コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる(上)(最新)
2020/11/26 05:16


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たばこの売上は25.8% by ローソン
「コンビニの商品種類別-」で用いたローソンの最新版統合報告書(アニュアルレポート)には、たばこの売上比率について「たばこの販売構成比は25.8%」(直近年)と表内に明記されている。これは以前の記事でグラフ中に示した通り。また同じくローソンではこの売上額は5591億円とある。

↑ 商品群別売上高構成比率(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)(再録)

↑ 商品群別売上高(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)(億円)(再録)
少なくとも年ベースでは売上をかさ上げし、その伸び率は他商品区分と比べて高い領域で推移。結果として全売上に占めるシェアは伸びつつあった。
ただし2013年(ローソンでは2月末締めのため、今件グラフにおける各年は、その年の2月末までの値。マイナス1年の年度の値でもある。例えば2013年なら2012年3月から2013年2月までの2012年度)以降になると、各年の報告書では「たばこのセールスが減少している」などの表記が見られ、たばこの販売「数」の減少が生じていることが確認できる(2013年から2014年にかけての減少はグラフ注記にもある通り取得値対象の変更によるもの)。
2017年以降は再びわずかながら増加を示しているが、これは「コンビニの商品種類別-」でも解説している通り、加熱式たばこの盛況ぶりによるところが大きい。また、店舗数が増加していることも小さからぬ要因だろう。そしてたばこの相次ぐ値上げによるたばこ単価の上昇も一因ではある。
一日どれだけたばこが売れているのかを試算する
「たばこの売上は全体の25.8%」。この値が判明していれば、あとは1店舗あたりの1日平均売上を確認することで、平均的な店舗における「たばこの日次販売額(平均日販)」が計算できる。そしてたばこの平均単価は約494.2円なので(代表的な銘柄のメビウスとセブンスターの価格から月割りで算出)その金額で割り算をすれば「どれだけの個数が」売れたのかも(概算ではあるが)把握できる。
「平均日販」こと1日の店舗単位での平均売上は、統合報告書ではなく決算短信の補足資料中に表記を見つけることができる。それによると2019年度(上記グラフでは2020年に該当)は全店で53万5000円(「売上および商品の状況(国内コンビニエンスストア)」の「平均日販」から取得)。ちなみに客数は762人/日、客単価は702円/人。
よって、1店舗あたりの1日のたばこ販売額と箱数は、
・53万5000円×25.8%=13万8030円(/日)
・13万8030円÷494.2円=279.3箱(/日)
・13万8030円÷494.2円=279.3箱(/日)
と算出でき、1日に約279箱のたばこが売れている計算になる。お客の中にはカートン(10箱入り)で買う人もいるのでさほどの量では無いようにも見えるが、【「コンビニでたばこを買う時、ついでに何を買う!?」をグラフ化してみる(最終結果)】で見る限り、1つか2つのみ購入する人が多いことから、相当な数の「たばこ購入者」を、コンビニでカバーしている計算になる。
仮に販売箱数の約半分がカートン買いで、残りの半分はすべて1人が2箱の形で買われたとすると、(279÷2÷10)+(279÷2÷2)=83.80人となり、コンビニ(今件ではローソンだが)の1日の来場客数762人のうち1割強ほどが、たばこ購入による来店となる。売上だけでなく、来店機会の観点でも「たばこ」がコンビニを支えている実態が認識できる値である。
とはいえ、ここ数年の試算結果を確認すると次の通りとなるが、たばこ値上げの影響が出る以前から、たばこの販売における勢いが衰えているのが確認できる(2014年分から計算の上での指標が単体のものとなったため、グラフの上でイレギュラーが生じている)。

↑ コンビニでのたばこ販売動向(ローソン)
今後もたばこ税の引き上げが予定されており、それに伴うたばこ価格の値上げは容易に想像できる。健康志向によるたばこ忌避の動きも強まりを見せており、売上・購入者のさらなる減少は容易に想像できる。コンビニ各社がプライベートブランドのスイーツや惣菜、ドリップコーヒー、ドーナツなど、汎用的で来店機会を生み出しやすい商品開発に熱意を払っているのも、十分理解できる次第である。
■一連の記事:
【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる(上)】
【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる(下)】
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