食品専門店への色合い強まる…コンビニの商品種類別売上の変化をグラフ化してみる(最新)

2017/09/12 05:19

2017-0911ローソンは2017年8月2日に、同社及び所属・周辺業界の状況を多方面から分析・解説したアニュアルレポートの最新版となる【統合報告書2017】を公開した。そこで日本の大手コンビニでは売上で第3位に位置するローソンの公開データを通して、コンビニの商品種類別における売上の変化を精査していくことにした。

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食品コンビニ化への動き…売上高動向


ローソンのアニュアルレポートでは同社における商品群別の売上高構成比が掲載されている。昨今では「たばこ」の売り上げに注目が集まり、その動向に注視する必要があるため、「たばこ」を特別扱いし、一つの区分として計算する。ローソンでは決算が2月締めであることから、「2017年」の場合は2016年3月から2017年2月末までのデータを意味している。なお今回も合わせコンビニの売上動向を推し量る際に、ローソンのレポートをデータ取得元として用いたのは、大手コンビニではローソンだけが「たばこ」も含めた詳細な売上構成比を公開していたからに他ならない。

まずは売上全体に占めるたばこも含めた、主要商品区分別の割合をグラフ化し、状況を確認する。

↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)
↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)

2010年の売上構成比で「たばこ」は前年比でやや減退している。これは金額そのものは伸びているものの、伸び率は前年ほどではなく、他の分野の伸び具合に比べて大人しかったため、相対的に比率が落ちている次第。その年以外は2013年まで一様に「たばこ」の売上が占める比率は増加をしており、コンビニにとって「たばこ」は年々重要な商材として位置づけられていたのが分かる。また2010年の特異な動きとして「日配食品」が伸びているのが確認できるが、これは「ショップ九九」で該当項目商品が大いに伸びたのが原因。

震災直前となる2011年分(2010年3月-2011年2月)、そして震災時期を含む2012年(2011年3月-2012年2月)では多少のデコボコはあれど、中期的な動きに変わりはない。食品販売の占める割合が大きく、「コンビニエンス・フードストア」と表しても問題はなさそう。また、【値上げによる家計のたばこ支出金額推移への影響を過去二回分と合わせてグラフ化してみる】でも触れているが、2010年10月に大規模なたばこの値上げが実施され、これを受けて2011年以降の「たばこ」売上・シェアは増大。2012年では全売上の1/4に達している。

2013年に入るとこれまでとはやや変わった動きも確認できる。「たばこ」の伸び、「加工食品(たばこ除く)」「非食品」の減少は相変わらずだが、「ファストフード」(※ローソンではカウンターフーズの他にお弁当や調理パンの類も「ファストフード」に該当させている点に注意)が大いに伸びを見せている。これはコンビニ関連の記事で何度となく解説している中食需要の拡大と、それに伴う(あるいはそれを誘発した)フライヤー食品をはじめとした惣菜の積極的な展開によるもの。類似商品の「日配食品」(ベーカリー・デザート・アイスクリーム・生鮮食品など)は比率こそ落としているが、金額面では小さからぬ伸びており、中食需要に確実に応え、売り上げに反映しているのが確認できる。

2015年ではいくつかの大きな動きが起きている。まず「ファストフード」の大きな伸び。これはカウンターフーズの拡充に伴う躍進に加え、今ではごく当たり前の情景となったドリップコーヒー(ローソンの場合はMACHI cafe)の導入店舗が増え、好成績を上げたため。なおカウンターフーズのルーキー的存在のドーナツの本格導入は、ローソンでは2015年4月以降であるため、2015年時点では計上されていない。そしてたばこの比率と販売金額の双方が大きく増加している。これは2014年4月に実施された消費税率改定に伴う、駆け込み需要によるところが大きい。

直近となる2017年分(2016年3月-2017年2月)では、前年から大きな変動は無い。とはいえ、たばこの構成比率の減退は継続中。たばこ市場全般の低迷ぶりがコンビニの動向でも見られることが確認できる。ただし金額は前年より増加しており、それを受けて報告書でも「たばこの売上が計画を上回る」との文言が確認できる。

続いて金額ベースで、積み上げ型のグラフにしたのが次の図。「たばこ」そのものはかなりの額で金額をふくらまして「いた」。

↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)

コンビニでお世話になっている人も多いであろう「ファストフード」だが、ローソンに限れば「夕食の一品」「単身者や高齢者の方にも、おかずを一品増やしたい主婦の方にも」と多様な方向性、ターゲットを見据え、ブランド化と商品開発を進めているレジ横フライ物や厨房で逐次調理される総菜・お弁当が堅調に推移し、2017年では前年比で3.8%のプラスを計上した。「日配食品」は大きく伸びて6.2%のプラス。コンビニはますます食品コンビニ化の様相を示しつつある。

そして「たばこ」だが、ローソンに限定すれば直近では前年比111億円・プラス2.3%ほどのプラス。前年比でマイナスを計上した前年2016年の反動もあるが、前々年の2015年分と比較しても45億円のプラスとなり、大きな伸びを示している。これは【メビウスなどのたばこが4月1日から値上げへ】などにもある通り、税率とは別に2016年4月からたばこ価格が一部で引き上げられ、例えば主力銘柄のメビウスは430円から440円と10円の値上げがなされているのが要因の一つ。また前述の通り全売上に占める構成比ではマイナス0.4%ポイントの減少を計上しており、たばこの販売動向にトレンド転換が起きたわけではなさそうだ。店舗数の増加が売り上げ増に寄与したのだろう。

各項目の前年比


各項目の進捗を把握しやすいのが、次に示す前年比のグラフ。

↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)

「たばこ」のトレンド転換は事実上2013年から始まっていたことが分かる。日本全体におけるたばこの販売本数は漸減を続けていることから、今後価格の変動があろうとなかろうと、売り上げは厳しくなることが容易に想像できる。

2015年のプラス化は、消費税率の引き上げに伴う動きであり(プラス5.2%。うち3%近くは消費税率の上乗せ分の上昇。残りは駆け込み需要)、その分の反動とたばこ需要の減退が、2016年におけるマイナスへの転換(前年比マイナス1.4%)となって表れた次第ではある。

直近2017年の増加はやや意外さを見せる値動きであり、誤差の領域内とも解釈できる。シェアは減退している事も合わせ、上記の通り「店舗数の増加」「たばこ単価の引き上げ」が要因だろう。仮に2018年も継続して増加するようならば、たばこのコンビニ販売需要が増加した可能性もあるのだが。あるいはたばこの販売総数は減少を継続しているので、自販機やたばこ販売店がたばこそのものの需要を上回るスピードで減少しており、その差をコンビニが吸収しているのかもしれない。

一方「ファストフード」は2011年以降大きく切り返しを見せ、2017年は2012年以降6年連続してのプラスを示すこととなった。また2017年では「日配食品」が大きく伸びているが、これらの動向について同報告書では(あくまでローソン単体での話ではあるが)、

ファストフード・カテゴリーに属する調理パンにつきましては、主にポイントコレクトキャンペーンなどの販促施策がサンドイッチなどの販売を押し上げ、売上が増加しました。

スーパーマーケット代替機能を強化すべく、店舗改装や品揃え拡充に取り組んだ結果、日販食品カテゴリーに属する日販食品・冷凍食品、ファストフード・カテゴリーに属するデリカにつきましては、いずれも前年の売上を大幅に上回りました。

と解説が成されており、食品スーパーをライバルとして需要の拡大と生活のサポート役の強化を推し量る施策を成し、それが成果を出したと解説している。また「健康志向の高いお客さまにご支持いただいている「グリーンスムージー」の販売が好調なことにより」と健康志向へも注力する言及が確認でき、外食産業や食品業界のトレンドの一つである、健康志向をセールスポイントとする姿勢が見て取れる。

低迷が続いていた「非食品」も直近年ではひさびさにプラス圏に。報告書では特に言及はなされていないことから、本や雑誌の低迷ぶりは底を打った、あるいは言及する必要のない状態に留まっているものと考えられる。

同業大手他社ではセブン-イレブンが「街の本屋」と題して雑誌や書籍、コミックスなどの取扱いを行い、このような状況の打破を模索している。ローソンでも【ローソンで「書籍」販売拡大へ…千店舗に専用商品棚を導入】の通り、店舗限定ではあるが書籍の販売拡充をスタートしている。しかしセブン-イレブンで「街の本屋」に関わる好調さを表す言及がIRレポートや報告書の類に見られないのと同様に、ローソンにおいても関連する解説がない以上、現状は報告するほどの成果が出ていない、一応報告社内の営業コンセプトとして「マチに求められる機能は多彩です。ローソンは、食品の取り扱い以外に、日用品や雑誌、たばこなどを取り揃え」とあるので、少なくともローソンでは雑誌の取り扱いを抑えるような動きは無いと思われるのだが。

たばこは儲かるのだろうか…粗利益動向


売上高の上昇が続いていた「たばこ」だが、【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる……(下)裏づけと「たばこが売れてハッピー」なのかを検証する】で解説している通り、他の商品と比べて「たばこ」の粗利益率は低い。言い換えれば「儲けが少ない」商品。同じ売上をお弁当とたばこで計上した場合、利益はおおよそたばこがお弁当の1/3から1/4との計算になる。人件費を考えると、色々と頭の痛い話に違いない。

↑ 商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)
↑ 商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)

他のカテゴリの粗利益率が高いのに対し、たばこを含む「加工食品」は一段と低い値。最新のレポート中ではたばこの粗利益そのものに関する直接的言及は無いものの、「粗利益率の低いたばこ」との表現があり、たばこの粗利益率が他商品と比べて低い事がうかがえる。

実際、【たばこ税の推移をグラフ化してみる】の通り、たばこの販売店マージンは10.0%であり、他商品と比べて段違いの低さとなっている。「儲け」の観点では「たばこは儲かりにくい」と評しても問題はあるまい。たばこはむしろついで買い、リピート率の高さが魅力なのだが、その力のピークはすでに過ぎていることは、昨今の状況、さらにはコンビニ業界の月次営業報告書などからも明らか。以前と比べて各コンビニ店でたばこのラインアップを増強したり、積極的な宣伝活動をしているのは、少しでもその減退の影響を薄めようとしていると考えれば、理解はできる。



データの継続性・蓄積性や情報公開度合いを考慮し、ローソンのデータを基に精査を行ったが、他のコンビニでも状況に大きな変化はないものと考えられる。たばこ販売動向の月次データを見る限りでは、「値上げ分が売上本数減少分をカバーする」時期はすでに過ぎている。コンビニでもたばこの売上額は、今後継続的に落ち込むことになる。

艦これコラボアイテム(ファミリーマート)各コンビニとも商品単価の高いアイテムや、独自の付加価値を織り込むことで、粗利益率アップを模索している。ローソンの「ウチカフェスイーツ」に代表されるような自社ブランドによる甘味系新商品の大規模展、「艦これ」「けものフレンズ」の関連商品のような他分野で人気のあるアイテムとの共同開発・イベントの実施などが好例である。最近ではくじ系の展開も盛んだが、これはマニア層の集客が容易なことと、客単価を大きく引き上げる効果があるからに他ならない(1回分で平均客単価以上の価格のくじもある)。

また【ローソンで新和菓子シリーズ「あんこや」スタート】などでも触れているように、コンビニ大手ではシニア層にも大きな注力を注ぎ始め、得意分野であるスイーツの和菓子部門で攻勢をかけている。さらにこれらの商品にもいえることだが、プライベートブランドの販売性向を強め、競合他社との格差の演出、独自性の強化と、利益率の向上を推し量っていることにも留意すべきといえる。

そして見通しが立ちにくい状況となった「たばこ」の代替品として、ローソンも含めコンビニ大手ではカウンターに設置した専用機器によるドリップコーヒーの販売を拡大している。さらに関連商品の積極開発やイートインコーナーの展開など、キャラクタアイテム、スイーツに続き、コンビニの集客・売上向上を支える大黒柱的存在としてドリップコーヒーを位置づけ、実際にコーヒー側もその期待に応える成果を上げている。その上、そのコーヒーとの連動性の高いドーナツを大手コンビニは相次ぎ導入し、注目を集めている。中華まんやおでんと比べ、通年販売が可能な事に加え、多種多様な商品展開が容易にできるため、柔軟性の高い「ついで買いアイテム」として、その注力度合は並々ならぬものがある。

とはいえ最近ではドーナツの勢いも減退しているようで、最近ではむしろ同じく通年需要があり、ライフスタイルの変化に合致する・需要を引き受ける形で、総菜の充実に注力しているようにも見える。

多種多様なサービスを集約し、地域社会に浸透した「よろずや」的存在感をますます強めつつあるコンビニ。高齢化社会の到来や「買物困難者問題」など、小売業に関わり合いのある問題への対応をも見せながら、各種コンビニの施策がどこまで功を成すのか。流行のアンテナ的な立場をも持つコンビニ各社の動向に、今後とも注目していきたい。


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