20州は成人の3割以上が肥満判定…アメリカの肥満状態をグラフ化してみる(2015年、CDC版)(最新)

2015/10/19 10:49

ベーコンをはじめとした油気の強い物への飽くなき願望に代表されるダイナミックな食生活、ファストフードをはじめとする外食産業の浸透、加工食品の普及ぶりなど、特徴的な生活様式もあり、アメリカでは肥満体系を有する人が多いことで知られている。今回は同国の公的機関のデータを基に、その実情をグラフで確認してみることにする。

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肥満成人3割以上は20州


データの取得元は医療保険関連のデータではお馴染みのCDC(Centers for Disease Control and Prevention:米疾病予防管理センター)。【Methodologic Changes in the Behavioral Risk Factor Surveillance System in 2011 and Potential Effects on Prevalence Estimates】にある通り肥満関連のデータ取得・公開は2011年分以降は、CDCの内部部局のBehavioral Risk Factor Surveillance System (BRFSS)に移行し、それに伴いデータの掲載場所や取得方法にも、以前と比べて多少の変化が生じている。注意書きでも「厳密な連続性は無いので、比較の際には注意を要する」との記述がある。2010年以前のデータを併用する場合は注意が必要となる。

具体的なデータ取得元はBRFSS内の【BRFSS Prevalence & Trends Data】。ここからインデックス経由で「Overweight & Obesity」を選び、「Data & Statistics」から「Data, Trends and Maps」、「Data, Trends and Maps Database」を選択。【Nutrition, Physical Activity and Obesity: Data, Trends and Maps】で必要なデータを取得していく。現時点では2013年分が最新値となっている。

まず図中で使われる「BMI」について。これは「肥満」度合いを示す基準の一つで「体重÷身長÷身長」で算出される。日本肥満学会ではBMIが22で平均的体格・体重、25以上を太り気味、18以下をやせ気味としている。今件データを用いるアメリカでは

・Underweight(低体重)……18.5以下

・Normal weight(標準体重)……18.5-24.9

・Overweight(やや肥満)……25-29.9

・Obesity(肥満)……30.0以上

と区分している。

次の図は、アメリカ各州などにおける成人男女(今件では18歳以上基準)のBMI値について、30以上の人、つまり肥満判定を受けている人の割合を示したもの。例えばMississippi州は35.1%とあるので、大人の1/3強が「肥満」判定を受けていることになる。

↑ アメリカの大人(18歳以上)における肥満判定者比率(BMI 30.0以上、州別)(2013年、CDC・BRFSS)
↑ アメリカの大人(18歳以上)における肥満判定者比率(BMI 30.0以上、州別)(2013年、CDC・BRFSS)

30%以上の州を薄い赤で色分けしたが、この領域に該当するのは全部で20州。最大値を示すMississippi州は35.1%、次いでWest Virginia州が同率の35.1%、Arkansas州が34.6%と続いている。「肥満大国アメリカ」との俗名に恥じないデータではある。全米平均では28.3%、最低の値を示すColorado州でも21.3%。5人に1人が肥満状態にある。

「肥満」以外の人は?


該当データは肥満以外に「やや肥満」=「過体重」の人の人数比率も掲載されている。そして「肥満」「過体重」の値から逆算して、標準体重の人とやせ気味の人の割合を知ることが可能となる。

↑ アメリカの大人(18歳以上)における肥満判定者などの比率区分(州別)(2013年、CDC・BRFSS)
↑ アメリカの大人(18歳以上)における肥満判定者などの比率区分(州別)(2013年、CDC・BRFSS)

全米では28.3%が「肥満」、35.5%が「やや肥満」。標準スタイルあるいはやせ気味の人は36.2%に留まっている。

州によっては肥満判定者が多いにも関わらず標準・やせ型の割合も多いところもあるが、概して「肥満」と「過体重」の合計が6割から7割を維持しているのが分かる。つまり「肥満」の少ない州でも多分に「過体重」の比率が高く、「標準」+「やせ型」の比率が一定(4割足らず)に留まっている。「標準」「やせ型」の合計が4割を超えているのは6州のみ。5割超えは皆無。あまり想像したくはないが、これが現実である。

さらに前年分、つまり2012年分における「肥満」判定を受けた人の割合を今回2013年分と比較すると、増えた州の数は減った州のほぼ3倍にあたることが確認されている。

↑ アメリカの大人(18歳以上)における肥満判定者比率(BMI 30.0以上、州別)(2012年から2013年への変移、CDC・BRFSS)
↑ アメリカの大人(18歳以上)における肥満判定者比率(BMI 30.0以上、州別)(2012年から2013年への変移、CDC・BRFSS)

Delaware州の値はややイレギュラーな感じもするが、多くの州で「1年間で」肥満と判定される人が「全成人の」1%ほど増えている計算になる。100人大人がいれば、毎年1人ずつ、肥満の人が増えることを意味する。



ここまで肥満者が増えた原因は多種多様に及び、一概に「これのみが原因」と言い切ることは出来ない。冒頭で挙げた基本的な生活様式に加え、食生活の改善と変化、交通機関の整備、社会生活そのものの変移、さらには現在5000万人に近しい人が対象となっているSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program:補助栄養援助プログラム、旧フードスタンプ)が一因との考え方もある。さらにデータ取得元の肥満に係わるページのデータベースでは、今件データの他に果物・野菜の摂取量や砂糖を多く含んだ飲料の摂取量、運動量、テレビ視聴時間に関するデータも併記されており、これらの多い少ないが肥満と浅からぬ関係を有していると考えられているようだ。

また、全般的に歳を取るほどBMI値は上がる傾向にあることから、平均寿命が延びているのが一因とする説もある(それにしては急激だが)。しかし【年齢補正を行った上での肥満判定者率地図(2009 Age-Adjusted Estimates of the Percentage of Adults Who Are Obese)】を見ても、状況に大きな変化はなく、加齢による積上げはほとんど無関係であるのがわかる。

もちろん一つひとつ単独の項目のみが原因ではなく、複数の要因の積み重なりによる結果ではあろう。しかしこのままではアメリカにおいて、以前【米研究機関いわく「このままだとあと40年で俺ら全員肥満体だぞ」】で紹介したように、今世紀中頃までには国民全員が肥満判定を受けてしまうという話が、絵空事でも何でもないことも十分納得できるというものだ。

最後に、データの連続性などの問題で2010年分までで留めているが、CDC発表によるアメリカ各州のBMI値30.0以上の大人の割合を示した映像を呈しておこう。


↑ 1985-2010年における米各州の肥満比率推移 (Percent of Obese in U.S. Adults)。【直接リンクはこちら:Percent of Obese in U.S. Adults】


色々と感慨深い動きではある。


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