新興国の値がやや減少、米国州が2つも上位入り(国債デフォルト確率動向:2012年9月)

2012/09/15 12:00

以前の記事で説明したように、経済動向を推し量るのを目的とし、債権リスクを示す指針の一つCPDを元に、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を2010年12月から1か月単位で確認している。今回は2012年9月分として、15日時点の数字についてグラフ化を試みることにした。

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国公債のデフォルト確率を意味するCPD(5年以内のデフォルト可能性)の細かい定義、データの取得場所、各種概念は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で解説しているので、そちらで確認してほしい。

今件のグラフは日本時間で2012年9月15日、つまり(日本時間で)本日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。今回はいくつかの国・地域で順位変動があり、大きな「流れ」があったことが分かる。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2012年9月15日時点)

【株式市場雑感(12/09/07)】でも多少触れているが、欧州中央銀行が財務危機対策・ユーロ防衛策の一環として、国債の無制限買取について合意したことを受けて、EU諸国のCPDは大きく後退している。これに連動する形で新興国のCPDも下落。数少ない上昇国が余計に目立つ形となった。(一方でギリシャは99.99%に増加。100%=確実にデフォルトであることを考えれば、事実上最大値となる。

また先日アメリカ連邦準備理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で、いわゆるQE3(量的緩和第3弾)の実施を決定・発表したことを受け、アメリカ諸州のCPDも下落している。ただし下げ幅はEU諸国ほどのものではなく、相対的にアメリカの州の順位が上がってしまっている。

今月分ではイリノイ州の他にカリフォルニア州も10位以内に収まっているが、【全米50州の政府債務、4兆ドル上回る=調査団体(ロイター)】で報じられた通り、カリフォルニア州は財政上の負債額が極めて大きく、同じく記事上で名を連ね今件グラフにも顔を見せているイリノイ州の2倍以上もの額が確認できる。また【財政破綻した米加州サンバーナーディーノ市、年金債務めぐりカルパースと対立(ロイター)】などでも報じられているが、これらの州の市町村レベルでの財政破たんの話をちらほらと耳にするようになった。

今月は幾分状況改善の兆しが見えているが(スペインの姿が見えないのもその一端)、EU諸国を中心に失業率の動向は悪化の一途をたどっている。もし仮に失業率にも反応が出始めるとしても、もうしばらく後になるのだろう。

先月「場所的関係もありギリシャとの取引が多く、ギリシャの財政破たんに伴いリスクを積み増す状態」「【内閣府による『今週の指標』中「キプロス財政の現状について」】で詳しく解説されているが、現在(EUからの支援に先立ち)同国内の財政状態の審査が行われている最中」などの話を伝えたキプロスだが、密接な関係にあるギリシャの値が増加したにも関わらず、同国の値は10ポイント以上の下げを見せている。それでもなお第2位には違いないが、昨今ではIMF・EU・欧州中央銀行の支援関係者と支援について会談をしており、大きな状況改善と認められたのだろう。

なお日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版【2012年第2四半期リスクレポート(CMA Global Sovereign Debt Credit Risk Report、PDF)】で確認できる。それによると、CPDは7.5%で順位は9位。前四半期の2012年第1四半期は8.0%・16位だったことから、随分と状況は改善されている(今四半期から格付けは非公開となった)。

日本の企業動向、株式市場にも大きな影響を与えている、そしてCPDの動きにも(間接的に)影響を及ぼしているといえる(ユーロ安はユーロ圏の財政が不安定化しているのが最大要因。そして財政不安状態はそのままCPDの上昇につながる)ユーロ動向だが、1ユーロ95円内外をつけたあとに多少の戻しを見せている。しかしこの数年の区切りでは、もみ合いながらの下落のさなかにあるように見える。

直近一か月では上記にある通り欧州中央銀行の動きを受け、大きくユーロが戻し、1ユーロ105円台に手を伸ばしつつある動きが見える。この動きが継続すれば、今年の3月近辺の1ユーロ110円台に手が届くかもしれない。

↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2012年9月14日)
↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2012年9月14日)

大きく経済・政治動向が動くこのような状況だからこそ、失業率の動向と合わせ、債券リスクに絡むCPDの値は、各国の経済情勢をかいま見る有効な指標の一つとなりえる。今後も失業率同様、CPD値には注意深く監視の目を向けたいところだ。


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