食品専門店への色合い強まる…コンビニの商品種類別売上の変化をグラフ化してみる(最新)

2018/08/25 05:07

2018-0818ローソンは2018年8月10日に、同社および所属・周辺業界の状況を多方面から分析・解説したアニュアルレポートの最新版となる【統合報告書2018】を公開した。そこで日本の大手コンビニでは売上で第3位に位置するローソンの公開データを通して、コンビニの商品種類別における売上の変化を精査していくことにした。

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食品コンビニ化への動き…売上高動向


ローソンのアニュアルレポートでは同社における商品群別の売上高構成比が掲載されている。昨今では「たばこ」の売上に注目が集まり、その動向に注視する必要があるため、「たばこ」を特別扱いし、一つの区分として計算する。ローソンでは決算が2月締めであることから、「2018年」の場合は2017年3月1日から2018年2月28日までのデータを意味している。なお今回も併せコンビニの売上動向を推し量る際に、ローソンのレポートをデータ取得元として用いたのは、大手コンビニではローソンだけが「たばこ」も含めた詳細な売上構成比を公開していたからに他ならない。

なおローソンの統合報告書では2018年発表分から詳細な売上構成比や金額に関して、チェーン全店ではなく単体の値への開示へと手法を変えている。そのためさかのぼれる2014年分以降は単体(ローソン100などは含まず)の値で、それ以前はチェーン店全店での値となることから、一部のグラフでは2013年と2014年の間に小さからぬギャップが生じている。

まずは売上全体に占めるたばこも含めた、主要商品区分別の割合をグラフ化し、状況を確認する。

↑ 商品群別売上高構成比率(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)
↑ 商品群別売上高構成比率(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)

2010年の売上構成比で「たばこ」は前年比でやや減退している。これは金額そのものは伸びているものの、伸び率は前年ほどではなく、他の分野の伸び具合に比べて大人しかったため、相対的に比率が落ちている次第。その年以外は2013年まで一様に「たばこ」の売上が占める比率は増加をしており、コンビニにとって「たばこ」は年々重要な商材として位置づけられていたのが分かる。また2010年の特異な動きとして「日配食品」が伸びているのが確認できるが、これは「ショップ九九」で該当項目商品が大いに伸びたのが原因。

震災直前となる2011年分(2010年3月-2011年2月)、そして震災時期を含む2012年(2011年3月-2012年2月)では多少の増減はあれど、中期的な動きに変わりは無い。食品販売の占める割合が大きく、「コンビニエンス・フードストア」と表しても問題はなさそう。また、【値上げによる家計のたばこ支出金額推移への影響を過去二回分と合わせてグラフ化してみる】でも触れているが、2010年10月に大規模なたばこの値上げが実施され、これを受けて2011年以降の「たばこ」売上・シェアは増大。2012年では全売上の1/4に達している。

2013年に入るとこれまでとはやや変わった動きも確認できる。「たばこ」の伸び、「加工食品(たばこ除く)」「非食品」の減少は相変わらずだが、「ファストフード」(※ローソンではカウンターフーズの他にお弁当や調理パンの類も「ファストフード」に該当させている点に注意)が大いに伸びを見せている。これはコンビニ関連の記事で繰り返し解説している中食需要の拡大と、それに伴う(あるいはそれを誘発した)フライヤー食品をはじめとした惣菜の積極的な展開によるもの。類似商品の「日配食品」(ベーカリー・デザート・アイスクリーム・生鮮食品など)は比率こそ落としているが、金額面では小さからぬ伸びており、中食需要に確実に応え、売上に反映しているのが確認できる。2013年から2014年にかけて複数の項目で値が大きく動いているのは、グラフ生成時の対象店が変わっているため。

2015年ではいくつかの大きな動きが起きている。まず「ファストフード」の大きな伸び。これはカウンターフーズの拡充に伴う躍進に加え、今ではごく当たり前の情景となったドリップコーヒー(ローソンの場合はMACHI cafe)の導入店舗が増え、好成績を上げたため。なおカウンターフーズのルーキー的存在のドーナツの本格導入は、ローソンでは2015年4月以降であるため、2015年時点では計上されていない。

直近となる2018年分(2017年3月-2018年2月)では、前年から大きな変動は無い。たばこの構成比率は前年比で増加している。金額も伸びているがこれに関して報告書では「加熱式たばこ関連の売上が増加したことなどにより、前期の売上を上回りました」とあり、たばこ協会の報告書などで急速な売上の減少が確認できる紙巻きたばこの代替品として大きく注目されている加熱式たばこが、紙巻きたばこの減少分を補うほどの売上を計上した実情が確認できる。

続いて金額ベースで、積み上げ型のグラフにしたのが次の図。こちらも2013年から2014年にかけて対象が変わっているため、不規則な動きが生じていることに注意。そして「たばこ」そのものはかなりの額で金額をふくらまして「いた」。

↑ 商品群別売上高(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)(億円)
↑ 商品群別売上高(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)(億円)

コンビニでお世話になっている人も多いであろう「ファストフード」だが、ローソンに限れば「夕食の一品」「単身者や高齢者の方にも、おかずを一品増やしたい主婦の方にも」と多様な方向性、ターゲットを見据え、ブランド化と商品開発を進めているレジ横フライ物や厨房で逐次調理される総菜・お弁当が堅調に推移し、2018年では前年比で4.3%のプラスを計上した。「日配食品」は大きく伸びて6.6%のプラス。コンビニはますます食品コンビニ化の様相を示しつつある。

そして「たばこ」だが、ローソンに限定すれば直近では前年比プラス267億円(プラス5.7%)。食品群に負けじと劣らぬ伸びを計上しているが、これは上記にある通り加熱式たばこの堅調さを受けた結果である。

各項目の前年比


各項目の進捗を把握しやすいのが、次に示す前年比のグラフ。なお2013年と2014年との間には連続性が無いために特異な値が出ているが、考察の上では無視をする。

↑ 商品群別売上高(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)(前年比)
↑ 商品群別売上高(2013年まではチェーン全店・2014年以降は単体、ローソン)(前年比)

「たばこ」のトレンド転換は事実上2013年から始まっていたことが分かる。日本全体におけるたばこの販売本数は漸減を続けていることから、今後価格の変動があろうとなかろうと、売上は厳しくなることが容易に想像できる。

一方でここ2017年以降のたばこの売上だが、前年比プラスを継続しており、直近年ではプラス5.7%という高い値を示した。報告書ではこの現象について2017年では単に「たばこの売上が計画を上回る」とのみ、2018年では上記の通り加熱式たばこの売上の堅調さを理由に挙げている。他方、たばこ協会の月次報告では紙巻たばこ全体の売上は、前年同月比で10%以上もの減少を計上し続ている。

今件数字からでは断言はできないが、加熱式たばこの貢献以外に、自動販売機やたばこ販売店が紙巻たばこ全体の需要を上回るスピードで減少しており、その差をコンビニが吸収している可能性はある。

一方「ファストフード」は2012年以降大きく切り返しを見せ、2018年は2012年以降7年連続してのプラスを示すこととなった。また2018年では「日配食品」が大きく伸びているが、これらの食品関連の動向について同報告書では(あくまでローソン単体での話ではあるが)、

ファストフード・カテゴリーにつきましては、リニューアルしたパスタが好調だった調理麺、サラダの品揃えを拡大したデリカで前期の売上を上回りました。

日配食品カテゴリーでは、昨年から拡充してきたスーパーマーケット代替品が好調に推移し、日配食品、冷凍食品、アイスクリームの売上が伸長しました。デザートカテゴリーでは、第5弾まで展開しているGODIVAとのコラボ商品などが人気を集め、前期の売上を上回ることができました。

と解説されており、食品スーパーをライバルとして需要の拡大と生活のサポート役の強化を推し量る施策を実行し、それが成果を出したと解説している。また報告書では「原料や製法を見直した「これが」シリーズの定番弁当や、積極的に野菜を摂っていただくことで健康志向を新たに提案する「もっと! 野菜」シリーズ商品の販売が好評を博す」など健康志向へも注力する言及が複数確認でき、外食産業や食品業界のトレンドの一つである、健康志向をセールスポイントとする姿勢が見て取れる。

低迷が続いていた「非食品」も直近年では前年に続きプラス圏に。報告書では特に言及は無いことから、本や雑誌の低迷ぶりは底を打った、あるいは言及する必要の無い状態に留まっているものと考えられる。

たばこは儲かるのだろうか…粗利益動向


売上高の上昇が続いていた「たばこ」だが、【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる……(下)裏づけと「たばこが売れてハッピー」なのかを検証する】で解説している通り、他の商品と比べて「たばこ」の粗利益率は低い。言い換えれば「儲けが少ない」商品。同じ売上をお弁当とたばこで計上した場合、利益はおおよそたばこがお弁当の1/3から1/4との計算になる。人件費を考えると、色々と頭の痛い話に違いない。なおこちらは以前から単体のデータが計上されているため、連続性に問題は無い。

↑ 商品別総粗利益率(単体、ローソン)
↑ 商品別総粗利益率(単体、ローソン)

他のカテゴリの粗利益率が高いのに対し、たばこを含む「加工食品」は一段と低い値。最新のレポート中ではたばこの粗利益そのものに関する直接的言及は無いものの、「粗利益率の低いたばこ」との表現があり、たばこの粗利益率が他商品と比べて低い事がうかがえる。

実際、【たばこ税の推移をグラフ化してみる】の通り、たばこの販売店マージンは10.0%であり、他商品と比べて段違いの低さとなっている。「儲け」の観点では「たばこは儲かりにくい」と評しても問題はあるまい。たばこはむしろついで買い、リピート率の高さが魅力なのだが、その力のピークはすでに過ぎていることは、昨今の状況、さらにはコンビニ業界の月次営業報告書などからも明らか。以前と比べて各コンビニ店でたばこのラインアップを増強したり、積極的な宣伝活動をしているのは、少しでもその減退の影響を薄めようとしていると考えれば、理解はできる。



データの継続性・蓄積性や情報公開度合いを考慮し、ローソンのデータを基に精査を行ったが、他のコンビニでも状況に大きな変化はないものと考えられる。たばこ販売動向の月次データを見る限りでは、「値上げ分が売上本数減少分をカバーする」時期はすでに過ぎている。コンビニでもたばこの売上額は、今後継続的に落ち込むことになる。

艦これコラボアイテム(ファミリーマート)各コンビニとも商品単価の高いアイテムや、独自の付加価値を織り込むことで、粗利益率アップを模索している。ローソンの「ウチカフェスイーツ」に代表されるような自社ブランドによる甘味系新商品の大規模展、「艦これ」「けものフレンズ」の関連商品のような他分野で人気のあるアイテムとの共同開発・イベントの実施などが好例である。最近ではくじ系の展開も盛んだが、これはマニア層の集客が容易なことと、客単価を大きく引き上げる効果があるからに他ならない(1回分で平均客単価以上の価格のくじもある)。

また【ローソンで新和菓子シリーズ「あんこや」スタート】などでも触れているように、コンビニ大手ではシニア層にも大きな注力を注ぎ始め、得意分野であるスイーツの和菓子部門で攻勢をかけている。さらにこれらの商品にもいえることだが、プライベートブランドの販売性向を強め、競合他社との格差の演出、独自性の強化と、利益率の向上を推し量っていることにも留意すべきといえる。

そして見通しが立ちにくい状況となった「たばこ」の代替品として、ローソンも含めコンビニ大手ではカウンターに設置した専用機器によるドリップコーヒーの販売を拡大している。さらに関連商品の積極開発やイートインコーナーの展開など、キャラクタアイテム、スイーツに続き、コンビニの集客・売上向上を支える大黒柱的存在としてドリップコーヒーを位置づけ、実際にコーヒー側もその期待に応える成果を上げている。その上、そのコーヒーとの連動性の高いドーナツを大手コンビニは相次ぎ導入し、注目を集めている。中華まんやおでんと比べ、通年販売が可能な事に加え、多様な商品展開が容易にできるため、柔軟性の高い「ついで買いアイテム」として、その注力度合は並々ならぬものがある。

とはいえ最近ではドーナツの勢いも減退しているようで、最近ではむしろ同じく通年需要があり、ライフスタイルの変化に合致する・需要を引き受ける形で、総菜の充実に注力しているようにも見える。

多数のサービスを集約し、地域社会に浸透した「よろずや」的存在感をますます強めつつあるコンビニ。高齢化社会の到来や「買物困難者問題」など、小売業に関わり合いのある問題への対応をも見せながら、各種コンビニの施策がどこまで功を成すのか。流行のアンテナ的な立場をも持つコンビニ各社の動向に、今後とも注目していきたい。


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