博報堂のインターネット部門での伸び悩み、電通は強い(電通・博報堂売上:2012年8月分)

2012/09/12 06:50

【博報堂DYホールディグス(2433)】は2012年9月11日、同社グループ主要3社の2012年8月における売上高速報を発表した。これで【電通(4324)】が同年9月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2012年8月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めることにする。

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グラフ生成のために用いたデータの取得元に関する解説、各項目に関する留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で記述している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2012年8月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2012年8月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震・震災による直接的な広告費(額面)のへの影響は、数字の上ではほぼ終息。そして現在では震災以前からの広告業界・メディアの流れ「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境に陥っているが、テレビがやや戻しの動きを見せる」「デジタル系、そして屋外広告などの非4マス系の一部が堅調」的状況がそのまま継続する動き。

一方で8月分の特徴としては、「博報堂のインターネット部門での伸び悩み」「従来型広告では博報堂が躍進」などの動きが確認できる。これらの多くは1年前の記事を見れば分かるように、昨年同月で大きな動きを示した項目であり、それとの比較値のため、リバウンドで大きなぶれが生じた結果によるもの(特に1年前においては図表のコメントとして「従来型広告で電通が奮戦」と表記しており、大きな伸びが記録されている)。

参考値として電通・博報堂それぞれにおける「一昨年前の値」との比較を算出し、グラフを生成しておく。基準値を設定してその値に「前年における前年同月比」「今件の前年同月比」を順番に掛けただけだが、各項目の実情が良く分かる結果となっている。

電通2012年8月度単体売上(前々年同月比)
↑ 電通2012年8月度単体売上(前々年同月比)

博報堂2012年8月度単体売上(前々年同月比)
↑ 博報堂2012年8月度単体売上(前々年同月比)

「ラジオ」「新聞」「雑誌」が中期的には下落傾向であることや、「インターネット(インタラクティブメディア)」「屋外などの一般広告」の堅調さといった広告業界全般の、そして間接的には媒体そのものの「勢い」が垣間見れる動きをしている。

なお今件記事中最上位にあるグラフに記された値について説明しておくが、これは「個々の会社の前年同月比」であり、額面の絶対額を意味しない。例えばインターネット分野の額面は、他の分野と比べればまだ小さめ。そして個々分野を会社毎に比較した額面上では、電通の方が上となる。

電通・博報堂HDの2012年8月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2012年8月における部門別売上高(億円、一部部門)

電力需給のひっ迫感は相変わらずどころか政治的要因などで昨年よりも悪化し、春先までの中期天気予想とは反して猛暑となったことも合わせ、今夏は西日本地域などにおいて昨年以上の電力供給力不足が発生した。幸いにも多方面の努力により不測的な停電は免れたが、半ば強制的な節電により多くの経済的・機会的・健康面などで被害が生じたことは認識する必要がある(【IEEJ発「今夏電力需給」と「震災後の電力需給分析」】【続く節電要請・逃げる企業…関電管轄内企業の「今後も節電継続」の場合の対応は?】)。そして今冬も主に北日本において、同様の逼迫的な状況・国富の膨大な浪費が発生しうることは回避できそうにも無い。

そのような電力事情下の中、自動販売機や電灯など、電力を常用する公的あるいはそれに準じる施設・機器では、加速度的に節電機能が開発、搭載され、実働を果たしている。

従来型広告の一例。有楽町駅の階段に配されたウーロン茶の看板新スタイルの広告手法として注目されている「デジタルサイネージ」もまた、地震直後のような「全面オフ」という状況からは復帰しているものの、積極的な節電の「雰囲気」は深く浸透し、以前ほどの活力・積極性は見られない。「全国規模で」電力浪費(「に見えるので叩かれやすい」)による非難リスクを自然に避ける、自主規制をする傾向がある。デジタルサイネージが撤去されたり、各小売店でも昨年以上・過剰とも見えるまでの節電状況が随所で確認されている(例えば照明一つをとっても、明るさが落ちればマーケティングの上では確実に売上にマイナスの影響が出る)。

そのような状況なら電力消費をほとんど伴わない、従来型野外広告に注目が集まるのは自然の流れ。昨今の「4マスとネット以外の堅調さ」も、社会的状況が影響しているものと考えられる。

これからは従来型・4マス・ネットそれぞれの長所を上手く流用・活用・併用し、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、「慣習だから」との理由のみで効果の無い・薄い手法にとらわれることなく、費用対効果の高い、そして同時に効果が把握しやすい広告手法が求められる。本来なら自然の流れとして発するべき、発想面で優れた広告に注目が集まり、採用され、トレンドとして消費者の目に留まる機会が増えてくる。その動きはすでに見え始めている。


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