さらに大きく伸びるファストフード…コンビニの商品種類別売上の変化をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/11/10 11:29

ローソンは2016年11月10日までに、同社及び所属・周辺業界の状況を多方面から分析・解説したアニュアルレポートの最新版となる【統合報告書2016】を公開した。そこで日本の大手コンビニでは売上で第2位に位置するローソンの公開データを通して、コンビニの商品種類別における売上の変化を精査していくことにした。

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飛躍するファストフード…売上高動向


ローソンのアニュアルレポートでは同社における商品群別の売上高構成比が掲載されている。昨今では「たばこ」の売り上げに注目が集まり、その動向に注視する必要があるため、「たばこ」を特別扱いし、一つの区分として計算する。ローソンでは決算が2月締めであることから、「2016年」の場合は2015年3月から2016年2月末までのデータを意味している。なお今回も合わせコンビニの売上動向を推し量る際に、ローソンのレポートをデータ取得元として用いたのは、大手コンビニではローソンだけが「たばこ」も含めた詳細な売上構成比を公開していたからに他ならない。

まずは売上全体に占めるたばこも含めた、主要商品区分別の割合をグラフ化し、状況を確認する。

↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)
↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)

2010年の売上構成比で「たばこ」は前年比でやや減退している。これは金額そのものは伸びているものの、伸び率は前年ほどではなく、他の分野の伸び具合に比べて大人しかったため、相対的に比率が落ちている次第。その年以外は2013年まで一様に「たばこ」の売上が占める比率は増加をしており、コンビニにとって「たばこ」は年々重要な商材として位置づけられていたのが分かる。また2010年の特異な動きとして「日配食品」が伸びているのが確認できるが、これは「ショップ九九」で該当項目商品が大いに伸びたのが原因。

震災直前となる2011年分(2010年3月-2011年2月)、そして震災時期を含む2012年(2011年3月-2012年2月)では多少のデコボコはあれど、中期的な動きに変わりはない。食品販売の占める割合が大きく、「コンビニエンス・フードストア」と表しても問題はなさそう。また、【値上げによる家計のたばこ支出金額推移への影響を過去二回分と合わせてグラフ化してみる】でも触れているが、2010年10月に大規模なたばこの値上げが実施され、これを受けて2011年以降の「たばこ」売上・シェアは増大。2012年では全売上の1/4に達している。

2013年に入るとこれまでとはやや変わった動きも確認できる。「たばこ」の伸び、「加工食品(たばこ除く)」「非食品」の減少は相変わらずだが、「ファストフード」(※ローソンではカウンターフーズの他にお弁当や調理パンの類も「ファストフード」に該当させている点に注意)が大いに伸びを見せている。これはコンビニ関連の記事で何度となく解説しているフライヤー食品をはじめとした惣菜の積極的な展開によるもの。類似商品の「日配食品」(ベーカリー・デザート・アイスクリーム・生鮮食品など)は比率こそ落としているが、金額面では小さからぬ伸びており、中食需要に確実に応え、売り上げに反映しているのが確認できる。

2015年ではいくつかの大きな動きが起きている。まず「ファストフード」の大きな伸び。これはカウンターフーズの拡充に伴う躍進に加え、今ではごく当たり前の情景となったドリップコーヒー(ローソンの場合はMACHI cafe)の導入店舗が増え、好成績を上げたため。なおカウンターフーズのルーキー的存在のドーナツの本格導入は、ローソンでは2015年4月以降であるため、2015年時点では計上されていない。そしてたばこの比率と販売金額の双方が大きく増加している。これは2014年4月に実施された消費税率改定に伴う、駆け込み需要によるところが大きい。

直近となる2016年分(2015年3月-2016年2月)では、「ファストフード」の大きな伸びが目に留まる。「加工食品(たばこを除く)」「日配食品」はわずかに比率を落としているが、後述する金額面ではそれぞれ微増、ほぼ同額を示しており、ファストフードを中心に食品全般が成長過程にあることが分かる。他方、「たばこ」は比率を大きく減らしているが、金額も減少しており、たばこ市場全般の低迷ぶりがコンビニの動向でも見られることが確認できる。ただし今回の報告書では特段たばこの売り上げに関わる言及は無く、想定の範囲内における減退であることもうかがえる(前年分では駆け込み需要の反動に伴う低迷が予想されるといったニュアンスの言及がなされていた)。

続いて金額ベースで、積み上げ型のグラフにしたのが次の図。「たばこ」そのものはかなりの額で金額をふくらまして「いた」。

↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)

コンビニでお世話になっている人も多いであろう「ファストフード」だが、ローソンに限れば「夕食の一品」「単身者や高齢者の方にも、おかずを一品増やしたい主婦の方にも」と多様な方向性、ターゲットを見据え、ブランド化と商品開発を進めているレジ横フライ物や厨房で逐次調理される総菜・お弁当が堅調に推移し、2016年では前年比で8.0%ものプラスを計上した。「日配食品」は比率も売上額もほぼ同値を維持している。「非食品」の額面、シェアの減退と合わせ、コンビニはますます食品コンビニ化の様相を示しつつある。

そして「たばこ」だが、ローソンに限定すれば直近では前年比66億円ほどのマイナス。手元にデータがある2004年以降でははじめての、前年比マイナスの金額を計上した2014年に続き、2回目の前年比マイナス計上。消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動と、中期的なたばこ離れの動きが体現化した形と読み取れる。

各項目の前年比


各項目の進捗を把握しやすいのが、次に示す前年比のグラフ。

↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)

「たばこ」のトレンド転換は事実上2013年から始まっていたことが分かる。日本全体におけるたばこの販売本数は漸減を続けていることから、今後価格の変動があろうとなかろうと、売り上げは厳しくなることが容易に想像できる。2015年のプラス化は、消費税率の引き上げに伴う動きであり(プラス5.2%。うち3%近くは消費税率の上乗せ分の上昇。残りは駆け込み需要)、その分の反動とたばこ需要の減退が、直近2016年におけるマイナスへの転換(前年比マイナス1.4%)となって表れた次第ではある。

一方「ファストフード」は2011年以降大きく切り返しを見せ、2016年は2012年以降5年連続してのプラスを示すこととなった。「ファストフード」について同レポートでは(あくまでローソン単体での話ではあるが)、

ファストフードカテゴリーに属します米飯につきましては「本気で、おいしいプロジェクト」から発売した新商品やおにぎり100円セール、TVCMなどの販促施策が奏功し、前年を上回りました。同じくファストフードカテゴリーに属しますカウンター・ファストフードにつきましては、カフェラテの価格を見直したMACHI cafeの販売好調が1年間継続したことに加えて、カウンターでのドーナツ販売もほぼ全店に導入が完了するなどした結果、前年を大きく上回りました。同じくファストフードカテゴリーに属しますデリカと、日配食品カテゴリーに属します日配食品につきましては、生活支援の取り組み強化のため、サラダのパッケージを変更してお買い求めやすくしたり、ローソンセレクトの販売スペースを拡大したり、積極的に販促施策を実施するなど、年間を通して取り組みを強化し、前年を大きく上回りました。

と多分な文章量を割いて詳細な解説が成されており、カウンターコーヒーやそれに連動する形で提供されているドーナツ群をはじめ、多種多様な切り口でリソースを投入したことを説明し、その成果が数字となって表れたとの説明をしている。とりわけカウンターコーヒーとドーナツ群への注力は、たばこや雑誌、中華まんやおでんに続く、コンビニにおける新たなアピールポイントとして確立されつつあり、他の大手コンビニでも大きく変わるところはない。

「非食品」は昨年から継続する形でマイナス圏に。これについて報告書では特に言及はなされていない。前年分では(やはりローソン単体での話ではあるが)「非食品カテゴリーでは、本・雑誌は業界全体の不振の影響を受けて売上低下が続いています」の解説がされており、それなりの理由づけをしなければならないほどの不測事態との認識があったものの、直近年では想定の範囲内の下げ幅であったものと考えられる(前年比はマイナス2.9%で、前年におけるマイナス0.4%よりも下げ幅は拡大しているのだが)。

同業大手他社ではセブン-イレブンが「街の本屋」と題して雑誌や書籍、コミックスなどの取扱いを行い、このような状況の打破を模索している。ローソンでも【ローソンで「書籍」販売拡大へ…千店舗に専用商品棚を導入】の通り、店舗限定ではあるが書籍の販売拡充をスタートしている。しかしセブン-イレブンで「街の本屋」に関わる好調さを表す言及がIRレポートや報告書の類に見られないのと同様に、ローソンにおいても関連する解説がない以上、現状は報告するほどの成果が出ていない、厳しいものと判断しても良いのだろう。来年以降に数字となり、あるいは具体的解説として表れてくることを期待したい。

たばこは儲かるのだろうか…粗利益動向


売上高の上昇が続いていた「たばこ」だが、【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる……(下)裏づけと「たばこが売れてハッピー」なのかを検証する】で解説している通り、他の商品と比べて「たばこ」の粗利益率は低い。言い換えれば「儲けが少ない」商品。同じ売上をお弁当とたばこで計上した場合、利益はおおよそたばこがお弁当の1/3から1/4との計算になる。人件費を考えると、色々と頭の痛い話に違いない。

↑ 商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)
↑ 商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)

他のカテゴリの粗利益率が元々高く、さらに改善(数字が増加=より効果的に儲けられる)しているのに対し、たばこを含む「加工食品」は元々の値が低く、しかも低迷を続けている。最新のレポート中ではたばこの粗利益そのものに関する直接的言及は無いものの、「粗利益率の低いたばこ」との表現があり、たばこの粗利益率が他商品と比べて低い事がうかがえる。

実際、【たばこ税の推移をグラフ化してみる】の通り、たばこの販売店マージンは10.0%であり、他商品と比べて段違いの低さとなっている。「儲け」の観点では「たばこは儲かりにくい」と評しても問題はあるまい。たばこはむしろついで買い、リピート率の高さが魅力なのだが、その力のピークはすでに過ぎていることは、昨今の状況、さらにはコンビニ業界の月次営業報告書などからも明らか。以前と比べて各コンビニ店でたばこのラインアップを増強したり、積極的な宣伝活動をしているのは、少しでもその減退の影響を薄めようとしていると考えれば、理解はできる。

なお直近年で「ファストフード」などがやや減退しているのは、報告書によると「価格改定したカフェラテの販売が年間を通じて好調を維持したことや、ドーナツの導入店舗が拡大したことなどを受けて、カウンター・ファストフードカテゴリーの荒利益率が低下したことに加え、主力カテゴリーを中心にセールやキャンペーンを多く実施したことなどの影響によるもの」とある。見方を変えれば、セールスやキャンペーンによる値引き(=利益率の減退)はもちろんだが、価格改定をしたことでカフェラテの利益率が落ちたこと、ドーナツ単体では他のカウンター売りのファストフードよりも利益率が低いことが推測できる。特にドーナツが他の揚げ物と比べて儲けが出にくい(らしい)実情は、意外ではある。



データの継続性・蓄積性や情報公開度合いを考慮し、ローソンのデータを基に精査を行ったが、他のコンビニでも状況に大きな変化はないものと考えられる。たばこ販売動向の月次データを見る限りでは、「値上げ分が売上本数減少分をカバーする」時期はすでに過ぎている。コンビニでもたばこの売上額は、今後継続的に落ち込むことになる。

艦これコラボアイテム(ファミリーマート)各コンビニとも商品単価の高いアイテムや、独自の付加価値を織り込むことで、粗利益率アップを模索している。ローソンの「ウチカフェスイーツ」に代表されるような自社ブランドによる甘味系新商品の大規模展、「艦これ」の関連商品のような他分野で人気のあるアイテムとの共同開発・イベントの実施などが好例である。

また【ローソンで新和菓子シリーズ「あんこや」スタート】などでも触れているように、コンビニ大手ではシニア層にも大きな注力を注ぎ始め、得意分野であるスイーツの和菓子部門で攻勢をかけている。さらにこれらの商品にもいえることだが、プライベートブランドの販売性向を強め、競合他社との格差の演出、独自性の強化と、利益率の向上を推し量っていることにも留意すべきといえる。

そして見通しが立ちにくい状況となった「たばこ」の代替品として、ローソンも含めコンビニ大手ではカウンターに設置した専用機器によるドリップコーヒーの販売を拡大している。さらに関連商品の積極開発やイートインコーナーの展開など、キャラクタアイテム、スイーツに続き、コンビニの集客・売上向上を支える大黒柱的存在としてドリップコーヒーを位置づけ、実際にコーヒー側もその期待に応える成果を上げている。その上、そのコーヒーとの連動性の高いドーナツを大手コンビニは相次ぎ導入し、注目を集めている。中華まんやおでんと比べ、通年販売が可能な事に加え、多種多様な商品展開が容易にできるため、柔軟性の高い「ついで買いアイテム」として、その注力度合は並々ならぬものがある。

多種多様なサービスを集約し、地域社会に浸透した「よろずや」的存在感をますます強めつつあるコンビニ。高齢化社会の到来や「買物困難者問題」など、小売業に関わり合いのある問題への対応をも見せながら、各種コンビニの施策がどこまで功を成すのか。流行のアンテナ的な立場をも持つコンビニ各社の動向に、今後とも注目していきたい。


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