑ アメリカ合衆国の18歳以上における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、州・地域別)(2017年)

30%以上の州を薄い赤で色分けしたが、この領域に該当するのは全部で31の州や地域。最大値を示すVirginia州は38.1%、次いでMississippi州が37.3%、Oklahoma州が36.5%と続いている。「肥満大国アメリカ合衆国」との俗名に恥じないデータではある。全土(自治的地域含む)の中央値は31.6%で、国全体としても30%超え。最低の値を示すColorado州でも22.6%。5人に1人強が肥満状態にある。

「肥満」以外の人は?


該当データページでは肥満以外にやや肥満=「過体重」や「標準(体重)」、低体重=「やせ型」の人の人数比率も掲載されている。そこでそれぞれを取得して、割合の実情を精査した結果が次のグラフ。なお並びは上記グラフ同様、肥満の人の割合が多い順にしてある。

↑ アメリカ合衆国の18歳以上における肥満判定者などの比率区分(CDC・BRFSS、州・地域別)(2017年)
↑ アメリカ合衆国の18歳以上における肥満判定者などの比率区分(CDC・BRFSS、州・地域別)(2017年)

米全土では31.6%が「肥満」、35.3%が「過体重」。「標準」は32.0%、「やせ型」は1.8%に留まっている。

州によっては肥満判定者が多いにも関わらず「標準」や「やせ型」の割合も多いところもあるが、概して「肥満」と「過体重」の合計が6割台から7割台を維持しているのが分かる。つまり「肥満」の少ない州でも多分に「過体重」の比率が高く、おおよそ「標準」+「やせ型」の比率が一定(4割足らず)に留まっている。「標準」「やせ型」の合計が4割を超えているのは3州のみ。5割超えは皆無。あまり想像したくはないが、これが現実である。

さらに前年分、つまり2016年分における「肥満」判定を受けた人の割合を今回2017年分と比較すると、増えた州と地域の数は減った州と地域の数の4倍強にあたることが確認されている。

↑ アメリカ合衆国の18歳以上における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、前年比、州・地域別、ppt)(2017年)
↑ アメリカ合衆国の18歳以上における肥満判定者比率(BMI30.0以上、CDC・BRFSS、前年比、州・地域別、ppt)(2017年)

全体集計ではないため誤差が生じている可能性はあるが、プラスの州や地域がマイナスの州や地域の数と比べて多いことが一目瞭然なこのグラフは、アメリカ合衆国において成人の肥満者が確実に増加していることを再認識させてくれるのには十分な結果ではある。



ここまで肥満者が増えた原因は多様におよび、一概に「これのみが原因」と言い切ることはできない。冒頭で挙げた基本的な生活様式に加え、食生活の改善と変化、交通機関の整備、社会生活そのものの変移、さらには現在4000万人強に近しい人が対象となっているSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program:補助栄養援助プログラム、旧フードスタンプ。2018年10月時点で4089万3796人が対象)が一因との考え方もある。さらにデータを取得した肥満に係わるページのデータベースでは、今件データの他に果物・野菜の摂取量などに関わるデータも併記されており、これらの多い少ないが肥満と浅からぬ関係を有していると考えられているようだ。

また、全般的に歳を取るほどBMI値は上がる傾向にあることから、平均寿命が延びているのが一因とする説もある(それにしては急激だが)。しかし年齢補正をしたデータを見ても、状況に大きな変化はなく(例えば2017年でAlabama州の年齢補正後のデータを見るとBMIが30.0以上の人の割合は36.2%。今回用いた無補正は36.3%)、加齢による積上げはほとんど無関係であるのがわかる。

もちろん一つひとつ単独の項目のみが原因ではなく、複数の要因の積み重なりによる結果ではあろう。しかしこのままではアメリカ合衆国において、以前【米研究機関いわく「このままだとあと40年で俺ら全員肥満体だぞ」】で紹介したように、今世紀中頃までには国民全員が肥満判定を受けてしまうという話が、絵空事でも何でもないことも十分納得できるというものだ。

最後に、データの連続性などの問題で2010年分までで留めているが、CDC発表によるアメリカ各州のBMI値30.0以上の大人の割合を示した映像を呈しておこう。


↑ 1985-2010年における米各州の肥満比率推移 (Percent of Obese in U.S. Adults)。

色々と感慨深い動きではある。


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