読売1000万部未達成なお継続、日経は前期比マイナス0.84%…新聞販売部数動向(2012年前期分データ更新・半期分版)

2012/09/19 12:00

当サイトでは複数のソースを元に、日本の新聞業界に関する全般的動向を継続して追いかけている。その中の一つが、年二回ほど読売新聞社の広告ガイドページ経由で公開される、日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」のものを対象としたもの。そのうち2012年前半期分について、先日2012年9月18日に更新が確認された。そこで今回は2011年後期分データ更新・半期分版の記事の更新版として、各種データについて最新のものを反映した上で、主要新聞社の新聞発行部数などをグラフ化してみることにした。

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まずは先日更新された最新データを元にした、主要全国紙、すなわち読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞(日経新聞)・産経新聞の計5紙の「販売部数」。これは各紙広告関連ページで取得することができるが、全紙のものは【新聞広告データアーカイブ】からリンクをたどり、【読売新聞社の広告ガイドページ】に掲載されている、「日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2012年1月-6月平均」で取得することができる。なおこれは朝刊「販売」部数。

↑ 2012年前期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)
↑ 2012年前期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)

かつて「販売部数1000万部超」をうたっていた読売新聞だったが、2011年前半期でその大台を割り込んでしまったことは以前伝えた通り。丸々一年が経過したが、起死回生は果たせず、かのキャッチコピーが使えない状態が続くこととなった。その読売新聞に続くのは朝日新聞、約半分に減少して毎日新聞、日経新聞、そして産経新聞の順となる。この順位は以前から変わりない。読売新聞が他紙と比べて数的に優位な立ち位置にあるのは、『東洋経済の2010年 2/20号 特集:再生か破滅か……新聞・テレビ 断末魔』によれば「ホテルなどへの営業が功を奏している」のが要因とのこと。その状態は今も継続しているものと推測される。

また、「朝日新聞絶対防衛ライン(とされていた)800万部」はさらに侵攻を許す形となる。これで2010年前期以降5期連続のカウント。800万部に対して現状では95.9%・マイナス4.1%の減という状態。

全部マイナス
良い機会でもあり、前回同様にいくつか比較グラフを生成する。まずは前回記事で掲載したように、前回半期との差異。単純計算で半年の間にどれだけ部数が動いたかを知ることができる。

↑ 2012年前期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2011年後期との比較)
↑ 2012年前期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2011年後期との比較)

前回期同様、今回期も主要5紙すべてがマイナス。毎回ダイナミックな下げ方を披露する毎日新聞は、今回はやや大人しめな下げ方に落ち着いた。一方で日経新聞は前期比でマイナス0.84%。部数換算で約2.5万部/半年の減少となる。日経新聞は5紙の中でも比較的専門色が強く、手堅いはずなのだが、昨今ではその「専門色」のオーラも薄れつつあるのかもしれない。

ちなみに単純に部数だけの減少でみれば、朝日新聞の約3.9万部/半年が最大値。関係者にとって穏やかならぬ心境には違いない。

さて過去の記事同様に半年前(つまり前回期)との世帯普及率の比較をグラフ化する。前回記事で触れたが、東日本大地震・震災の関係で2011年前期と2011年後期分は公式データが未公開のため、他の公開されている各種データを基に暫定値を算出している。今回はそれとの比較となるため、実数とはカンマ数%レベルで誤差が生じてしまうが、ここではそれを許容する形でグラフに反映させる。参考値レベルのものと念頭においた上で見て欲しい。

なおこの「世帯普及率」とは全世帯のうち、どれだけの世帯に各新聞が届いているかを示しているもの。産経新聞なら2.91%なので、100世帯のうち約3世帯が産経新聞を定期購読している計算になる。

↑ 2012年前期における主要全国紙の世帯普及率(2011年後期との比較)
↑ 2012年前期における主要全国紙の世帯普及率(2011年後期との比較)

朝刊は世帯単位で定期購読されることが多いため、ある意味単なる部数よりも新聞のすう勢を推し量れる。これを見ても読売新聞の絶対的なポジション、そして各主要紙の減退ぶりが見て取れる。世帯数そのものは増加していても、購買世帯がそれに追いついていないどころか減っているのでは、普及率が下がるのも当然といえる。



【1年間で98万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2011年分・新聞業界全体版)】にもあるように、主要紙の発行部数は確実に減少している。さらに【新聞やテレビなどへの新聞やテレビなどへの業種別広告費推移をグラフ化してみる(2011年版・電通資料ベース)】【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2011年版)(中)…ネット以外動向概況編】でも触れているが、部数の減少だけでなく質の低下も相まって、広告費も急降下状態にある。昨今の各紙、特に経済や政治面での記事において「一次ソースを当たらずに、内容をそのまま鵜呑みにするのは、読者にとって高リスクであり、虚言を教え込まれてしまいかねない」、見方を変えると「記者側が自らの推測や願望、都合に基づいた記事を構成して事実のように伝えたり、記者会見内容を別物のように編集したり、果ては誘導尋問まで繰り返す」事例が多発している状況は、単なる「質の低下」の域を超えた異常事態とも表現できる。「分かりやすく説明する」ことと「本当のこと、間違っていないこと、事実を伝える」は別物である。

売上を伸ばす努力はしているが、それは果たせない。そのような状態が続くと、当然経費の削減をしなければ、会社の経営が成り立たなくなる。しかし経費削減の過程で「削ってはいけない部分」まで削れてしまい、会社全体としての士気減退や能力欠如が懸念される声が随所から聞かれる(「質の低下」の一因)。

しかも経費削減の成果は比較的すみやかに・数字の上ではっきりと表れるものの、その副作用はすぐには数字上に現れることは少なく、じわじわと、そして確実に浸透して影響をもたらす。後に事態の悪化に気が付き、状況の回復を図ろうとした時には、削減した経費以上の手間暇や資金がかかり、あるいは手遅れになってしまうのが世の常。

マスメディアの仕組みそのものでは無く、それを動かす人達の立ち振る舞いに向けて疑問符を投げかける人が増えているのも、その「副作用」によるものが一因、いや大きな部分を占めている。そう考える人も少なくあるまい。


■関連記事:
【戦中からの新聞の発行部数などをグラフ化してみる】

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