数十年間のEU諸国「若年層」の失業率推移(-2012年7月)

2012/09/06 06:55

【数十年にわたるEU諸国の失業率推移をグラフ化してみる】にもある通り、先日【EU統計局(Eurostat)】の公開データをもとにEU全体、一部の加盟国、アメリカ合衆国などの1983年以降における失業率推移をまとめてみた。今回は同じ資料元から、いわゆる若年層(25歳未満)の失業率推移をグラフとして描き起こすことにした。【若年層の失業率、スペイン52.9%・ギリシャ53.8%、共に悪化中…ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる(2012年7月分)】などにもある通り単月ベースでの若年層失業率は社会問題化するほどの高さだが、昔はどのような動きを示していたのだろうか。

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文中・グラフ中にあるEA17やEU27については一覧ページ【ヨーロッパ諸国の失業率動向(EU統計局発表)】上の解説部分を参考のこと。

EU統計局ではデータベース上に1983年以降の月次レベルでの、ILO基準による失業率が収録されている。もちろん個別の国毎の事情(統計局に未提出、未調査、国そのものがまだ無いなど)で、過去のデータや最新月のものが空欄のものもある。それらも考慮した上で、EU、EuroArea、そして比較対象としてアメリカ合衆国の「25歳未満に限定した」失業率をグラフ化したのが次の図。なお日本のデータは掲載されておらず、今回の記事では除外している。

↑ EUとアメリカの25歳未満の失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)
↑ EUとアメリカの25歳未満の失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)

アメリカではリセッション(景気後退)と共に若年失業率が上がるのは、失業率全体と同じ動き。EU・EuroAreaでもアメリカと同じような動きを示しているが、リーマンショック以降の立ち直りに失敗し、再び上昇しているあたりは、全体値と変わらない。

試しに全体値と若年層の失業率動向を一つにまとめたのが次のグラフ。

↑ EUとアメリカの25歳未満・全体の失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)
↑ EUとアメリカの25歳未満・全体の失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)

経年では全体も若年層も同じような動きを示していること、双方とも若年層失業率が高いこと、そしてリーマンショック後の上昇ではアメリカの全体失業率がEUのそれに追いついたことなどが分かる。後者は、若年層失業率が相変わらずEU側上位にあることを合わせて考えると、リーマンショック後のアメリカでは中堅層以降の失業率が大きく上昇したことがうかがえる。

さて、前回の記事同様、EU諸国からドイツ・ギリシャ・スペイン・イギリスを選んで、同じように若年層失業率の動きを見たのが次のグラフ。

↑ EU諸国の25歳未満の失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)
↑ EU諸国の25歳未満の失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)

ドイツでは直近で2000年初頭の好景気時代にむしろ失業率が高かったものの、その後の金融不況・リーマンショックでも最小限の上昇にとどまり、若年層失業率も(他国と比べて)低い基準を維持している。イギリスは今世紀に入ってから漸増・リーマンショック以降はやや上昇速度が速まる動き。

ギリシャは前世紀末以降のデータしかないので判断できないが、スペインは過去の不況時にも40%強の失業率を示している。スペインにでは不景気における若年層の就業に関する、根本的な問題が存在することが懸念される。それと同時に昨今の上昇具合が異常な加速度を示していることも認識できる。

最後に、主要国とグループそれぞれにおける、「全体」「若年層」失業率の差を倍率で示してみる。よほどのことが無い限り、若年層失業率は全体よりも高い。数字が大きいほど若年層の就業状態が、社会全体よりも厳しいことを意味する。

↑  EU諸国などの25歳未満の失業率推移(月次、全体失業率の何倍か)(1983年-)
↑ EU諸国などの25歳未満の失業率推移(月次、全体失業率の何倍か)(1983年-)

↑  EU諸国などの25歳未満の失業率推移(月次、全体失業率の何倍か)(2005年-)
↑ EU諸国などの25歳未満の失業率推移(月次、全体失業率の何倍か)(2005年-)

ドイツが1992年に1.0未満という値を数か月に渡り計上していること、今世紀に入ってから倍率は上昇するも1.5内外に留まっているところを見ると、同国の就業政策の巧みさがうかがえる。また、失業率の高さで名前を挙げているスペイン・ギリシャ双方だが、ギリシャの方がまだ倍率が高い(=若年層失業率が全体値と比べて高い)ものの、次第に値を落としており、失業の波が中堅層にも押し寄せていることがうかがえる(失業率全体が下がっていれば「若年層の失業率が改善している」ともいえるのだが)。

気になるのはイギリスの値の高さ。倍率という観点ではスペインやギリシャ以上の動きを示している。しかもこの流れは1980年代後半から継続しており、イギリスの労働市場の硬直化・若年層へのプレッシャーの高まりが見えてくる。



今件値はILO基準ではあるものの、各国の労働市場の構造や慣習の違いなどから、同じ値であればまったく同じ状況であるとは限らないことに留意しておく必要がある。一方で、諸国・EU全体の若年層の就業状況の推移も概略的だが見えてくる。

失業率の動きはその国の経済状態と深い関係を持ち、社会の安寧にも大きな影響を与える。そして若年層の失業率の高さは「先進国病」の一つとして、諸外国が抱える重大な政策課題の一つとされている。可及的速やかで具体的かつ有効な手立ての立案と施行を望みたいものだ。

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